公立の中高一貫校が13校、全国最多は茨城県…背景を探る

公立の中高一貫校が13校、全国最多は茨城県…背景を探る

学校紹介を動画で視聴する説明会の参加者たち(8月3日、茨城県立鉾田第一高校付属中で)

 茨城県で県立中高一貫校が今春2校開校し、全国で最多の13校となった。背景には高校受験にとらわれずに6年間で人材育成を図り、公立校の魅力向上につなげる狙いがある。(大我寛樹)

■3年で10校増

 「今までの型にとらわれない新しい『鉾一』を目指している」。県立鉾田第一高校付属中学校で8月3日に開かれた学校説明会で、飯山美都子校長が力を込めた。説明会には鹿嶋市や神栖市などに住む小学生と保護者約80人が参加、校内や部活動を見学して進学へのイメージを深めた。小学5年の娘と訪れた行方市の女性(39)は「環境が変わらずに高校まで行けるのが付属中の良さ。ただ倍率が高いので受験は大変」と話す。2020年度に一貫校化した同中には、保護者からの問い合わせが年々増えているという。

 20年度に5校、21年度には県内有数の進学校・水戸一高を含む3校と、この3年で10校の中高一貫校が開校し、先行した3校を含めて県内計13校になった。13校の内訳は、全生徒が同じ学校で6年間の一貫教育を受ける「中等教育学校」が3校で、高校に付属中を設置して入試なしで高校に進学する「併設型」が10校となる。

■背景

 中高一貫校の増設は、県教育委員会が19年に策定した「県立高校改革プラン」の目玉施策だ。改革プランでは、県立高校が果たす役割を「起業家精神を備えたトップレベル人材や地域リーダーの育成」などと位置づける。中高一貫校化により高校受験がなくなることで、学習だけでなく、部活や行事といった課外活動にも力を入れやすく、そうした人材育成につながるという狙いがある。

 また、特に東京に近い県南や県西地区は生徒の県外流出が多く、中高一貫校化で魅力を向上させる必要もあった。

 ただ、設置を巡っては近隣の公立中で生徒数が減少する懸念があった。そのため、多くを「併設型」とし、付属中のクラス数は1〜2クラスに抑えた。中高生や大学生からのアンケートなども行い、設置エリアを分散して、ほぼ全ての地域から約30分〜1時間で通学できるようにした。

■倍率高く

 中高一貫校は、進学実績の向上から人気が集まっている。先行した3校の今春の入試倍率は、並木中等教育学校(つくば市)が3・67倍、日立一高付属中(日立市)が2・49倍、古河中等教育学校(古河市)が2・03倍だった。私立の中高一貫校より授業料が安いなどの利点もあり、県教委は増設には「保護者から高いニーズがあった」と説明する。

 一方、増設によって高校入試の入学枠は減少した。水戸一高は20年度入試まで高校入試の枠は320人だったが、今春の入試は240人になった。24年度には高校からの入学枠が160人に減る。

 中高一貫校の急増について、学習塾「茨進」(土浦市)の青木信行統括本部長は「近年で最もインパクトが大きい。中高一貫校が3校しかなかった頃と比べると、小学生の頃から受験準備を進める家庭が増え、受験が低年齢化した」と話す。

 一方で、私立校への影響については「併願で私立中を受験する生徒も多いため、結果的に私立に進学する生徒も増えている」とし、影響は限定的とみている。

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