体調不良の受験生に「受けたいと言われたら断れない」…苦悩する高校側

 埼玉県内では間もなく私立高の入試が始まり、本格的な受験シーズンを迎える。県教育委員会は昨年12月、今年2〜3月に行われる公立高入試の指針などを公表した。緊急事態宣言下でも予定通りに実施される見通しだが、試験当日に生徒が体調不良を訴えた場合の対応などを巡り、受験生や学校側からは不安の声が根強い。

 「コロナを恐れてか、学校に来ない友人もいる。感染リスクだけを考えるなら家にいた方がいいのだろうが、それも息が詰まる……」

 受験を控えた県内の女子生徒(15)は、不安そうに話した。女子生徒は進学校を目指して最後の追い込みに励んでいる。身近に新型コロナウイルスの感染者はいないが、「自分がいつ感染するか分からない。感染したり、体調を崩したりした場合にどういう扱いを受けるかと考えると、とても不安だ」と打ち明ける。

 体調について危惧(きぐ)しているのは、受験生だけではない。ある進学校関係者は「最も不安なのは、体調不良の受験生が出た時の対応だ」と語る。

 県教委の指針によると、チェックリストをあらかじめ中学校を通じて配布し、生徒には当日朝の健康状態を確認するよう求めている。▽37・5度以上の発熱▽呼吸困難▽強い倦怠(けんたい)感のうち1項目以上、または▽味覚障害▽嗅覚障害▽せき▽咽頭痛などのうち2項目以上にそれぞれ該当した場合、生徒は受験できない。

 ただ、入試の途中で体調を崩した場合については、原則として別室などでの受験を認める。学校側が判断に迷う場合、「高校と中学、本人で相談して個別対応とする」(県教委)方針だ。

 こうした方針について、ある公立高校の幹部は「体調不良を訴えられれば、追試験を受けてもらう方向で理解を求めるが、『どうしても受けたい』と求められたら断れない。そもそも(正直に)申告してくれるかどうか……」と気をもむ。同校では、発熱などコロナ感染の可能性がある生徒とコロナとは無関係の症状を訴える生徒を分けるため、別室を2か所用意する方針だ。しかし、「(発熱者の)試験監督は誰がするのか、発熱者と接した場合、入試後に(教職員を)出勤させられるのかといった課題が山積みだ」と頭を抱えている。

 県教委は「3密」の状態をできるだけ避けるため、1会場あたりの収容人数を従来の約40人から35人以下に減らす。しかし、ある公立高校では「試験会場が増え、試験監督の人繰りが難しい」と悲鳴を上げる。教職員が感染するなどして運営が難しい場合、県教委が職員を派遣するというが、ある学校関係者は「本当に欠員分の人数を派遣してもらえるのか不安だ」と話す。

 生徒、学校ともに不安を抱えたまま入試に突入するが、ある女子生徒(15)は「とにかく体調管理には万全を期したい」と前を向いている。

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