藤井竜王ほほ笑む「こんな静謐な場所で対局したかった」…第5局予定地だった倉敷へ

藤井竜王ほほ笑む「こんな静謐な場所で対局したかった」…第5局予定地だった倉敷へ

記念撮影に応じる藤井竜王(25日午後6時57分、倉敷市で)=若杉和希撮影

 将棋の竜王獲得の祝賀会に出席するため25日、岡山県倉敷市を訪れた藤井聡太竜王(19)。竜王戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・野村ホールディングス)第5局の予定地だった同市を巡り、祝福を受けた。

 藤井竜王は祝賀会の直前に、対局が行われる予定だった円通寺(倉敷市玉島柏島)を訪問。仁保哲明住職から境内にある良寛像などの説明を受けた。スーツ姿の藤井竜王は「こんな静謐(せいひつ)な場所で対局したかったです」とほほ笑んだ。

 同日夕、倉敷市内のホテルの祝賀会には和装に着替えて臨んだ。会場入りすると約100人の参加者から「おめでとう」などの声がかかり、守永一彦・倉敷対局実行委員長が「記録と記憶に残る竜王戦に関われて、宝物になった。来期の竜王戦の会場に再び立候補します」と語った。

 大盤を使った竜王戦の解説では、大山康晴十五世名人以来の倉敷市出身のプロ棋士となった狩山幹生四段(20)が聞き手となり、対局を回想。「最終局面まで詰むか詰まないかという難解な変化が多かった。考えていて楽しい対局だった」と振り返った。

 倉敷市は藤井竜王が、小学3年生の時に「全国小学生倉敷王将戦」で優勝した地。祝賀会終盤のあいさつでそのことに触れ「大会で優勝し、奨励会に入る契機になった場所で、感慨深く思っている。4連勝は実力以上。課題が新しく見えたので、来期はよりよい将棋を見せられるよう精進したい」と述べた。

■コースターどうぞ…デニム地、金光学園高生ら開発

 藤井聡太竜王の祝賀会では、地元名産のデニムを使った縁起物のコースターや、名物のおやつなどのプレゼントがあった。

 竜王戦七番勝負の第5局は倉敷市の円通寺を舞台に行われるはずだったが、藤井竜王が4連勝したため、実現しなかった。地元では対局に向けおもてなしの準備が進められており、祝賀会の開催を受けて藤井竜王に用意していた品々の一部を記念として贈ることになった。

 金光学園高(浅口市)では授業の一環で生徒がジーンズメーカー「青木被服」(井原市)と連携して、将棋駒をモチーフにした「歩成り金(ふなりきん)デニムコースター」を開発した。

 倉敷市出身の大山康晴十五世名人(1923〜92年)が「歩」を大切にしていたことや、「一歩一歩進めばやがて大成する」という願いなどを込めてデザインの一つに「歩」を採用。そのほか「金」や無地、竜王戦公式ロゴ入りの4種類を作った。

 2年生8人が7月頃から商品化に取り組み、今月1日から販売を開始。デニム生地のため、使うほど色落ちして独特の風合いも楽しめることなども評判を呼び、竜王戦バージョンは2日で完売し、追加販売される人気だという。

 祝賀会でプレゼントした同高の生徒(17)は、「『対局で使って』と手渡しました。すばらしい機会を作ってくれて感謝です。コースターを通じて、藤井竜王にこの地域の良さを知ってもらえたら」と話した。

 コースターの注文は30日まで、特設サイト(https://reabiz202.base.shop/)で受け付けている。

◇  倉敷対局で昼食(将棋めし)と「おやつ」を提供予定だった店舗マップが、祝賀会の会場で参加者に配られた。

 倉敷対局の実行委員会内の「飲食チーム」が、各地の棋戦で準備されるメニューをリサーチ。地元・玉島地区で店舗それぞれの「推しメニュー」を食べ歩き、厳選した20の和洋食店や菓子店などが食事やおやつを提供し、その中から希望の一品を棋士に選んでもらう段取りになっていた。

 祝賀会では「せめて菓子だけでも」と、職人らが手掛けた「おやつ」がビュッフェ形式で振る舞われた。マップ作成に奔走した香西哲郎さん(45)は「対局は幻になりましたが、藤井竜王に玉島発のスイーツを披露できて報われました」と話している。(岡さくら、岡信雄)

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