日本のアフリカに対する”大規模投資の意義”を中国人が語る

日本のアフリカに対する”大規模投資の意義”を中国人が語る

安倍首相が発表したアフリカに対する大規模投資について考える (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2016年8月27日、ケニア・ナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD)内において、日本の安倍晋三首相はアフリカ諸国に対し役300億ドル(3兆円)規模の投資を行うことを発表しました。僕は今回の投資はアフリカの発展と同時に、日本の国際的信用を上昇させる機会になると予見します。

■中国により植民地化するアフリカ

 半世紀ほど前から、企業誘致、インフラ開発など欧米諸国はアフリカという土地に対し定期的に投資を行っているのですが、十分な利益を得た例は多くはありません。一方、中国は2000年ごろからアフリカに対する投資を開始し、現在にいたるまで継続しています。

 2006年にアメリカのクリントン元大統領が「中国がアフリカを植民地化しようとしている」、「中国企業はアフリカ人民を搾取している」という批判声明を発表したのですが、裏を返せばこの声明は当時の中国がアフリカから多くの利益を得ていた証拠でしょう。

 廉価な製品販売を土台として、中国のアフリカに対する投資規模は年々拡大の一途をたどっています。2000年度は5億ドル程度だった投資額は15年度には60倍以上の約324億ドルに増加しており、現在までの総額は6900億ドル以上にのぼります。官営、民営を問わずアフリカ内の3000以上の企業が中国からの投資の恩恵を受けていると言われています。

 現在、多くのアフリカ諸国にとって中国は最大の貿易相手であり、強固な経済的関係を築いています。そのため、国際会議の場においてアフリカ諸国は中国を支持することが多々あります。クリントン元大統領の言葉通り、中共政府はアフリカを事実上「植民地化」していると僕は考えます。

 今後、尖閣諸島問題や南シナ海問題、あるいは核兵器開発問題など中国を起因とした国際問題に対し、アフリカ諸国が中国側を支持した結果、事態が中共政府の思惑通りになってしまうという可能性もあるでしょう。

■投資は脱貧困のきっかけになる

 今回の投資決定を受け、日本の左派層から「3兆円を国内の貧困対策に使え」といった意見が頻出しています。

 しかしアフリカは大幅に経済発展する可能性がある地域で、今後企業側が投資すれば多くの利益が見込めます。そういった観点から見れば、僕は今回の投資はむしろ遅すぎたようにすら思います。

 確かに国内の貧困問題を解決することは重要な事項ですが、そのためにはまずは企業の収益が増加し、結果多くの人々に富が行き渡る状態を築くことが大切だと思います。それを実現化するためには、今回のアフリカに対する投資のように、諸外国と強固な協力的関係を築き上げることは有効な手法となるでしょう。僕はこのような行為を「積極的脱貧困」と呼びます。

 対して左派層が提案する生活保護費の増加、奨学金の返済不要、アルバイト時給の増加といった手法は、いわば「黙って生活を保障しろ」といったもので、人々の勤労意欲をわき立てるものではありません。この「消極的脱貧困」とでもいうべき手法は、「働かず生活できる」という社会・共産主義者の願望に他なりません。

 中国は「安さ」を武器にアフリカ内に対し確固たる経済的地位を築きました。しかし、インドネシアの高速鉄道の件を見ればわかるようにほとんどが「粗悪品」にすぎません。対して日本が生み出す製品の品質は高性能で、世界中から支持されています。僕は日本側が「質」をうまくアピールできれば、アフリカ内のシェアを中国から奪還できると思います。

 僕は今回の投資をきっかけに日本の国際的地位の上昇、ならびにアフリカ側が中国の影響下から脱却することを期待しています。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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