課題は? 取得率が低い「男性の育休」

 政府は2025年までに男性の育児休業の取得率を30%にするという目標を掲げていますが、徐々に数値は上がっているものの実際には全国平均で13.97%にとどまっています(厚生労働省まとめ)。一方、東京都は全国よりも取得率が高く23.8%で、増加傾向にもありますがそれでもまだ2割程度です。東京都の小池知事は「仕事を休む」といった後ろめたいイメージを払拭しようと「育休」に代わる愛称を広く募集し、6月に東京都内では「育業」にすると発表しています。今回は、取得率がまだまだ低い「男性の育児休業」について、専門家や実際に取得した人にTOKYO MXの森田美礼キャスターが話を聞きました。



 全国でセミナーなどを通じて男性の育児休業を応援している「育Qドットコム」の広中秀俊代表は、男性の育休が進まない背景は企業側にあると指摘します。広中さんは「原因は『社内で過去に育休を取った人がいないから、取り方が分からない』とか、一言でいえば"雰囲気が社内にないから”」と指摘します。そして「大企業は社内に男性も育休を取ってもいい雰囲気ができつつある。でも、中小企業だと代替要員が確保できず、休んだ時に人の穴埋めができないという理由でなかなか進んでいないのが現状」といいます。

 広中さんは「育休を取りやすい雰囲気づくりが大切」とした上で、中小企業などで課題となる「社内での代替要員」については、国や東京都からの給付金を活用してほしいと話します。現在、代替要員を1人採用した場合には20万円、3人以上なら45万円が給付されます。

 一方、2019年から1年間育休を取得したという松浦稔夫さんは、2歳の子どもを育てている都内に住む会社員です。松浦さんは育休の取得が進まない理由として別の要因も挙げています。松浦さんは「個々人のキャリアや収入については、私も一応検討し、懸念した部分だった。収入を確保できるかどうかや、育休復帰後にキャリアを予定通り築けるかどうかというのは大事。何かしら担保されれば、一歩踏み出せるのではないかと思う」といいます。

 育児休業を取得する前は「懸念があった」という松浦さんでしたが"妻をサポートしたい”と取得を決意し、その結果、大いに満足していると振り返ります。松浦さんは「かけがえのない時間だった。もう一回やろうと思ってもできるものでもないので、そういった意味で本当に貴重な逃してはならない時間と思っている」と語ります。

 子どもが生まれたばかりの父親にとって育休取得のハードルとなるのは社内の雰囲気や代替要員だけでなく、長期にわたって仕事を休むことによる収入面やキャリアへの影響という面もあるようです。これに対し「育Qドットコム」の広中さんは「収入面は、雇用保険で最初の半年間はおよそ8割、その後の半年間はおよそ6割補償される」と紹介し、キャリア面については「育休取得率の高い企業はSDGsの観点からもプラスのイメージになり、投資家からも高い評価になる」としていて、育休の取得が不利にならないように企業側が考慮していく必要がありそうです。

 男性の育休取得にはさまざまな面からの支えが必要となる中、10月からは新たな国の制度「産後パパ育休制度」が創設されます。この制度は「育児休業」ではなく「男性版の産休」といわれています。現在の制度では子どもが1歳になるまで育休を1年間取得できますが、新たな制度によって10月からは「育休」に加え、生まれたばかりの時に取れる「産休制度」が追加されるのです。出生後8週間以内に4週間まで取得可能で、一気にまとめて取るだけでなく2回に分割して取ることもできます。

 制度が柔軟になり、企業側が制度を活用して体制を整えることで、男性も育休を取りやすい社会となることが期待されます。そして、ハードルとなる収入面やキャリア形成への不安が少しでもサポートされることも求められます。

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