接待のお店選びで優先すべきは「雰囲気」か「味」か? 接待営業に隠された心理術

接待のお店選びで優先すべきは「雰囲気」か「味」か? 接待営業に隠された心理術

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 営業職として、ある程度の経歴を持っているならば、誰しもが一度は接待をしたことがあるのではないだろうか? ただ、接待と言っても、取引先の機嫌を取るためだったり、謝罪のためだったり、商談を取りつけるためだったり、その目的はさまざまである。

◆漫然とした接待をしていないか?

 マイナビニュースが’17年に行った調査によると、「接待は必要だと思うが、積極的にしたくない」という人が52.5%と過半数の人が接待に関して消極的で、反対に「必要だと思うし、積極的にやりたい」という人が16.3%と比較的少ない結果となった。

 比較的敬遠されがちな接待だが、優秀なビジネスマンの話を聞いていると、最適なタイミングで効果的な接待を行なっているなと感心する。今回は、接待を制する心理戦略ということで、接待をすることで生まれる効果とその効果的な活用方法について解説する。

 そもそも接待に意味があるのかというと、信頼関係を作ったり、商談内容を魅力的に見せるのに効果的だ。例えば、接待のときの自然な「ミラーリング効果」が挙げられる。ミラーリングとは相手の動作や呼吸などを合わせることで、相性が合うと思わせて信頼関係を築く、カメレオン効果を生み出すためのテクニックのことだ。

◆「ミラーリング」で交渉成功率が上がる

 食事をしていると、会話をしながら食事をするので、会話の途切れたときに食べたり、飲み物を飲んだり、会話中は食事を止めたりと、自然な流れでミラーリングが発生することが多い。食事中の自然なミラーリングの発生については論文においても賛否両論あるが、筆者の経験上、一対一で食事に行く場合であれば、自然な形で起きやすいと感じている。

 ミラーリングは交渉の成功率を、ミラーリングしなかった場合に比べて50%も向上させる効果が報告されている。そのため、接待を通して、自然なミラーリングを実践することで信頼関係の構築が可能となるのである。

◆胃袋を制するものは心を掴む

 また、あなたがクライアントを接待をするときには、何にこだわるだろうか? 雰囲気、料理の味、会社からの距離、メニュー内容、価格など、考えなければいけないことは多い。

 レストラン予約サイトのオープンテーブル株式会社が行った調査によると、接待時のレストランを選ぶ決め手は、1位:雰囲気(70.6%)、2位:立地条件(64.2%)、3位:メニュー(56.1%)という結果となった。

 このように、多くの人は商談内容に合った雰囲気のお店を選ぶことを優先している。たしかに、雰囲気は重要視するのは効果的だ。高級感のあるお店で接待することで、特別感を味わってもらい、恩を売っておくことで、商談を通しやすくする。このような、売られた恩を返さないといけないと思う心理を「返報性のルール」と呼ぶ。

 しかし、筆者は正直、接待の効果としてこの「返報性のルール」を期待するのは難しいのではないかと考えている。「返報性のルール」は、相手に恩を返したいと思うような信頼関係も築く必要があるからだ。

 また、接待で受けた特別感と商談で出された金額を天秤にかけたときに、バランスが取れていないことがほとんどなので、なかなか商談を通すことに効果を発揮しずらい。なので、「返報性のルール」を期待した接待は、「仲良くしてもらったから、仲良くしかえす」という関係性を構築するための「返報性のルール」なら効果的だが、商談を通すためには、回数を重ねなければなかなか効果を発揮しない。

 そこで、筆者がご紹介したいのが、「ランチョンテクニック」である。

◆美味しいものは話の内容の満足度に繋がる!

「ランチョンテクニック」とは、心理学者のグレゴリー・ラズランが発表した心理効果で、美味しいものを食べていると、その幸福感が話の内容や雰囲気の満足度にも影響するというものだ。

 グレゴリー・ラズランは実験で、食事中に政治的意見について説明をし、食事が終わったあとにその政治的意見について、どう思ったかを聞いた。すると、食事前よりも政治的意見に対して、好意的な評価を持つようになったことを発見した。

 たとえば、とある製品を既に導入してもらっている会社に対してオプション機能を売り込みたいときに、商談の場所で提案をすると「そもそもそれ必要なの?」と警戒心のバリアを張られてしまう。しかし、美味しい食事をしながら商談をすると、食事なしで商談したときに比べ、その話を好意的に受け入れてくれる可能性があるのだ。

 このテクニックは恋愛においても効果的だ、美味しい食事をしながらのデートはたとえ口下手であっても、食事の満足度が自分や雰囲気に対する満足度に影響を与えるため、デート全体の満足度を高めることができる。

 知り合いの優秀な営業マンほど、雰囲気がいい店より、古くても隠れた名店を知っている人が多い印象を受ける。誰もが知っている名店よりも、「隠れた名店があるんです」と商談相手を誘って、自分の土俵で食事を取りながら交渉を行っている。この「自分の土俵で」というのも重要である。勝手がわかっているのでリラックスして食事をしながら商談を進めることができるからだ。

 もし、あなたが接待で使うお店を考えている場合は、コストや会社からの距離感、雰囲気なども大事だが、自分で様々なお店を開拓して、雰囲気のよさそうな知らない店よりも、勝手のわかっている自分の土俵で味を重視したお店選びをしてみてはいかがだろうか?

【参考資料】

『OpenTable、「接待に関する意識調査結果」を発表』PR TIMES

『接待ってビジネスに必要だと思う? - 半数が「必要だがしたくない』マイナビニュース

『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ

【山本マサヤ】

心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定する芸能人・著名インフルエンサー100人に選出。●公式ホームページ ●Twitter:@3m_masaya ●Instagram:@masaya_mentalist

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