急速に話題が減った「Clubhouse」。スピ系有象無象が手まねく場になっていた

急速に話題が減った「Clubhouse」。スピ系有象無象が手まねく場になっていた

Yalcin Sonat / Shutterstock.com

◆急速に飽きられた「Clubhouse」

 SNS新時代の幕開けのごとく持ち上げられていたClubhouseの話をさっぱり聞かなくなった。急速に広がったのに、あまりに早く飽きられてしまった印象だ。

 「胡散臭い人達の遊び場」と化してしまったことが理由の一つではないだろうか。

 どんな馬鹿げた発信をしても、実名というだけで信用される方々が幅を利かせるトンデモサロンと化してしまったルームが散見される。

 「信者ビジネスの監視」を掲げる筆者には、連日のように「こんなヤバい部屋ありました」「こんなアホなこと言っているのを聞きました」とのメッセージが寄せられた。

 規約では、「「オフレコ」と表明された情報をClubhouse内または他の場所で共有すること」が禁止されているが、「規約違反だから漏らしちゃダメだよ!」で会話の流出が阻止できると考えている人は甘すぎないだろうか。

 クローズドな場所を守るあまり犯罪の温床になっては元も子もない訳で、週刊誌をはじめ、メディアはそんな法的効力のない決まりに従う気はさらさらない。

 報道における「オフレコ」は、取材対象と記者の信頼関係が大前提だ。一方、Clubhouseのそれは、実名が原則とはいえ不特定多数の聴衆がいる場所で、「内緒にしないと面白くないから」程度での口約束に過ぎない。

 本稿ではそんな規約違反を恐れず、公益性を重視したのであろうタレコミを紹介したい。まずは「霊能者が語る」といった有り難いお言葉を受けるお部屋の話から。

◆「霊能者が語る」部屋に訪れた大物歌舞伎役者

 件の部屋を立ち上げた人物は天宮玲桜氏。昨年、女優の竹内結子さんが亡くなった後、ブログに「天宮先生に助けて欲しかったと泣いていますよ」と書いて炎上。あえて彼女に霊能力があるかないかの議論を無視するなら、不謹慎極まりない人物だ。

 なにせ前世が卑弥呼(自称)で、「卑弥呼の墓は大分県宇佐市」と豪語してツアーを組み、セミナー会場で、その墓で採ったという「小石状のパワーストーン」まで販売した過去がある御方。

 ほかにも色々とやっていることは割愛するが、そんな考古学者も大注目(?)の自称霊能者にはコアな信者さんも大勢おられるようで、Clubhouseでも信者を相手に軽快なトークを展開していたのであろう、ある日のこと。

 なんと、大物歌舞伎役者のE氏がそのルームに乱入してしまったのだ。

 情報提供をもとに、少しぼかしながら会話を再現したい。

天宮「あ、Eさん? 大好きですう」

歌舞伎役者E「霊能者って書いてあったので面白そうだと思って来ました。誰が霊能者?」

天宮「はい、私です」

歌舞伎役者E「霊能者っぽい話、しないんですか」

天宮「では、Eさんのオーラをみてみましょう」

歌舞伎役者E「はい」

天宮「えっと、Eさんのオーラは金と赤。これはおめでたい色。みんなに幸せをもたらす人ですね」

歌舞伎役者E「そうですか。当たるんですか、この人。ハハハ、ありがとうございました(退出)」

信者「すごい!すごい! ……弥勒様(天宮のこと)、さすがです!」

天宮「私はEさんの関係者は本当に知っていてね。今回のことは亡くなった奥様の霊が導いてくれたことですね」

 ……いかがだろう。

 ほんの暇つぶしに訪れた有名人。運よく会話が成立し、当人が去った後に信者に向けて吹いただけだとは分かるが、その場にいる人は、信者でなくても「すごい人だ」と勘違いしてしまったことだろう。

 この後、天宮氏は「Eさんに遊びにきていただき、オーラを霊視させていただきました」と、ブログにがっつり投稿している。有名人お墨付きの完成だ。

 断っておくが、普段から大物政治家、有名芸能人、一部上場企業社長らを鑑定してきた「と、吹聴している自称霊能者」である。

 頻繁に更新されるブログなどに、驚くような大物が登場したことはほぼないから、恐らく守秘義務を固く守っているか、大げさなのかのどちらかだろう。

 だから、こんなClubhouseバブルは偶然だし、二度と起こらないはず。と、甘く見ていた私が本当に甘かった。

◆またしてもスピ系の部屋に……

 別の日。「【天国への電話】日本を代表する霊能力があなたと、亡くなった人をつなぐ。この人、本物 by 絵本作家のぶみ」とのルームが立ち上がっていた。

 のぶみ氏はたびたび炎上することでおなじみの絵本作家。そして「日本を代表する霊能力」で「本物」とされてコラボしているのはまたも天宮氏。二人はスピリチュアルビジネスでの繋がりなのか、旧知の仲のようだ。

 その「日本を代表する霊能力」に惹かれたのか、のぶみ氏との繋がりか、今度はなんと世界的アニメの主役を務める超有名女性声優Mさんが「【天国への電話】」のゲストスピーカーになっていたというのだ。

 Mさんは昨年、事務所のトラブルに見舞われ週刊誌沙汰になっていた。大病もされ、苦労した過去があるとのこと。頻繁にClubhouseにいるのを目撃されるらしい。

 情報提供者が会話を聞き始めた頃、既にMさんは「号泣していた」。

 そこに「亡くなったご親御さんは、あなたには大変な思いをして欲しくないと仰っていますよ」と天宮氏。霊能力がなくても誰にでも言えそうなこんな慰めに、声優さんは泣きながら両親とのエピソードなどを打ち明けたという。

 天宮氏はこのように畳みかける。

「数か月以内に理解者が現れます。女性2人と……男性が1人。挨拶もできないようなこんな人が? と思うかもしれない。事業が軌道に乗るのは2年後ですね」

 その3人組が何者なのかは分からないが、自称霊能者の頭の中で具体的にイメージできている出会いが実際に訪れたとして、この声優Mさんが「本当だったんだ!」と思ってしまって進む先に待つものは……。もう泣かせた時点で「大物声優、ゲットだぜ!」なんて思われていないだろうか。

 心が弱った時に背中を押してもらいたいのは分かるが、ちょっと慎重に考えた方がいいのでは。こんな「自称霊能者」の他に頼る人はいなかったのだろうかと心配になる。

◆有名人が訪れても部屋主催者の信用を担保しない

 このような「霊能者」だけでなく、「開運」「稼ぐ方法」「成功の秘訣」などを謳う部屋に、たとえ有名タレントが来て会話していたからといって、主宰者の信用は担保されないと思ってもらいたい。

 文章ならば誰かに読み返された時、「おかしい」と否定されることでも、音声であれば雰囲気と勢いで人の心を掴むことができるかもしれないのだ。

 ましてや話を外部に漏らさないという制約も一応あるSNS。早くも廃れてきたとはいえ、同じ興味を持つ人が集まる閉鎖的空間が、まるでカルト宗教のように先鋭化してしまっていないかなど、十分に注意してほしい。

<文/黒猫ドラネコ>

【黒猫ドラネコ】

大分県出身。Webライター。主に怪しいスピリチュアル界隈や信者ビジネスなどを観察し潜入取材も敢行。赤坂のイベントBar「三代目」に出没します。

Twitter:@kurodoraneko15

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