「会話にメリハリをつけましょう」って簡単に言うけど、どうすればいい問題

「会話にメリハリをつけましょう」って簡単に言うけど、どうすればいい問題

photo via Ashinari

◆同じものを飲み続ければ飽きる。話も同じ

 ひとりの相手と話をするときでも、多くの相手にプレゼンをする場合でも、聞き手の関心度・集中度は、時間の経過とともに低下するのが普通だ。それはまるで、コーヒー好きな人でも、2杯目、3杯目のコーヒーは、1杯目ほどおいしく感じないということと同じだ。どんなにおいしいコーヒーでも、同じコーヒーを飲み続けていければいくほど、おいしさを感じなくなる。

 これが同じコーヒーを飲み続けるのではなく、コーヒーと同じ程度に好きな飲み物に種類を変えて、たとえば、コーヒーのあとは紅茶を飲んだり、ジュースを飲んだりしていけば、おいしさを感じる度合はそれほど下がらないものだ。

 同じく、単調な対話やプレゼンをしていると、聞き手の関心度・集中度の低下は加速するし、反対にメリハリが効いている場合はあまり低下しない。

 そこで、「対話やプレゼンにメリハリをつけましょう」ということは頻繁に言われるが、実はどのようにメリハリをつければよいかということは、ほとんど語られていないのが実情だ。

 ビジネススキル演習をしていて、とても多く受ける質問に「会話にメリハリをつけたいのですが、どうすればよいのでしょうか?」というものがある。それも、どうすればよいか皆目見当がつかないし、自己流でさまざまな方法を試してきたが、一向にメリハリがついていないので諦めていたという声さえ聞こえる。

◆会話にメリハリをつける句点と読点

 この対話やプレゼンにメリハリをつける方法が、句点で間をつくることと、読点で間をつくることを混在させる方法だ。

 フレーズの最後の句点「。」に間をつくることだけを繰り返していくと単調になる。そこで、主語と述語の間、読点「、」で間をつくることを混在させていくのだ。

 では、句点で間をつくる場合と、読点で間をつくる場合とで、どのような効果の違いがあるのだろうか? どのような法則性をもって、句点の間と読点の間を繰り出しわけていければよいのだろうか?

 それを見極めるためには、聞き手に協力してもらい、自分が話している時の聞き手の表情を録画して、自分が句点の間を繰り出しているとき、読点の間を繰り出しているときの表情やリアクションの違いを確認してみることが手っ取り早い。

 実際にそれをやって、聞き手の状況を確認してもらうと、句点の間を繰り出しているときと読点の間を繰り出しているときとで、聞き手の表情に大きな違いがあることがわかってきた。

◆句点の間は理解を、読点は期待を促す

 話し手が句点の間を繰り出しているときは、聞き手はうなずくことが多い。そして、話し手が読点の間を繰り出しているときは、聞き手はその後、顔を上げることが多いのだ。

 たとえばビデオを観ると、話し手が「私の職務はトレーナーです。(間)」というようにフレーズの最後の句点で間をつくるときは、聞き手はその間のあいだに「ああ、この人の職務はトレーナーなのか!」というように思ってうなずいてくれているように感じることが多い。

 一方、「私の職務は、(間)トレーナーです。」というように、話し手が主語と述語の間の読点で間をつくるときは、聞き手はその間のあいだに「この人の職務はなんだろう?」と、主語に続く話はなんだろう、述語はなんだろうというように思って顔を上げることが多いのだ。

 つまり、句点の間は聞き手の理解を促すことに役立っており、読点の間は聞き手に次の話への期待を促すことに効き目があるという法則性がある。

 ということは、相手の理解を促したいときには句点で間をつくる、相手の期待を促したいときには読点で間をつくるというように、間をつくる箇所を使いわけていけばよい。

 実際にそのようにプレゼンを実施することは、とてもたいへんなのではないかと思う人がいるが、早い人で数回、遅い人でも十回程度、ロープレをしたり、実際の対話やプレゼンの場面で試してみるとできるようになる。

 わかってもらいたいときには句点の間、次の話をもったいぶって期待を持たせたいときに読点の間というように素直な気持ちを間に込めればよい。

◆句点と読点で作る「間」を使い分けるべし

 質問:間をつくる場所による効果の違い

 あるときは読点、あるときは句点で間をつくるといっても、読点の間と句点の間をどう使いわけていけばよいかがわかりません。読点で間をつくる場合と、句点で間をつくる場合とで、それぞれどのような効果の違いがあるのでしょうか?

 こういうときは読点で間をつくったほうがよい、こういうときは句点で間をつくったほうがよいということがわかれば、間をつくりやすいと思います。

 回答:読点で間をつくり期待を持たせる

 句点で間をつくることは、その前に話した内容の理解を促すことに役立ちます。読点で間をつくることは、その後に話すであろう内容について、相手に期待を持たせることに役立ちます。

 たとえば、「私の職務は、ビジネススキルのトレーナーです。(間)」のように句点で間をつくると、その間のあいだに「この人の職務はトレーナーなのだな」というように相手の理解を促します。

 一方、「私の職務は、(間)ビジネススキルのトレーナーです」 というように読点で間をつくると、その間のあいだに「この人の職務はなんだろう」というように、次の話に期待を持たせることができます。

 理解を促したいときは句点の間、期待を持たせたいときは読点の間というように、間を組み込む場所を変えていくことで理解を促したり、期待を促したりすることができるのです。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第130回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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