取引先ストレスは「労災」、営業マン急死で認定

 営業担当の会社員男性(当時47歳)が急死したのは取引先の社長から受けたストレスなどが原因なのに労災と認めなかったのは違法として、男性の妻(大分市)が国を相手取り、労災補償の不支給決定の取り消しを求めた訴訟で、福岡地裁(鈴木博裁判長)は14日、労災と認める判決を言い渡した。

 判決によると、男性は愛媛県内にある薬品会社営業所に勤務していた2014年2月、営業車内で意識不明となり、急性心不全で死亡した。妻は同8月、宇和島労基署に労災補償を請求したが、同労基署は不支給を決定した。

 判決は、社長が機嫌次第で男性を叱り、男性は最大の取引先の信用を損ねまいと社長の指示に応じて従業員と一緒に消毒作業などを行っていたとした。死亡前6か月間の時間外労働は月平均約70時間で国の認定基準(月約80時間)を下回ったが、判決は「精神的な緊張は相当大きかった」として死亡との因果関係を認め、不支給決定を取り消した。

 妻の代理人弁護士は「営業マンの苦しみを酌み取ってくれた判決だ」と評価。同労基署は「コメントは差し控える」としている。

 上西充子・法政大教授(労働問題)は「労働者は取引先や消費者に対して弱い立場に置かれるケースが多く、雇用主はそのハラスメントからも従業員を守る責任がある。社外での労務管理のあり方に一石を投じる判決だ」と指摘した。