老舗ガイドブック「地球の歩き方」 窮地を救った新シリーズ

 海外旅行に行ったことがある人にはおなじみの旅行ガイドブック「地球の歩き方」が“本気で生き残ろうとしている”とSNSなどで話題になっています。



 1979年創刊の「地球の歩き方」は40年以上の歴史を誇る旅行ガイドブックです。国や地域ごとに観光名所の案内だけでなく、旅に必要な知識が詰まった実用書となっています。新型コロナが世界中で流行する前はシリーズ全体で年間800万部の売り上げがありました。そんな「地球の歩き方」ですが、編集部の福井由香里さんによると、コロナ禍で9割近く売り上げが減少してしまったといいます。海外に取材に行くこともできず、2020年8月以降は改訂版の製作ができない状態です。

 メインの商品を作れない大ピンチの状況を救うきっかけとなったのが、2020年7月に発売された「世界244の国と地域」です。創刊以来初めて、国や地域ごとではなく世界全体を網羅した内容になっています。実はこの本は新型コロナが流行する前から創刊40周年の記念として企画され「オリンピックを見ながらこの本を読んでほしい」という思いで作られたということです。国の名前や国旗と一緒に、その国や地域の特徴が写真付きで紹介されています。パラリンピックでも選手入場の時などに知らない国を調べてみると楽しめそうです。

 オリンピックを前に「世界244の国と地域」がヒットしたことを受け、旅の図鑑がシリーズ化しました。これまでに世界の「城」や「巨岩」、「料理」といった個性的なテーマで第9弾まで出版されています。近日中には「聖地・パワースポット」なども登場する予定です。こうしたテーマは企画会議で編集部員から募集したものの中から面白いものを採用するということです。編集部の福井さんは「今までのレギュラー版には載せられなかった情報をここぞとばかりに詰め込んでいる」「コロナ収束後に旅行に行きたい国の参考になれば」と話しています。

 最後に「地球の歩き方」編集部に今後の展望を聞きました。実は2020年9月に創刊40周年記念として、初の国内版となる「地球の歩き方−東京−」を発売しました。東京に旅行する人向けだと想定していたところ、意外にも「地元の魅力を再発見できる」ということで、東京都民に人気が出たといいます。しばらくは海外へ取材に行けないので、女性向けのガイドブックブランド「aruco(アルコ)」で"東京で海外料理を楽しむシリーズ”など、国内の情報を強化していく方針です。もちろん海外渡航再開に向けての準備も怠りません。現地にいる特派員がSNSで最新情報を発信していて、書籍化ではどうしても数カ月かかってしまう情報を、SNSを活用することでカバーしているということです。

 旅行に行きたくてうずうずしている人も多いと思いますが、もうしばらくはガイドブックなどで想像しながら我慢しましょう。

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