孤立や貧困・若年妊娠…要支援の妊婦5・6万人

■109自治体読売調査

 孤立や貧困、病気などで支援が必要と自治体が判断した妊婦は2020年度、7人に1人の割合に上ることが、読売新聞が全国の主要都市に行った調査で分かった。支援の必要性は自治体に妊娠を届け出た際などに判断されている。法律で特に支援が必要と定義された特定妊婦のほかに、多くの自治体が独自の基準でサポートする妊婦の存在が明らかになった。

■保健師が面談

 調査は昨年11〜12月、政令市、県庁所在地、中核市、東京23区の計109自治体に実施。98自治体(90%)から有効回答を得た。

 98自治体の20年度の妊娠届出数は計36万6918人。各自治体が支援が必要だと判断した妊婦は少なくとも計5万6725人(15・5%)に上った。このうち特定妊婦は計5754人。自治体が「ハイリスク妊婦」などとして独自に支援すべきだと考える妊婦は計5万971人だった。支援が必要な妊婦の割合は18年度は13・9%、19年度は15・2%と増加していた。

 支援が必要な妊婦を把握した後は、保健師らが面談や電話相談、家庭訪問などでサポートしており、悩みへの助言、家事支援サービスの紹介なども行う。全ての妊婦への面談や妊婦健診への同行などの取り組みを行う自治体もあった。

 独自支援の判断理由(複数回答)は、精神的な問題を抱えていることが最も多く、「援助者や相談者がいない」「望まない妊娠」「経済的困窮」「未婚」「若年妊娠」などと続いた。

 課題には「妊婦と連絡がとれなくなる」「支援が必要な妊婦を把握できない」のほか、「専門職員の人手不足」もあった。

 ただし、自治体が支援対象とした妊婦の割合は73%〜1%未満と差があった。支援の基準が自治体ごとに異なり、その判断も自治体に委ねられているためだ。

 東京情報大の市川香織教授(母性看護学)は「家族や地域の機能が弱い現代社会では、支援が必要な妊婦の割合は高まっている。妊産婦期に社会的な支援が不可欠な時代という認識のもと、国や自治体は予算確保や体制の強化に力を注いでほしい」と指摘している。

 ◆特定妊婦=自治体が、若年妊娠や支援者不在など問題を抱える妊婦の情報を得て、児童虐待防止などを目的に各自治体が設置する「要保護児童対策地域協議会」に妊婦を登録する。その上で必要性を判断し、妊娠期から家庭訪問などの支援を行う。

■孤立防ぐ体制 自治体の役割

 周囲の支えがないなどで、支援が必要な妊婦は珍しくない実態が明らかになった。全ての妊婦に面談するなど、自治体による妊娠期からの支援が急務だ。支援の必要性を判断する基準の整備や、職員の専門性の向上が求められる。出産前からの支援は妊婦の安心につながるだけでなく、児童虐待の防止にも有効だ。

 厚生労働省の調査では、19年度に虐待(心中含む)で死亡した子ども78人のうち約4割が0歳児。加害者の半数以上が実母で、育児不安や経済的困窮などの問題を抱えていた。

 望まない妊娠などで、悩みを一人で抱える妊婦もいる。妊婦やその家族らが気軽に相談できるよう自治体などが呼びかけを強め、支援体制を充実することも大切だ。これにより出産や育児に関する様々な問題の早期発見も期待できる。少子化対策としても欠かせない。(生活部 矢子奈穂)

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