緻密な業務計画を作るのは時間の無駄! 必要な要素はたったの2つ

緻密な業務計画を作るのは時間の無駄! 必要な要素はたったの2つ

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 JR東日本が4500億円、日本航空が3000億円規模で、損益の下方修正をした。上場企業の売上高の下方修正額は、東京商工リサーチによると10兆円にのぼるという。経営環境の激変により、年度始に立てた計画の変更を余儀なくされるようになった。

◆変更を余儀なくされる業務計画

 年度の変わり目に例年通り、分析に分析を重ね、精緻なデータを揃え、予測の確度を高め、時間をかけて計画を立てて、個人の業務計画を立てている人もいるだろう。

 しかし、厳密に立てようとすればするほど、「どうせ変更せざるを得ない」「到達できるかどうか不確かだ」という不安が高じてしまう。

 上司との間で、ああでもない、こうでもないとやりとりをすればするほど、「あれこれ議論しても、どうせ変更しなければならないのに」と時間の無駄だと思えてしまう。そんな人が増えてきた。

 このように申し上げると、「そもそも、業務計画をしっかり立てなければ、業績が上がるはずがない」「細部にわたるまで精査して、時間をかけて、じっくりと作成すること自体に意味がある」という声が聞こえる。

 私はそうは思わない。個人の業務計画の策定に必要以上に時間を割くことはない。枝葉末節にこだわる必要はない。必要なことは「戦略仮説」の設定と、重要度・緊急度・貢献度の優先順位づけだけだ。これさえ抑えておけばよい。

◆戦略仮説設定と優先順位づけ

 戦略仮説とは、実現したい目標や到達地点の状況が適うための仮説で、たとえば販売件数はこのレベル、販売顧客数は○人以上になっていれば、目標が達成できるという前提だ。

 そして、その仮説を満たす要件を洗い出す。たとえば、販売件数がこのレベルになるために必要な商品のラインナップ、個人の活動、チームの活度などの水準を明確にする。これをブレイクダウンすることで、業務計画のアクションが洗い出される。

◆「たった一時間」がかえって効果的に

 アクションが洗い出されたら、今度はアクションの観点から、重要度・緊急度・貢献度の優先順位づけをする。

 重要度は、このアクションを実施しなければ目標達成できないという観点だ。緊急度は期間を区切って峻別する。貢献度は、そのアクションがもたらす売上規模の大小だ。

 慣れてくれば、戦略仮説の設定は30分程度、アクションの優先順位づけは15分程度で実施できる。私はむしろ、一時間以上、時間をかけないことをお勧めしている。

 個人レベルの業務計画であれば、限られた時間で作成したり優先順位づけできることをして、すぐに実行に移す。一か月程度実施してみて、修正が必要であれば、そのタイミングで業務計画を修正するということのほうが、業務計画の実行度合が高まるからだ。

 ああでもないこうでもないと何時間も何日もかけて、分析しているだけで実行に移せないことの損失のほうがはるかに大きいからだ。

◆修正はアクションを起こしながら

 質問:じっくり時間をかけて作成したほうが精度は上がるのではないか

 わずか10分足らずでアクションプランを作成するということですが、もっとじっくりと時間をかけて、重要度や緊急度や貢献度を厳密に見極めて、優先順位を考えたほうがよいのではないでしょうか? 優先順位の精度の高さが足りないのではないかと心配です。

 回答:アクションしながら優先順位の修正をしていく

 私は逆の考えをしています。アクションプランに長い時間をかけるのではなく、アクションすることに時間をかけるべきだと思います。

 ほとんどの企業でアクションプランの作成が行われていますが、一時間をかけて作成するケースはざらで、なかには数時間かけて精密なものを作成している会社もあります。

 私はアクションプランの作成には10分以上かけるべきではなく、そのぶんアクションに時間をかけて、アクションしながら優先順位の修正をしていくということをお勧めしています。

 一枚の付せんに重要度の大中小、緊急度の大中小、貢献度の大中小の円という順に一度に記入して、2枚目の付せん、3枚目の付せんに移っていくのではないのです。

 重要度の大中小を10枚の付せんに一気に記入し、それが終わったら、緊急度の大中小を10枚の付せんに一気に記入、最後に貢献度の大中小の円を10枚の付せんに一気に記入することをお勧めします。

 そうすることで、思い込みを排除し、重要度・緊急度・貢献度、各々の軸で精度高く優先順位をつけることができます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第233回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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