なぜ?日本の食卓がピンチ 値上げラッシュが家計を直撃

 今、食品の値上げが相次いでいます。すでに値上げされているものもこれから値上げされるものもありますが、値上げの背景は1つではないようです。なぜ値上げが続いているのでしょうか。経済ジャーナリストの磯山友幸さんとともにひも解きます。



 今年の天候不順が国産の農作物に打撃を与えています。今、特にピンチなのがジャガイモです。8月以降に流通するジャガイモの主な産地・北海道で30℃以上の高温が続き雨がほとんど降らなかったため、東京中央卸売市場への入荷量が例年に比べ30%ほど減少し、価格が上がっています。加工用のジャガイモが特に影響を受けやすいことから、台風で不作となった2017年に一部のポテトチップスメーカーが製造を中止した通称「ポテチショック」の再来も懸念されています。

 西日本で深刻な被害が出た8月豪雨の影響で、葉物野菜の値段も高騰しています。さらに今後の影響が懸念される農作物が「お米」です。カビの一種・いもち病が長雨の影響で流行の兆しを見せていて、成育状況が良くないと回答している県も多く、台風なども重なれば米不足に陥る可能性が懸念されています。また、大豆も生産量上位の福岡県と佐賀県で半分近くの畑が冠水して収穫量が4割減少する見込みとなっていて、価格への影響が懸念されています。

 値上げは農作物だけではありません。より一層家計への影響が大きいのが「世界的な原料価格の高騰」による値上げです。まずは小麦粉です。日本政府は輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格を10月から19%引き上げることを決定しました。過去2番目の上げ幅で、物価への影響として食パン1斤当たり2.3円、外食のうどん1杯当たり1.4円の値上げとなります(農水省試算)。また、食用油も値上げされます。日清オイリオは11月から家庭用食用油を1キロ当たり30円以上値上げします。食用油の価格の見直しは今年だけで4回目で、すでに1キロ当たり100円以上の値上げとなっているところにさらに上乗せとなります。他にもアメリカ産の牛肉や豚肉、砂糖、コーヒーなども値上がりしていて、これらの値上げの影響は加工食品にも波及し、マヨネーズやマーガリン、冷凍食品なども値上げ、または今後の値上げが予定されています。

 こうした値上げのポイントは「海外からの輸入価格の上昇」が主な要因です。輸入価格が上がる原因には「コロナからの経済回復による需要の増加」「コンテナ不足などによる輸送コストの上昇」「コロナ対策の金融緩和によって市場にお金が出回り、投機の過熱」などが挙げられます。日本は食料の多くを輸入に頼っているため、影響を受けてしまいます。

 そして、経済ジャーナリスト・磯山友幸さんが指摘するのが「世界の中で日本がどんどん貧乏になっている」という点です。磯山さんは日本円の「実効為替レート」とのギャップや、世界的に見ると日本だけが経済成長せず、物価が低いままである点などを指摘しています。これらを改善していくためには、内部留保を給与・賃金に充てて消費に回していくことや、労働力の移動など社会構造の変化を進め、経済の循環を推し進めていくことが必要だと提言しています。食品の値上げに一喜一憂しているだけはなく、長期的な経済政策にも注目していくことが大切になりそうです。

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