巧妙化する詐欺を防いだコンビニ店員「止めなければという一心だった」 警視庁・高井戸署が感謝状

 詐欺を未然に防いだとして、東京・杉並区のコンビニ店の店員に感謝状が贈られました。“お手柄”となったその裏には、詐欺の巧妙な手口に気付いて行動したとっさの判断がありました。



 9月16日、警視庁・高井戸警察署長から感謝状が贈られたのはコンビニ店員の茂原彩希さん(32)です。茂原さんが働く杉並区内のコンビニエンスストアに1本の電話がかかってきたのは8月19日のことでした。電話は女の声で「そちらの(コンビニ店の)男性従業員にナンパされて困っています」というクレームの内容で、茂原さんは電話の対応に当たりました。しかし茂原さんには思い当たるスタッフがおらず電話を不審に思っていると、その時、茂原さんの目に入ってきたのは、防犯カメラに写る"携帯電話で通話しながらATMを操作する高齢女性の姿”でした。"不審なクレーム”と"携帯電話で話す高齢女性”が同時に起きていることから、複数人による詐欺を疑った茂原さんは急いでATMに向かいました。すると、高齢女性が汗をかきながら焦った様子でATMを操作していたのです。茂原さんは「以前から警察に『電話をしながらATMを操作している人がいたら、声をかけて』と言われていたので、女性に電話を切ってもらった」といい、茂原さんのとっさの判断によって詐欺の被害を未然に防ぐことができたのです。

 茂原さんは「とりあえず止めなきゃ、という一心だったので、動けたのかなと思う。警察署から『最近このあたりで(詐欺と思われる)電話が鳴っているので、店でも気を付けてATMなどを見るように』と連絡が小まめに来ていたので、なんとなく頭の片隅にあった」と振り返りつつ「(高齢女性が)後日、店に来て『本当にありがとう。自分が被害に遭うとは思わなかった』と言っていた。詐欺が本当に実際にあるんだと感じる出来事だったが、お客さまを救えたので本当に良かった」と語りました。

<お手柄店員 巧妙化する詐欺を防いだ好判断>

 見事、詐欺を未然に防いだ経緯を改めてまとめました。

 まず、コンビニエンスストアに「店の男性従業員にナンパされて困っている」と、若い女からクレームの電話がかかってきました。電話を受けた店員の茂原さんは「うちのコンビニにそんな人はいない」と不審に思いつつ、話を聞いていました。この時、茂原さんは過去にも不審なクレーム電話を受けた経験があったことから「詐欺なのでは?」という意識が頭をよぎったといいます。そんな中、不審な女からの電話を受けながら、店内の業務スペースにある防犯カメラの映像を見てみると、携帯電話で通話をしながらATMを操作している高齢女性の姿がありました。茂原さんはそこで、クレームの電話主が複数人による詐欺グループの一員で、クレームの電話で店員の気を引いている隙にATMコーナーの高齢者に入金させるのだと確信して、電話を保留すると、ATMを操作する高齢女性のところへと駆け付けました。

 茂原さんは、汗をかきながら焦っている様子の高齢女性に振り込みをやめるよう声をかけ、女性の電話を代わりました。高齢女性と会話をしていた電話の相手は銀行員を名乗り「役所や警察とも連携している。怪しいものではない」などと話していたということですが、高齢女性がパニック状態で7万円を振り込もうとしていたことなどから詐欺だと判断し、「一度振り込みをストップしてもらいます」と電話を切り、無事、振り込みを防ぐことができました。

 この店のATMには警察からの注意喚起の掲示なども張られていて、日頃から詐欺被害への意識が強く、犯行を防ぐことができたということです。

 高井戸警察署によりますと、振り込め詐欺や還付金詐欺といった特殊詐欺で、被害者と電話で話す犯人とは別に、今回のようにATMに注意を向けないように他の人間が店にクレームの電話をかけ、その隙に振り込みを完了させる手口が高井戸署管内だけで2022年4月からこれまでに4件発生しているということです。高井戸署は、今回のように携帯電話を片手にATMを操作している高齢者がいた場合、ためらうことなく声をかけるか、110番通報するように呼びかけています。

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