「コロナ労災」保険料、事業者の負担軽減へ特例…申請促進を狙う

「コロナ労災」保険料、事業者の負担軽減へ特例…申請促進を狙う

厚生労働省

 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染が労働災害と認められた「コロナ労災」について、事業者の労災保険料の負担を軽減する特例を講じる方針を決めた。労災保険制度では本来、労災が多発した事業者の保険料は増額されるが、コロナ感染症は事業者が感染防止に努めても完全に防ぐことは難しいことなどから、コロナ労災分は除外し、増額しないこととする。

 現行制度では、コロナ労災件数が多い医療機関や高齢者施設などの負担増が懸念されていた。今回の特例により、事業者の負担を軽減し、コロナ労災の申請促進を図る。厚労省は近く、厚労相の諮問機関・労働政策審議会の答申を受け、制度改正をする方針。同様の措置は、東日本大震災に伴う労災で適用されて以来、2回目。

 労災保険料は、事業者が全額負担し、労働者が仕事中や通勤途中にけがをした場合などに治療費や入院費などが支給される。保険料は、全従業員に支払う賃金総額に保険料率を乗じて算定するが、保険料率は負担の公平性や労災防止の企業努力を促す目的で、労災事故の多寡に応じて増減(最大40%)させている。

 2022年度の保険料率は、18〜20年度が算定対象期間となる。コロナ禍は20年度に始まったため、本来のルールに沿えば、コロナ労災が多発した事業者の保険料率は22年度以降、上がる。政府は緊急事態宣言時でも医療・介護事業などの継続を要請していたことから、厚労省はコロナ労災に関しては労災支給額の多さを理由に保険料を上げることは適当でないと判断した。

 厚労省によると、コロナ労災は今年10月末時点で1万6150件が認定された。20年度は延べ約6500件(暫定値)、約20億円が労働者に支給され、医療、介護関係の業種が8割超を占めた。

■国内感染172万人 労災申請は1%

 国がコロナ労災に特例を導入しようとする背景には、事業者の負担を軽くすることで、労働者の救済を進める狙いがある。

 国内の感染者は累計約172万人に上っているが、申請は1%の約2万人にとどまり、一部の事業者が感染した従業員に、労災による休業ではなく有給休暇の取得を促したり、業務中の感染を否定したりするケースもあったという。

 新型コロナは完全に感染を防ぐことが難しい中、医療機関など多くの職種では業務継続が求められてきたこともあり、コロナ労災は申請されれば広く認定されている。労働者を守るためにも、今回の特例を踏まえ、事業者には積極的な申請の協力が求められる。(社会部 坂場香織)

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