コロナ禍の「卒業式」は時間との闘い! 東京・墨田区の小学校

 卒業シーズンを迎えましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で例年とは様子が異なるようです。東京・墨田区の教育委員会は「卒業式の時間は30分以内で」という通知を出しています。コロナ禍で行われた小学校の卒業式を取材しました。 墨田区にある区立両国小学校は「卒業式を30分以内で」という制限を受け、「なんとか30分以内で厳かな式を挙げたいと思ったので工夫した」(平林久美子校長)といいます。卒業式の5日前、会場となる体育館に集まった2クラス合わせて71人の6年生は、校長先生の「30分以内に全員に絶対卒業証書を手渡す」という思いに応えるため、一丸となってできるだけタイムロスを少なくするよう何度も練習を繰り返しました。式の成功が、6年間お世話になった先生へのなによりの恩返しです。 そして迎えた卒業式当日。平林校長は「いろいろ制限がある中だが心を込め、丁寧に卒業生を送り出したい。子どもたちが主人公なので、私の式辞は短く1分20秒に納めた」と話しました。式辞は1カ月練って、10回以上書き直したといいます。午前10時に始まった卒業式では、校長先生の「一人一人の目を見て渡すから、私の目を見て受け取って」という思いに卒業生が応えていきます。少しずつ減っていく30分の「制限時間」、そして同時に先生や学校の仲間たちと一緒にいられる時間も減っていきます。 最後の1人まで卒業証書の授与が終わり、いよいよ平林校長の祝辞です。「もしも歩いていく途中、大きく重そうな扉が道をふさいでいたらどうしますか。諦めて引き返しますか。それは夢を捨てるということです。皆さんの門出を祝し、私が大学の入学式で出合った言葉を贈ります。『たたけよ!さらば開かれん!』卒業おめでとう!」──時間を見ると式典が始まってから28分がたっていました。 卒業生は小学校生活を締めくくる“最後の挑戦”で見事成功を納めました。平林校長は「ほっとした。なんとか30分でできたし、短いながら厳かな式になった。今年1年言い続けてきた言葉『進め、学びの道! 諦めるな夢!』。これから大変な時代を生きていく子どもたちだが、夢を諦めずに前進してほしい」と最後のエールを送りました。 それぞれの夢を胸にこの日巣立った両国小学校の6年生71人にとって、手渡された卒業証書と校長先生や仲間たちと過ごした時間はきっと一生の宝物となることでしょう。

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