高品質な「母親の振り袖」新成人に人気…個性豊か、小物で現代風に

 成人式で母親の振り袖「ママ振(ふり)」を着て式に臨む新成人が増えている。バブル景気の時代に新成人を迎えた母親たちの晴れ着は品質が良いうえ、レンタルの品ぞろえにはない柄や色で個性を表現したい女性に受けているようだ。

 「小物合わせで自分らしさが出せた」。名古屋市天白区の女子大生(19)は母親(51)の振り袖を着て、今年の正月に開かれた「振袖会」と呼ばれる高校の同窓会に出席した。

 朱色の生地に菊、鶴など古典柄を配した着物に、鳳凰(ほうおう)の刺しゅうが入った黒い帯。女子大生は襟や帯留めに黄色を取り入れるなどしてかわいらしい印象にまとめ、「周囲にも負けていなかったはず」と満足そう。母親も「成人式以降、ほとんど着ることがなかった。買ってくれた母も喜んでいました」と笑顔を見せた。

 小物合わせを手がけた老舗呉服店「きものやまなか」(名古屋市中区)によると、「ママ振」の顧客はこの10年間で10倍以上に増え、昨年は約250件の利用があった。母親の振り袖を仕立て直したり小物を組み合わせたりして現代風にすることで、レンタルに比べて何度も着られる分、割安になるという。

 店主の山中邦彦さん(46)は「新成人の母親世代の着物は上質なものが多い。レンタルの着物は流行の品ぞろえでかえって個性に乏しく、他の新成人との違いを出そうと『ママ振』を選ぶケースも多い」と話す。

 2018年の成人の日(1月8日)に着物販売レンタル「はれのひ」(破産)が営業を停止し、晴れ着を着られない新成人が続出したトラブルも影響しているとみられる。リサイクル品販売大手「コメ兵」(名古屋市中区)には18年以降、「ママ振」を着たいと親の振り袖を持ち込む客が増えた。半襟や帯揚げなど和装小物の売り上げも1・6倍になっているという。

 出版社「きものと宝飾社」(京都市)は、新成人の振り袖の約4割が再利用品でレンタルに並ぶ勢いになっているとみる。松尾俊亮編集長は「かつては『お下がり』という印象の強かったママ振がSNSを通じて定着し、今では個性や家族の絆を示す象徴となっているのでは」としている。

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