内陸60キロでのサケ漁、捕獲数が倍増…回帰率が上昇か
2021年01月14日 18時25分 読売新聞

ウライにかかったサケを取り出す組合員(昨年12月18日、大仙市の玉川で)
秋田県大仙市の雄物川水系で行われている伝統のサケ漁は、ここ数年の捕獲数が約20年前に比べ、倍増している。サケは産卵のため生まれた川に戻ってくる性質で知られるが、漁業関係者は様々な要因でサケの回帰率が上がったものとみている。
市などによると、同市のサケ漁は江戸時代から内陸部の人たちのたんぱく源確保のために行われ、明治以降は孵化(ふか)放流による増殖を目指す事業に変わった。河口から約60キロの内陸で行われているサケ漁は珍しい。
昨年は雄物川鮭増殖漁業生産組合(大仙市)が支流の丸子川と玉川に9月、捕獲用の仕掛け「ウライ」を設置した。捕獲は11月に最盛期を迎えた後、12月下旬に終えて、ウライを撤去した。
同組合によると、昨年の捕獲数は6080匹。過去最高を記録した前年の7035匹には及ばなかったものの高い水準だった。
2000年は2537匹で、前後の年も2500匹前後で推移した。その後、捕獲数は増加傾向をたどり14年に6000匹を突破。ここ数年は5000匹前後と倍増した。
同組合が放流している稚魚は毎年230万〜250万匹でほぼ一定している。ただ、1998年以前は他の地域で採れた卵から孵化させた稚魚を合わせて放流していたが、翌年から地元で採れた卵の稚魚のみを放流するようにしたという。
三浦尚組合長は「稚魚放流時の最適な水温を研究しデータを積み重ねてきた。こうした取り組みが20年を経て回帰率の上昇につながり、倍増したのでは」と分析している。