「座って接客」はアリ? ナシ? 日本式接客について訪日外国人に聞いてみた

「座って接客」はアリ? ナシ? 日本式接客について訪日外国人に聞いてみた

photo via Ashinari

 スーパーなどのレジ係。店員が高齢であったり、お客さんのいないときは座っていてもいいのでは……? そんな投稿がSNSで話題を呼んでいる。果たして日本の接客は「トゥー・マッチ」なのだろうか?

◆客の前でスマホいじりも当たり前

 日本の接客は過剰すぎるのか? そんな議論のなかで多く挙がったのが、海外の接客と比較する声だ。実際、海外ではどのようになっているのか、そして、本当に日本の接客は過剰すぎるのか、外国人の声を集めてみた。

「実は今、ちょうど“Convenience Store Woman”(『コンビニ人間』)を読んでいるんです。朝から晩まで立ちっぱなしで『いらっしゃいませ〜』『お箸いりますか〜』とか言っていたら、自分は発狂してしまうと思います。お役所仕事というか、マニュアルでやっているだけの接客は必要ないと思います。海外ではチップの文化があるので、当たり前ですがチップがもらえるレストランなどと、そうではないスーパーなどでは接客内容に差があります。ものすごく接客にこだわるなら、それだけ給料も上げるべきなんじゃないでしょうか」(アメリカ人・男性・38歳)

 低価格、低賃金の店舗で高い接客サービスを期待するのはお門違い。そんな声は他の外国人からも挙がった。

「ポーランドでは、キヨスクとかスーパーにいるおばちゃんなんて座っているのが当たり前だし、こっちから『こんにちは』と声をかけないと何も話さない人だって珍しくない。感じが悪いなと思うこともあるけど、給料が低ければそういうものだって共通認識があるから、接客態度に怒る人はほとんどいません。あと窓口対応などでも、休憩時間になればお客さんの前でもご飯を食べたり、スマホをいじったりする。仕事がこなせていれば、あとは文句を言われる筋合いはないという考え方なのかもしれません」(ポーランド人・女性・29歳)

◆大声での挨拶は無意味?

 また、外国人にとっては、オーバーアクションな接客が滑稽に映っている面もあるようだ。

「お店に入ると店員みんなが『いらっしゃいませ〜〜!!』って絶叫するじゃないですか? あれはなんだか面白いですよね。こっちが食事をしている間も、人が出入りするたびに叫び続けるから、ビックリしますよ。叫ばれる側は気持ちいいものなんですか?」(フランス人・男性・33歳)

 活気があふれているようにも感じられるが、たしかに接客するうえで全員が同じ言葉を繰り返し叫び続けることに深い意味があるかは微妙なところだ。

「海外だと、一人の店員がテーブルについて、食事の味はどうか、何か問題はないかという話をします。客側も何かメニューなどで注文があれば、遠慮なく言う。意味のあるやりとりですし、個々人同士のコミュニケーションなんです。全員が大声で同じフレーズを叫ぶことには、あまり意味が感じられません」(アメリカ人・女性・30歳)

 合理性という観点だけでは計り知れない部分もきっとあるだろう。しかし、価格や人件費を考えた場合、高級レストランと格安チェーンで同じ接客が求められるというのは、ビジネスとしておかしな話だ。

◆すべての客を同等に扱う必要はない

 また、トラブルに関しても海外と日本では接客態度に大きな違いがある。

「日本ではベロベロに酔っ払って、周りに迷惑をかけている客がいても、店員が代わりに謝るじゃないですか? 酔っ払っている客にも、迷惑をかけられた客にもペコペコするだけじゃ、何の解決にもならない。海外ではそんなことはありえません。泥酔したり、眠り始めたら、すぐにお店から叩き出されます。商売でやっているんだから当たり前の話ですし、迷惑をかける客と、お金を払って大人しくしている客を同列に扱うことが間違っています。無茶な注文やクレームを言ってくるレベルの低い客には、それに見合った接客をするべきです。これはサービス業だけでなく、商談なども含めて、ビジネス全般に言える話です」(アメリカ人・男性・35歳)

 接客する側が一方的に客から評価されるのではなく、接客する側もまた客を値踏みする権利があるということだ。

「接客にしても、とにかくマニュアル通りにやることが大事だということばかり言われるから、予想外のトラブルにあったり、いざ交渉しなきゃいけない立場になったとき、不利な側に立たされてしまうのではないでしょうか。店員も自分の意見を主張していいという考えがないと、上司や顧客に搾取されるだけになってしまいます」(ドイツ人・男性・34歳)

◆ケースに合わせて判断を

 座って接客するのはアリかナシかというところから、だいぶ話が広がってしまったが、そういった細かい部分に日本経済の歪みが表れているとも考えられなくはない。

「機械的に同じ接客をするのは無意味だし、客にも働く側にも不公平。チップがないから、なおさらそう思う。店員にいい接客をしてほしいなら、給料を上げるべきだし、客側も傲慢な態度でいるべきじゃない。日本では『そういう文化、決まりだから』という言い訳で、働く側がいろいろなことを求められすぎていると思う。客がいなかったり、店員の体調が悪ければ座ればいいし、そんなことは決まりを作るんじゃなくて、その都度考えて判断することだと思う」(ノルウェー人・女性・34歳)

 レジ係が座って接客しているスーパーが現れたとき、それは日本の労働者の地位が上がった証拠……というのは考えすぎだろうか? ますますサービスの低価格化が進み、過剰接客が加速していくのか、それとも賃金や価格に見合った内容に細分化していくのか。今度買い物をするとき、少し考えてみてはどうだろう?

<取材・文/林 泰人>

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