秀吉が禁じ伊藤博文が解いた「フグ食」、調理資格に「全国統一」の動き

[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「フグ」。 日本人が大好きな冬の味覚・フグ。調理を誤ると命にかかわる「毒」を持つことから、都道府県はそれぞれフグ調理の資格に関する条例などを定めている。だが実は、資格の認定基準は地域ごとにバラバラだ。国はようやく統一に乗り出したが、全国で同じレベルのフグさばきは実現するだろうか。

■都道府県で基準バラバラ

 東京・豊洲市場(江東区)の一角にある「ふぐ除毒所」。丸々と太った1匹のトラフグに、水産仲卸会社「やまふ水産」の渕上淳二さん(45)が包丁を入れる。約10分ほどで身や皮、白子など食べられる部位と、心臓や腎臓などの有毒部位に分けられた。

 「腎臓の破片は、身や骨にへばりついていることがあるんです」と、東京都のフグ調理資格を持つ渕上さん。有毒部位は冷凍し、焼却処分するまで鍵のあるゴミ箱でしっかり管理する。

 フグの毒は、1ミリ・グラムに満たないごくわずかな量でも死に至る可能性がある。調理するには、都道府県が条例などで定めた資格の取得が必要だ。

■技術・経験を信頼

 フグの販売などを初めて条例で規制したのは、街に多くのフグ店がひしめく大阪府。1948年、府は「ふぐ販売営業取締条例」をつくり、知事の許可がなければ販売や営業ができないようにした。大阪府内には現在、調理資格の保持者が約11万人おり、全国でも圧倒的に多い。

 大阪でフグ食が盛んになった理由について、フグの歴史に詳しい「全国ふぐ連盟」元副会長の松村久さんは「西日本でとれたフグが、『食い道楽』の大阪に集まった。関西では刺し身よりも鍋物好きな人が多く、フグ鍋の『てっちり』にして大勢で食べるのが好まれ、大衆に広がったのではないか」とみる。

 そんな大阪では、府の条例に基づき、〈実技試験なし、講習会の受講のみ〉でフグの調理資格が得られる。これだけ広く食されてきたにもかかわらず、これまで食中毒で大きな問題が起きたことはなく、現場の料理人たちに受け継がれている技術や経験に信頼が置かれているためとみられる。

 一方、東京都では、調理師免許を持ち、2年以上の実務経験がある人だけに受験資格を与え、試験内容も「学科」「実技」「ふぐの鑑別」があるという厳しさだ。都の担当者は「東京には全国から様々な種類のフグが集まる。広い知識と高い技術を持った人に資格を与える必要がある」と説明する。

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