「世間話」が苦手な人必見。上手に対話の口火を切る方法

「世間話」が苦手な人必見。上手に対話の口火を切る方法

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 筆者がビジネススキルを向上させる演習をしていて、よく受ける質問に「相手との対話の口火をどのように切ればよいでしょうか」というものがある。相手との対話の場を設定するセットアップ会話をどう繰り出せばよいかという問題だ。

◆冗談を言うことは難しい

 そこで演習参加者に、「相手との対話を、どのような話をしてからスタートしていますか」と質問すると、さまざまな答えが返ってくる。

 世間話をする

 

 天気の話をする

 趣味の話をする

 冗談を言う

 いきなり本論から入る

 しかし、これまでセットアップ会話をしていなかった人に、世間話をしてもらおうとしても、スムーズに話が出てこないことが少なくない。天気の話をしてもらっても、ぎこちなくなってしまったり、唐突な感じになってしまうことがよくある。相手の趣味を知っていれば、相手の気持ちをほぐすことに効果があるが、そもそも相手の趣味を知らなければ、趣味の話は繰り出せない。

 冗談を言うことは、かなり難易度が高い。忙しい人で、いつも「早く結論を言え」と言っているような人に対しては、いきなり本論を話すことはよいかもしれないが、たいていの場合は、相手の気持ちの準備ができていないうちに本論を話すことになってしまい、相手の理解を促せなくなってしまう。

 要は、世間話や天気の話や趣味の話のように、相手との共通点のある話をして、相手が身構えている状態を解きほぐし、冗談を言ったりして相手の気持ちを和らげることができる話法があれば、それを最初に繰り出せばよいことになる。

 そして、できるだけ簡単で、誰にでもできて、不自然にならない話法があれば、効果が高まる。演習でこのように申し上げると、「そんな都合のよい話法があるのだろうか」という反応に接する。しかし、そのような方法があるのだ。

◆相手との接点を活用する

 筆者は20年来、各業界、各職位、各職務のビジネスパーソンに参加していただいて、演習を行なってきた。話の輪の中心にいることが多く、聞き手を引きつけることができている人の話法を分解すると、冒頭のセットアップ会話に特徴があることがわかった。それをモデル化すると、聞き手と自分との以前の出来事、接点を話すという共通点が挙げられる。

 たとえば、以前に会っていれば、「○月にはミーティングを持たせていただき、ありがとうございました」「先日は、ばったりお目にかかり、少し話ができて嬉しかったです」「○年に一緒に仕事をして以来、ご無沙汰してしまっています」というように、過去に会ったときの出来事を話せばよい。

 これを話すことで、聞き手は、「ああ、あのとき、こんなことがあったな」「それ以来のご無沙汰だな」というように、身構える気持ちを和らげることができる。では、以前、会っていなかったどうすればよいのか。

◆聞き手の関心度、集中度の低下を防ぐ

 アポをとって訪問しているのであれば、「先日、お電話でお約束させていただきました」「秘書の方を通じて、お時間をいただきました」「○○さまからご紹介いただきました」という接点を話せばよい。

 アポを取っていなければ、「かねがねお噂をお聞きしていましたが、突然お伺いしてすいません」というように、相手との共通の出来事ではなく、こちらからの一方的な思いではあるが、接点を伝えることができる。

 要は、なぜ、ここにいるのかという話をすることだ。特別な美辞麗句は必要ないし、相手を笑わせなければならないと気構える必要もない。淡々と、相手との過去の出来事や接点を話すことで、相手を安心させて、話の口火を切ることができる、最も簡単な方法だ。

 聞き手の関心度、集中度を低下させる最も大きな要因は、不安感だ。「いったいこの人はどういう人だろう」「過去にお会いしていただろうか」「以前、どんな話をしていただろうか」という不安が払拭されれば、そのぶん、安心度が高まる。聞き手の関心度、集中度を高いレベルにして、話をスタートすることができるのだ。

◆世間話をするよりも安心感を与える

▼質問:世間話ができない

 そもそも、相手に対して話しはじめる際に、何を話したらよいかわかりません。「世間話をしたらよい」と言われますが、どんな世間話をしたらよいか悩んでしまいます。どうすればよいのでしょうか?

▼回答:相手との以前の出来事を話す

 世間話をする必要はありません。それよりも、以前、相手と会っていたり、相手と電話やメールでやりとりしていたりしたら、そのときのことを話すことのほうが、相手を引きつけやすいのです。

 「先日の会合ではお世話になりました」「 メールでやりとりさせていただきありがとうございました」というように、以前のやりとりを話します。会うことになった背景を話すということです。

 そうしますと、相手を「ああ、そうだったな」「そんなことがあったな」という気持ちにさせることができ、世間話よりも、相手を安心させて場をなごませることができます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第134回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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