破産者を晒す「破産者マップ」、弁護団が声明文を発表。「官報掲載情報でも違法行為になる」

破産者マップ巡り被害対策弁護団が声明文を発表 「官報情報の転載でも罪に問える」

記事まとめ

  • 破産者マップ被害対策弁護団は20日、今後の弁護活動についての声明文を発表した
  • 「破産者マップ」はGoogleマップに債務者の名前や住所などの情報を表示させたもの
  • 官報情報を転載しただけでも、サイトの管理人を罪に問うことはできるという

破産者を晒す「破産者マップ」、弁護団が声明文を発表。「官報掲載情報でも違法行為になる」

破産者を晒す「破産者マップ」、弁護団が声明文を発表。「官報掲載情報でも違法行為になる」

弁護団によるクラウドファンディングのページ

 破産者マップ被害対策弁護団は3月20日、同弁護団のクラウドファンディングのページに、今後の弁護活動についての声明文を発表した。同時に、弁護団に頻繁に寄せられる質問への回答も掲載した。

 破産者マップ自体は3月19日未明に閉鎖されたものの、同弁護団は今後も活動を継続していくという。なぜなのか。

◆「過去に破産していたことが、身近な人にバレてしまった」

 破産者マップは、Googleマップを利用して、債務者名や住所、官報公示日、管轄の裁判所、事件番号を地図上に表示していた。

 破産した人の情報自体は、官報に掲載されおり、誰でも閲覧することができる。官報は国立国会図書館等、一部の図書館で閲覧できるほか、官報販売所で購入することが可能だ。インターネットでは、直近30日分に限り、無料で閲覧することができる。それ以前のものは有料の官報情報検索サービスで確認することもできる。

 しかしわざわざ官報を購入したり、有料の検索サービスを使ったりする人は多くない。たとえ破産したことが官報に掲載されても、それが不特定多数の人の目にとまることはなかった。破産者マップはそれを衆目の元に晒してしまったといえる。

 同弁護団のクラウドファンディングのページでは、同サイトの弊害について、こう指摘している。

「本件サイトは、掲載されている人たちに様々な悪影響を生じさせるおそれがあります。まず、掲載されること自体が、その人たちの名誉やプライバシーを侵害します。本件サイトの情報が広まることにより、勤務先を解雇される、ご本人やご家族が偏見やいじめにさらされるなど、生活への悪影響が生じるおそれもあります」

 弁護団の団長を務める望月宣武弁護士によると、実際に「過去に破産していたことが、身近な人にバレてしまった」という相談が多数寄せられているという。

◆掲載情報の削除申請フォームでは「破産後の生活」等の入力を要請

 また、たとえ官報に掲載されているものを転載しただけであっても、サイトの管理人を罪に問うことはできるという。同弁護団は、

「官報に掲載されているとしても、本件サイトは、インターネット上に公表することによって、既に公表された情報を人の目に触れやすくしています。既に公表された情報であっても、これを人の目に触れやすくすることは違法行為となりえます」

と指摘している。

 同サイトの削除申請フォームも問題となっていた。Buzz Feedの報道によると、同サイトでは、情報の削除を申請するに当たって、生年月日や電話番号、「削除を希望する理由」、「破産に至った事情」、「破産後の生活」などの入力を求めていたという。

 これらの情報は官報にも掲載されていないプライベートなものだ。情報を入手したサイトの管理人が情報を悪用する危険性もある。

◆管理人は開き直り?

 破産者マップはのTwitter公式アカウントは3月19日未明、サイトの閉鎖を宣言。現在はアクセスすることができなくなっている。

 サイトの閉鎖によって、この問題は収束したかに思えたが、弁護団は今後も活動を続けるという。なぜなのか。声明文では、サイト復活の危険性などを理由に挙げている。

「1つ目は、サイト再開の危険です。本件サイトはたしかに現在は閲覧ができない状態ですが、この閉鎖状態が継続するという保証はありません。(中略)2つ目に、本件サイトのデータや本件サイトのプログラムが第三者に譲渡される危険があります。(中略)3つ目に、削除請求の際に取得した情報の扱いが確認できないことです。本件サイトの開設者は削除請求に際して、破産等に至った事情や現在の生活状況を書かせたり、種々のセンシティブな個人情報を求めていました」

 実際、サイトの管理人が破産者マップの問題を認識しているかはかなり疑わしい。Twitterアカウントでは3月19日、「破産者や個人再生者の方々をはじめとする関係者の方々に辛い思いをさせてしましました」と謝罪する気配を見せていた一方で、次のようにも投稿していた。

「国や自治体がもつデータが連結匿名化された上で、国民や研究者がインターネットを通じ、リアルタイムに、誰もが自由にデータにアクセスでき、分析、評価し、よりよい意思決定ができるようになる日がこの国にもやってくることを期待しています」

「国や自治体が持っているデータ、公表しているデータの表現方法を変えれば、そのデータの持っている本質的な価値に近づけるのではと思います」

 まるで破産者やそれ以外の情報を公開していくことが、よりより社会を作ると言わんばかりだ。

◆サイトの運営者を特定し、損害賠償請求を行う予定

 弁護団は今後、破産者マップが名誉棄損・プライバシー権の侵害であることを明確にすべく活動を続けるという。

「(官報に掲載されている)公開情報であったとしても、その公開される範囲を広げることが権利侵害であると判断する裁判例も散見されるところであり、また、個人情報保護委員会が指摘するように個人情報保護法の観点からも問題があります」

 今後は、ドメイン登録者の情報開示請求や米国サーバ会社に対する情報開示請求を行って、運営者を特定し、損害賠償請求を行う予定だ。

 クラウドファンディングには、3月20日20時半現在、280人から134万7045円が集まっている。これらの資金を使って、日本国内での手続きを順次進めていくという。

<文/HBO取材班>

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