LGBTの苦悩、当事者自ら映画に…31歳監督「誰もが生きやすい社会に」

LGBTの苦悩、当事者自ら映画に…31歳監督「誰もが生きやすい社会に」

「性別を気にせず生きられる社会が理想」と話す飯塚花笑監督

 心と体の性が一致しないトランスジェンダーへの理解を促し、性自認に悩む若者を励ます映画「フタリノセカイ」が14日から公開される。監督で、自身もトランスジェンダーの飯塚花笑(かしょう)さん(31)は「誰もが生きやすい社会を作る一助になれば」と話す。興行収入の一部を、東京都と群馬県にあるLGBTQ(性的少数者)の支援団体に寄付する。

 女性の体で生まれ、男性として生きる真也(坂東龍汰)と女性のユイ(片山友希)が恋に落ちる。2人は同居生活を始めるが、ユイは子供をもつ夢を捨てきれなかった――。映画は2人の10年間を描きつつ、戸籍上の性別変更には厳しい条件があることや、性的少数者が子供をもつことの難しさを伝える。

 「性的少数者を肯定的に捉えた邦画はまだ少ない」と飯塚さん。自ら手がけた脚本に、実体験を反映させた。例えば、主人公の真也は猫背だが、これは乳房を切除しておらず、無意識に体のラインを隠そうとしているため。「当事者だからこそ具体的に描けることがある」と力を込める。

 飯塚さんは群馬県出身。女性として生まれたものの、中学生の頃から、自らの性が男性であると感じていた。高校生の時、親しい教諭に相談し、男子の制服で登校し始めた。トランスジェンダーであることを打ち明けると、友人らは受け入れてくれた。しかし、娘が結婚して孫が生まれることを待ち望んでいた母が「夢が全部崩れた」と落胆する姿に、思い悩んだこともある。

 東北芸術工科大で映画を学び、2011年に制作した自伝的作品「僕らの未来」が、ぴあフィルムフェスティバルなど国内外の映画祭で高く評価された。飯塚さんは「中学の頃、周囲に相談できず孤立していた。同じように苦しむ若者に希望を届けたい」と願っている。

 14日から、東京・新宿シネマカリテなどで公開された後、全国で順次公開。

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