日本人全員が監視対象に?中国が施行する「国家情報法」の恐ろしさ

日本人全員が監視対象に?中国が施行する「国家情報法」の恐ろしさ

「国家情報法」で恐るべき監視社会が到来する? (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2017年5月16日、中共政府は「国家情報法」草案を公式ホームページに記載しました。この事実を中国の機関メディアは公表しませんでした。

■大富豪の賄賂事件をきっかけに国家情報法は生まれた

 中共政府が国家情報法を施行することを決定した理由は、大富豪・郭文貴氏の問題が要因になっていると思います。郭氏は、王岐山(中央紀律検査委員会書記)が胡舒立という女性との間に私生児を儲けたという話を暴露しました。

 事実かどうかは不明ですが、郭氏はこの件についてVOA(Vice of America。ボイス オブ アメリカ)で3時間話す予定になっていましたが、その話は約1時間で突然打ち切られました。慌てた中共政府が各方面に圧力をかけ、VOA番組を中断した、或いは、VOAの中にいる中国共産党のエージェントが、これ以上、郭氏に話をさせるとまずいと判断して、番組を打ち切ったのかもしれません。

 この出来事をきっかけに、中共政府は海外に住む中国人、または国籍を変更した人物を監視の対象にすることを決定しました。中共政府が付けねらう郭氏がアラブ首長国連邦国籍に変更したことがきっかけとなりました。例えば僕が日本に帰化したら、僕を監視するために日本国籍者が監視対象となるため、日本の皆さんがとばっちりを受ける可能性があります。

 近年「国家安全法」、「反テロ法」、「反スパイ法」、「NGO管理法」、「インターネット安全法」などは、習近平政権後に新設した法案です。それと連動する形で今回は「国家情報法」という草案を提出して、中共政府は国家安全局員を外国に派遣し、彼らに中国の国家機密を漏洩する恐れのある人物を監視、調査する権限を与えるそうです。

 国家安全局員が行う措置の具体的内容は、

•中共政府にとって不利とされる組織活動、及び容疑者の住宅と予測される場所へ突入し、容疑者を逮捕できる権利
•管制区域への突入権、例えば日本の場合は行政施設、マスメディア関連企業の社内、自衛隊基地などの公的施設
•偵察を目的とした盗聴器、監視カメラ、GPS機器などの使用許可
•容疑者が中国の海域に入国した際の拘束権

 といったもので、国家情報法が実施された場合、国家安全局員たちは日本の法律を無視して権力を行使することになります。国家情報法実施後は、僕のような日本国内で中共政府にとって不利な情報を発信する中国人や反中派の日本人評論家は、ただちに監視・逮捕の対象となるでしょう。

 香港メディアの報道によると、国家安全局員の多くが人民解放軍から転任した人物であるそうです。国家情報法が実施されれば、中国の軍人が大量に日本に入国するのと同様の状態となります。

 これは実質的な軍事侵略状態といえるでしょう。この事態を受け、中国の人権派弁護士・任権牛氏はアメリカのメディア「RFA」上で「数十年前から中共政府は世界各国へスパイを送り込んで、自国民のみならず外国人をも監視している。今回は既存事実を法制化するだけのことだ」と発言しました。

 さらに任弁護士は、国家情報の定義はあいまいとし、国家情報法実施後は反中的な言動を行ったと見なされる中国人、または日本人全員が中国当局の監視対象となる可能性があると発言しました。

 2017年6月現在、日本の野党議員や左派層は、テロ対策法案を「共謀罪」、「政府による監視法」と断定し、廃案を求めています。しかし、自国民のみならず他国民すら監視対象とする法律を制定しようとしているのは中国です。僕は野党議員や左派層が本当に抗議するべき相手は中共政府だと思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。

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