預金金利8%のベトナムでセミリタイア生活する人を直撃。彼のスマートな働き方とは?

預金金利8%のベトナムでセミリタイア生活する人を直撃。彼のスマートな働き方とは?

激安航空券で一路、ベトナムに飛んだ筆者。その直前に出会った賢人の話を紹介する

◆航空券100円に釣られてベトナムへ……

 最近、赤をベースとしたミニスカートのスチュワーデスが「ハノイ・ホーチミンまで100円!」と広告しているのをご覧になった方は多いのではないか? 筆者も、このキャンペーンでベトナムに実際に行ってみたらどうなるか、試してみることにした。

 ただ、一つ問題があった。これまで筆者は何度もタイには行っているのでタイのことはよく知っている。ラオス・マレーシア・シンガポール・フィリピンにも行ったことがある。しかし、まだベトナムはない。

 何か目的があったわけではなく、ただ「片道100円」につられただけなので、本当に何も知らない。そんなとき、ネット上で気になるブログを発見した。

 「20代・資産1500万円でセミリタイアしベトナムで暮らしています」

 早速連絡をとってみると、氏は東京に一時帰国中だった。そこで、ベトナムへ旅立つ直前の土曜日に、話を聞いてみることにした。

 ブログの主、宮内健吾(仮名・敬称略)は三十代半ばで、2014年からベトナムでのセミリタイア生活を満喫している。現在は年に三、四か月だけ日本で働き、二十代のときに貯めた一千万円超の預金を金利が8%を超えるベトナムの銀行に預け、その利子と合わせホーチミン市で暮らしているという。

◆「スキルを繁忙期に売る」という働き方

 こういうと、いかにも東京育ちのボンボンが実家でお金を貯めて、という風に聞こえるが、実際のところ宮内は地方出身である。

 それにしても、日本で三か月か四か月だけ都合よく雇ってくれる職業というのが期間工以外に何かあるのだろうか。

「ブログでもそうですし、表向きには広告制作関連の仕事と書いていますが、もう少し具体的に言うとチラシの校正ですね。当たり前ですけど、チラシの仕事は夏と年末のセール前に忙しくなるわけですよ。その会社では繁忙期に派遣会社の人を呼んでいたわけですが、これがあんまり戦力にならないんですよ。やる気もないですしね。それだったら、多少は仕事の内容がわかっている私みたいなのが必要な時期だけいればいいじゃないですか」

 この社長は頭がいい、と筆者は断言したい。この方法であれば戦力となる宮内には正社員としての待遇を用意する必要がない。数か月間、必要な時だけ給料を払えばいい。

 日本の「働き方改革」とは、案外こんなところから始まるのではないか。繁忙期と閑散期がある企業は無駄な経費を削減、宮内は生活費が安い海外で自由な時間を満喫できる。

「派遣社員を雇うと、一時間三千円くらいかかるんですよ。その割には……ということが多いですからね」(宮内)

 そして派遣会社に三千円払えばそのうち何割かは派遣会社が差っ引き、労働者にわたる分が減るのは当然だ。そう考えると、このやり方にのる経営者は案外多いのではないか。

 宮内は高校時代に新聞配達をして約百万円を貯めていた。

「実は僕、大学には高校からストレートで行っていないんですよ。新聞配達の百万円を元手に、世界旅行をしていました。ブログにも書きましたけど、一番影響を受けたのがトルコで出会ったお兄さんでしたね。まさに今の私のように二十代のうちにお金を貯めて、年に数か月日本で働いては、海外で生活していました。そして日本と海外の価格差を見て、これなら海外で暮らせばいいと気付くようになったわけです。就職は22の時でしたが、大卒資格だけはとっておこうと通信制で学位をとりましたね」

◆投資の本来の意味は、「成長の分け前をいただくこと」

 詳しくは本人ブログをご参照いただきたいが、宮内は非常に堅実な金銭感覚の持ち主である。日本滞在中はSIMカードすら買わないという。

 出費を極限まで切り詰め、コツコツとタネ銭を貯めるという人生観は、筆者の友人のカレン・ロバート(参照:”「家も車も買ったことがない」印スーパーリーグ所属の元J1カレン・ロバート、その堅実すぎる金銭感覚”-HBOL)や筆者自身にも重なり、非常に共感できるものだ。いかにも堅実で足を踏み外しそうにないのは間違いない。

 余談だが、筆者は今までFXとビットコインには一度も手を出したことがない。

FXに絶対手を出さないのは、親友で二十代後半にしてFXで10億円儲けて六本木ヒルズに暮らしたものの、その後ン億の追徴課税を負い、会社の三畳一間に暮らして流しで髪を洗っていた男がいるからだ(註:なお、現在の彼はほぼ完全復活を果たし、筆者との友人関係も続いていることを明記しておく)。

 ビットコインも、フェイスブックなどで「上がってる、上がってる、毎日儲かってます」みたいな書き込みをする友人がやたら多かったので、「これは天井に違いない」と思った。その後の経過は言うまでもない(※再び上昇傾向に戻っているが)。

 本来、投資とは決して面白おかしいものではない。ウォーレン・バフェットがよく言うではないか。「私が好きな保有期間は、永遠です」と。

「FXはいかんですよね。僕の周りにもいますよ。“最近、仮想通貨で投資デビューしました”って。それ、投資とは言わないんですよ」

 宮内が考える投資の定義とは何か。

「ごく一般的ですが、今後成長するところにお金をおいて、成長の分け前をいただく、ということです。仮想通貨はそれ自体が伸びることはなく、値動きに乗るだけですから、典型的な“投機”です。投資と投機の違いが分かっていない人が大部分ということなんでしょうね」

「億り人」に憧れる人は多いが、「投資」と「投機」の違いがわかり、貯蓄体質を確立してたまに働ける場所を確保できれば、一億円なくともセミリタイアは十分可能なのである。

 次回はそんな宮内から見たベトナムの成長性や国柄について触れていきたい。

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

<写真/TUONG KHUU>

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