山梨女児不明、ネットで止まぬバッシング…刑事罰問われる可能性も

山梨女児不明、ネットで止まぬバッシング…刑事罰問われる可能性も

山梨女児不明中傷で刑事罰も

山梨女児不明、ネットで止まぬバッシング…刑事罰問われる可能性も

道志村のキャンプ場で行方不明当時の様子を振り返るとも子さん(17日)

 山梨県道志村のキャンプ場で千葉県成田市の小学1年、小倉美咲さん(7)が行方不明となって21日で2か月。懸命に捜索し、情報提供を呼びかける母のとも子さん(36)の画像共有サービス「インスタグラム」に、匿名の投稿で中傷するコメントが多く書き込まれている。中には悪質な内容もあり、有識者は「刑事罰に問われる可能性がある」と警告する。(藤原聖大)

 「すぐに見つかるはず」。美咲さんが行方不明となった9月21日当時、捜索にあたっていた関係者はそう思っていた。とも子さんも同じだった。

 数日後。とも子さんは経営するトリミングサロンのインスタグラムに、捜索ボランティアが連れてきた馬の写真を投稿した。これが「神経を疑う」といった多くの批判にさらされた。とも子さんは「動物好きの美咲に『馬も捜してくれていたんだよ』と見せてあげたかった」と意図を語っている。写真をアップするのは日常的なことだった。これほど長期化し、深刻な事態になるとは想像していなかった。

 不明10日目の9月30日。とも子さんは心境をつづった文章を投稿。「あの時ちゃんと一緒について行ってあげていたらと悔やんでも悔やんでも悔やみきれない」「たくさんの方々にご協力いただき、心から感謝しております」と書いた。これにも「悲劇のヒロイン気取ってんじゃねえよ」など、心ないコメントが書き込まれた。

 捜索状況が連日報道され、インスタグラムには知人から心配の声が届いていた。疲労の色が濃いとも子さんには個々に返事をする余裕がなかった。返事を読んでもらいやすいようにと、店のハッシュタグ(検索ワード)をつけて投稿した。これには「店の宣伝投稿していたことが理解しがたい」と中傷が集中した。

 バッシングは止まらない。情報提供を呼びかけやすくしたいと、とも子さんは美咲さんと同じ髪形にした。すると、「子どもがいなくなっているのに髪切りに行ってるんですか? 信じられない」と書き込まれた。

 また、両親の知人らが10月に行った募金活動に対しては「詐欺だ」といったデマがネット上に流れた。集まった約130万円は情報提供を呼びかけるため、当初3万〜4万枚を作成する予定だったチラシを約35万枚に増やすのに充てられた。

■逮捕されたケースも

 インターネットへの投稿問題を多く手がける弁護士法人ATB山梨事務所(甲府市)の藤吉修崇弁護士は、「刑事責任を問われ、民事で損害賠償を請求されうる書き込みもある」と語る。

 藤吉弁護士によると、具体的事例を示して人の社会的評価をおとしめた場合は名誉毀損(きそん)罪、事例を示していなくても公然と人を侮辱すれば侮辱罪が成立する。名誉毀損罪は「3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金」、侮辱罪は「拘留または科料」に処される。

 インスタグラムなどSNSでの投稿はほとんどが匿名だが、プロバイダー(接続業者)に個人名の開示を求めることができる。個人が特定され、刑事告訴されることもある。実際にネット上の掲示板に中傷する書き込みをして逮捕されたケースもある。

 民事訴訟では損害賠償として30万〜200万円を請求されることもある。藤吉弁護士は「ネット上で完全匿名はあり得ない。軽はずみな投稿をすれば責任を問われると理解する必要がある」と強調する。

父親「抱きしめてあげたい」 美咲さんの両親は16日、読売新聞の取材に応じ、現在の心境を語った。

 父の雅さん(37)は「時間が経過するほど、傷は深くなっていく。早く見つけ出して抱きしめてあげたい」と絞り出した。母のとも子さんは「美咲は家族になくてはならない存在。とにかく会いたい」と語った。

 新聞折り込みや各駅前でのチラシ配りを通して、今後も情報提供を呼びかける。両親は「どんな些細(ささい)な手がかりでも情報を寄せてほしい」と訴えている。