趣味で作った「下町衛星」が宇宙で“自撮り”へ! 東京・江戸川の町工場発

 ことし2月、アメリカから国際宇宙ステーションに向けてロケットが打ち上げられ、無事ドッキングに成功しました。このロケットには江戸川区の町工場で開発された人工衛星が積み込まれていました。宇宙へ旅立った「町工場生まれの人工衛星」に懸けるロマンと情熱に迫りました。 今回積み込まれた衛星は、宇宙が大好きでたまらない人たちが“趣味で作った”「下町ロケット」ならぬ「下町衛星」です。そして、衛星の役割は「地球を背景に、衛星自身が“自撮り”する」というものです。開発した「リーマンサット・プロジェクト」の代表・大谷和敬さんは、自分たちが開発した衛星が宇宙でどう活動しているか、写真を通じて自分の目で見たかったといいます。大谷さんが宇宙を好きになったきっかけはおよそ20年前、大学生の時に留学したアメリカでの出来事です。当時始まったばかりの民間の宇宙開発を目の当たりにし「自分たちもできる」と思ったということで、その思いは仲間たちと話しているうちにだんだん強くなっていったといいます。そして衛星を開発することを決意します。最初は人も技術もお金もありませんでしたが、徐々に宇宙に憧れる人や夢を持つ“熱い”思いを持つ人たちに取り組みが広がっていき、やがて全国から集まるようになりました。開発費もそれぞれが貯金を切り崩したりして捻出しました。大谷さんは「われわれは趣味の団体なので、人件費は含まれていない前提だが、開発費・打ち上げ費用の総額で600〜800万円ほど」と話します。 7年前に現在のプロジェクトを立ち上げ、成功と失敗を繰り返しながら“宇宙が大好きな人たち”だけで作った人工衛星はことし3月、国際宇宙ステーションに滞在する野口聡一宇宙飛行士の手によって最終チェックが全て完了し、宇宙空間へ放出する「ランチャー」に装填(そうてん)されました。 日本時間の3月14日午後8時20分、大谷さんたちの衛星は無事、宇宙へ飛び出しました。江戸川区内の町工場で固唾(かたず)を飲んで見守っていた他の開発メンバーたちもほっと一息です。大谷さんは「やりたいと思ったことは全て集約し、チャレンジして実際に宇宙に送れるような衛星が作れると証明できたのでは」と話しました。 宇宙に飛び出した衛星は、これから衛星の角度や太陽の位置を測り「インスタ映え」するような自撮りに挑戦するミッションが続きます。しかし大谷さんはこれに満足することなく、さらに大きな夢を実現しようとしています。大谷さんは「誰でも…親子でもできる宇宙開発、一緒に宇宙開発ができる時代がもうすぐそこまで来ていると思う」と語ります。開発チームではすでに月面探査機の試験が始まっていて、今後も“趣味”として宇宙開発を続けていきたいと話しています。

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