【世代間格差】日本は今後残された富をどう配分すべきか|やまもといちろうコラム

【世代間格差】日本は今後残された富をどう配分すべきか|やまもといちろうコラム

Photo by Pixabay(写真はイメージです)

 山本一郎(やまもといちろう)です。朝、取引先に訪問するべく駅前のロータリーに向かったところ、渋いスーツを着た人たちがたくさんいたので「葬式でもあったのかな?」と思ったら企業訪問か何かの解禁日で、学生に人気の高いとされる某外資系消費財メーカーの入ったビルに黙々と吸い込まれていきました。何と申しますか、この時期しか経験できないこともたくさんあるので、いいことも嫌なことも世の中そんなものだと思って前を向いて進んでいってほしいものです。

 そんななか、我が国の失業率は2.8%とほぼほぼ完全雇用の状態でキープしています。アベノミクスのお陰なのか少子高齢化で労働力のリプレースが進まないからなのかは分かりませんが、完全な売り手市場ですね。それでも、前述のような外資系企業などに人気が集まるとこれはこれで大変なことになりますし、雇用状況がひっ迫しているからと言って、じゃあ給料がそうポンポン上がるのかというとそうでもないというのが実情であります。さらに、若者と高齢者では所得控除だけでなく公的年金控除額の差が出るため、若者は手取りがどうしても少なくなってしまう傾向にあります。制度上、そうであるから仕方がないんですけど、公的負担の世代間格差が若者の就労意欲を削ぐことについてはもう少し声高に叫んでも良いんじゃないかと思うわけですね。

 とりわけ学歴別にみると明快なのですが、男女間の賃金格差は縮小の傾向にあるとはいえ、やはり雇用の逼迫はより希少性のある高学歴の人から順番に椅子が埋まっていき、賃金の伸びは高学歴のほうが大きいという当たり前の結果になってしまうわけであります。みんな、まじめに勉強しような。

 2013年ごろから2016年までの統計を並べてみてみると、やはり「イケてる人」や「イケてる地域」とそうでない人たちとの間の格差が広がってきているのが実情で、お呼びがかかる人はどんどん高給になり、そうでない人はワープア状態から抜け出せない現実はあります。なぜか非正規雇用の問題になりがちだったわけですけど、実際には正規雇用かそうでないか以前に、その人が何を学んできたか、どう評価されるかで決まる部分が大きいということを考えると、就労の問題のスタートラインは教育制度の問題であることに気づきます。要は、イケてる人にしっかり稼いでもらい、しかるべき仕事に就けるようにしながら、日本経済の次の時代の勤労のロールモデルを作っていく必要があるよね、ということに尽きます。

 一方、少し前のニッセイ基礎研究所で興味深い論考が出ていました。

 下敷きになっている『若者は本当にお金がないのか?―統計データが語る意外な真実』もまずまず良書だったんですが、改めて数字で見ると「バブル期を含めて昔よりは」いまの若者の経済状態は一応上向いている、解決の方向に向かおうとはしていることが分かります。取りも直さず労働環境の逼迫で徐々に雇用が埋まり賃金を上げなければ人が集まらない産業から徐々に給与が引きあがっているに他ならないのですが、それでも税制上の不利や社会保障負担の増大などもあって貯蓄率は若い人ほど敏感に動く傾向にあるのは間違いなさそうです。

 私などは、バブル経済崩壊後の就職氷河期真っただ中に社会に放り出されたクチなのですが、バブル経済も知らず、たいして経済的にも良くなかった40歳代の日本人としては「この衰退していく(であろう)日本で、残された富をどう配分するのか」をもう少し真面目に考える必要があって、それは社会保障費の削減を前提とするべきなんだろうけど、高齢者がこれだけ増えて一票を握っている状態でいまの政治がそれをできるのだろうか? というあたりは着眼点として国民みなが持っていて悪くないと思うんですけど、どうでしょうか。

著者プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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