婚活アプリ利用の詐欺容疑者の顔から学ぶ、危険な異性を見抜ける「表情」とは?

婚活アプリ利用の詐欺容疑者の顔から学ぶ、危険な異性を見抜ける「表情」とは?

マッチングアプリのプロフィール写真や、対面したときの表情……ここに相手の本性を知るヒントが隠されているという

 こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日は、婚活アプリを利用した詐欺事件の容疑者の表情を読み解くことを通じて、恋愛関係にまつわる表情観察ポイントについて書きたいと思います。

 表情分析に用いた容疑者の画像はこちらのニュースのものを利用しました(【独自】婚活アプリで「理想の男性」装い詐欺 被害女性が証言)。

 容疑者と被害者の女性がともに写っている0:29秒の写真の中の容疑者の表情を分析すると、次のことがわかります。

 眉が引き上げられる+眉が中央に引き寄せられる+目が見開かれる+(下)まぶたに力が入れられる+口角が引き上げらる+唇が離される、という表情筋の動きが観られます。

 これは恐怖(不安)と幸福表情のコンビネーションです。恐怖(不安)の原因は、自分の顔写真が残ることからくると考えることも出来ますが、その他の写真(1:19秒)では、恐怖の表情筋の動きはなく単に口角のみが上げられる幸福表情もあるので、恐怖(不安)を抱く他の理由があるのかも知れません。

 続いて、1:19秒の写真の口角の引き上げは、愛想笑いかあるいは弱い幸福感情を抱いていると考えられます。

 一方で、0:26秒の写真では、口角が引き上げられる動きに加え、真の幸福感情のマーカーだとされる頬の引き上げが生じています。

 さて、事件の真相は裁判所に任せるとして、これらの表情と感情の関係を通じて、恋愛や夫婦関係、仲の良い者同士の中で日常的に見られる表情に話を広げたいと思います。

 二人で写真を撮影するとき、常に本当に楽しい感情の瞬間であるとは限りません。そのため、頬が引き上げられず、口角のみが引き上げられる愛想笑い、あるいは弱い幸福感情が相手の顔に現れることは、特段、不思議なことではありません。

 しかし、1:19秒の写真のようにネガティブな表情が現れる場合、「なぜ?」と疑問を持つとよいでしょう。

 例えば、恐怖(不安)の原因は、浮気の証拠として残ることを懸念しているのかも知れませんし、写真の後で何か重大なことを告白しようとしていたのかも知れません。

 もし、鼻にしわの寄る嫌悪表情が愛想笑いの中に隠されていたら、その嫌悪の原因は、ディナーの席での会話が相手にとって受け入れ難い話題であったかも知れませんし、嫌いな料理がサーブされた後かも知れません。

 眉が中央に引き下がり眉間にしわが生じる怒りあるいは熟考表情が愛想笑いの中に隠されていたら、何か考え事をしている最中に写真撮影が行われたのかも知れません。

 このように恋愛関係において相手のネガティブな感情を察することが出来れば、関係性をより良いものにしていくキッカケが得られるでしょう。

◆関係の深さをはかるには、笑顔の変遷に注目

 より具体的に言えば、ある出来事に対する相手の表情に敏感になることで相手と同じ感情を共有できるようになるかも知れません。同じ感情を共有することが出来れば、同じタイミングで奮闘し、同じタイミングで悲しみ慰め合い、同じタイミングで喜び合える、まさに「気の合う仲」になれるのだと思います。

 似たもの夫婦という言葉があります。この言葉には色々な意味が含まれていますが、顔にも当てはまります。お互いが時間をかけて同じタイミングで同じ感情を共有することで同じように表情筋が動き、顔が似てくる、そんな考察がなされている研究があります。相手の立場に立って考えているうちに見た目まで似てくるのです。

 もう一つ、お互いの関係のプロセスとして観察したいのが笑顔の変遷です。私たちが恋人あるいは想いを寄せる人物と写真を撮るとき、最初のうち、相手は口角が引き上げられるのみの表情をするかも知れません。つまり、愛想笑いです。

 しかし、次第に互いを知るようになるにつれて、口角の引き上げに伴い、頬も引き上がり、目じりにしわの寄る表情をするようになるかも知れません。これは一緒に写真を撮ることが(ひいては共にいることが)心から楽しいと感じているからこそ生じている表情です。

 愛想笑いから真の幸福表情への変遷は、うつ病患者の病状がよくなるプロセスにおいても観察されており、私たちの気持ちの変化を外から知る重要な手かがりの一つなのです。

 相手をよく観ましょう。私はプロフィールにありますように、相手をよく観察していなかったばかりに狂言誘拐事件に巻き込まれてしまいました。

 冒頭のような詐欺事件の容疑者はどんな想いで被害女性と接していたのでしょうか。誘拐事件や深刻な詐欺事件に巻き込まれるようなケースは一生に一回あるかないかだと思われますので、相手を疑って観ることは百害あって一利なしです。

 しかし、相手のちょっとした想いを汲み取れないことで関係性が悪化したり、互いにわだかまりを抱えてしまうことは、人生において多々あると思います。

 相手をよく観ましょう。相手の表情を通じて相手の感情世界を見るとき、相手の内面に触れることが出来るのです。

【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

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