クルド人少女のイジメ問題、卒業しても解決はしていない

クルド人少女のイジメ問題、卒業しても解決はしていない

『めざましテレビ』(フジテレビ)のインタビューに答える少女とその家族(「めざましテレビ」より)

◆テレビのインタビューに、両親も顔出しで対応

 ハーバービジネスオンラインに筆者が寄稿して以来、社会問題として大きく発展していった、クルド人少女のイジメ問題。その後、テレビ番組などの取材依頼が少女とその家族に来た。

 両親たちは番組に顔を出し、イジメについて語るという思い切った行動にでた。両親も娘のイジメに対し、学校側の不誠実な対応についてずっと憤りと痛みを背負ってきた。苦しかった想いを世間に伝えたい、この覚悟は相当のものと言ってもいいだろう。少女自身も顔は隠すという条件のもと、辛かった過去を思い出しながら一生懸命インタビューに答えた。

◆変わらぬ学校側の不誠実な対応

 それに対し、学校側のテレビでのコメントは非常に残念なものだった。『めざましテレビ』(フジテレビ)では、教頭の二転三転した「(少女は)心が弱いから」等の発言も、どうしても認めようとはしなかった。「自分の発言がそのように伝わったのであれば申し訳なかった」と最後まで逃げ口上に徹した。

「スッキリ!」(日本テレビ)では「他の児童と同じように丁寧に相談に乗り一つ一つ指導してきました」と語っていた。

 何一つ解決しようという姿勢が見えず、すっかり学校の評判が地へ落ちてしまった。いまさら、この発言を信じる人がいるのだろうか。少女は6年間イジメの被害にあったと番組で語っている。

 学校の対応に問題がなければ、ここまでひどい状況に発展することはまずありえない。自らの過ちを認め、反省をしっかりしていただかねば生徒たちに示しもつかないのではないだろうか。

◆まだクルド人の子どもたちへのイジメ問題は解決していない

 川口市教育委員会はこの学校側の発言に対し「被害者が納得していないのに、丁寧とは言えない」とはっきり異議を示した。

 とはいえ、学校にも若干の変化が起こっている。新学期から教頭も変わり、良くなったとの評判ではある。学校関係者の話によると、教頭に加えて、イジメ問題解決に熱心な先生も赴任して来たとの情報も入っている。しかしこれは単なる人事異動であって、今回の問題とは特に関係がないようだ。

 まだこの学校に在籍中の少女の妹や、他のクルドの子どもたちはいまだにイジメに悩まされている。「もう疲れた」「学校に行きたくない」「先生が信じられない」と言っている子もいる。根本的な解決はまだまだ遠い。

 卒業したクルド人少女は、小学校のクラスメートたちとは違う中学校へ、自転車で通っている。友達もたくさんできて、いまのところ中学生活を楽しく満喫できているようだ。

 教育委員会も、中学校で新生活を過ごす少女を見守り、支えていくと約束した。そしてまずは教員たちの指導から始めていくとのことだ。ようやく教育委員会も本腰を入れて動き出したかのようにも見える。

◆受けた傷は、癒えることはない

 少女は、今回メディアに立て続けで出た件で、ずっとインタビューに答え続けて、だいぶ疲れてしまったようだ。とはいえ、自分の言葉で世の中にメッセージを発信できたことは、少しは良かったと思えたようだが、少女の傷は癒えることはない。

「受けた傷は、もう治らないから……」

 と、寂しそうな表情で少女は語った。

 この問題は大きく世間に広まり、多くの人に課題を残すことができた。どうか大人は、助けを求める子供たちの小さな声を無視せず、拾い上げていってほしい。

<文/織田朝日>

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