コロコロ変わる業務方針にもうウンザリ。モチベーションを下げずに効果を上げる方法とは

コロコロ変わる業務方針にもうウンザリ。モチベーションを下げずに効果を上げる方法とは

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 年度が変わって、全社・チーム・個人の業務方針も心機一転し、取り組み始めている時期だろう。劇的な環境変化に直面し、業務方針が大きく変更になった人も少なくないはずだ。

◆方針は絵に描いた餅ではない

 毎年この時期に質問を受けることに、「業務方針の実現度が高まらない」というものがある。

 一生懸命取り組んでいるにも関わらず、方針が実現していかないことが繰り返される。「方針を実現しよう」「徹底しよう」と声を荒立てるにつれて、逆に現場の取り組みは希薄になる。ひいては、「方針は単なるスローガンなので、実現しなくてもしょうがない」という諦念さえ生まれてしまっている。

 業務方針の実現度を高める、効果的な方法がないだろうか。このように申し上げると、「長年、多くの企業が、方針の実現のために苦労してきたのだから、そんなうまい話があるはずがない」「それがわかれば苦労しない」という声が聞こえてくる。

 しかし、実は業務方針の実現度を高める方法がある。それも、数分の演習でほとんどの参加者が身につけることができ、活用できる方法だ。それが、方針実現に必要なモチベーションファクターと、自分のモチベーションファクターのギャップを解消する方法だ。

◆モチベーションファクターがカギに

 モチベーションファクターとは意欲が高まる要素で、チャレンジすることで意欲が高まる「目標達成」、独自性を発揮することで意欲が高まる「自律裁量」、責任を果たすことで意欲が高まる「地位権限」、協力することで意欲が高まる「他者協調」、リスク回避で意欲が高まる「安定保障」、バランス維持で意欲が高まる「公私調和」の6つにわかれる。日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、ほぼ均等にこの6つに分布する。

 よく言われる「相性が合う」ということは、モチベーションファクターが一致しているということで、「気が合わない」という状態は、モチベーションファクターが異なるということだ。

 たとえば、「目標達成」の人同士であれば、「高い目標に向かってチャレンジしよう」と誰かが言えば、ほかの人も「そのとおりだ。リスクを度外視して、取り組もう」と意気投合する。

 ところが、そこに安定保障の人が入れば「いや、リスクがあるので、すぐに取り組まないで慎重に検討したほうがよい」と別の見解を持つに違いない。モチベーションファクターはなかなか変わらないので、変えようと思っても変わらない。

 そこで、相手のモチベーションファクターと、自分のモチベーションファクターの両方を満たす実施内容を、プロセスに組み込んでおくとよい。「バックアッププランを立てて(安定保障)、高い目標に向かってチャレンジする(目標達成)」というようにだ。そうすると、チームの成果が上がりやすくなる。

◆業務プロセスの組み方に注目

 これと同じ考え方で、業務方針に必要なモチベーションファクターと、自分のモチベーションファクターの両方をプロセスに組み込んでおくと、業務方針の実現度が高まるのだ。

 たとえば、「起業家精神を発揮して情熱的に仕事に取り組む」という方針があったとしよう。この方針の実現に必要なモチベーションファクターは「自律裁量」だ。自分のモチベーションファクター「他者協調」だったとしよう。

 この場合なら、「担当業務のプログラムの改善点のアイデアを洗い出すため(自律裁量)、メンバーで協力して知恵を出し合うミーティングを行う(他者協調)」というプロセスをセットする。

 「法令を遵守し、構成で透明性のある活動を行う」という「安定保障」の方針で、自分は「目標達成」だったら、「自分のアクションの各々について、法令順守しているかどうかを確認し(安定保障)、その確認項目の達成度合を高める(目標達成)」というようにプロセス設計する。

 業務方針の内容は千差万別だ。千通りも業務方針のそれぞれに最も合致する、千通りのアクションを明定することは至難の業だ。しかし、日本のビジネスパーソンが均等に分布されるこの6通りで見極めることは、簡単で誰でも数分で実施できるようになり、効果が上がる。

 業務方針のモチベーションファクターと自分のモチベーションファクターの両方をプロセスに盛り込むことを、是非試してほしい。

◆自分と仕事の関係を改善しよう

 質問:モチベーションファクターに合わない仕事の成果を上げる方法

 自分のモチベーションファクターに合っていない仕事をする時にも、業務の進捗を早めたり、ストレスを感じないようにできたりして、成果を上げる方法はないでしょうか?

 回答:自分と仕事のモチベーションファクターを繋げて考える

 自分とは異なる、相手のモチベーションファクターに合致した助言・指導・進捗管理・フォローなどをしていくと、相手と自分との関係が改善します。

 それと同様に、自分のモチベーションファクターとは異なる、その仕事に必要なモチベーションファクターを意識的に発揮することを心がけていくと、仕事が進捗し、パフォーマンスが上がりやすくなります。

 その仕事に必要なモチベーションファクターを意識的に発揮するということは、自分のモチベーションファクターと仕事のモチベーションファクターを繋げて考えるということです。

 たとえば、リスクを顧みずチャレンジングな取り組みをすることを好む目標達成のモチベーションファクターの人が、システムのエラーを発見する安定保障の仕事を付与されたとします。その場合は「ひとつひとつエラーを見つけることに(安定保障)、チャレンジしよう(目標達成)」という考え方をしていきます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第235回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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