「金正恩&トランプそっくりさん」が語る、単なるおふざけではない“平和への信念”

「金正恩&トランプそっくりさん」が語る、単なるおふざけではない“平和への信念”

警察官から解放され、ようやく寿司にありつけてご機嫌のトランプ&金正恩(のそっくりさん)

◆トランプ&金正恩(そっくりさん)、回転寿司へ

 前回お伝えした通り、金正恩およびドナルド・トランプのそっくりさんと一緒に韓国大使館近くを散歩していたらこってり絞られた筆者と担当編集者だが、幸い逮捕は免れた。ただし、「駅に入るまでは同行させていただきます」と十人近くの警官が我々一行を囲み、麻布十番駅に押し込むまでは絶対に放免してくれない勢いであった。

 ただ、「トランプ」はすでに齢60を過ぎ、しかも肥満体で決して健康状態がよいとはいえない。歩くのも苦痛そうに見えたので、「タクシーを拾ってはいけませんか?」と筆者が聞くと、「では、タクシーに乗るまで確認します」ということになった。こうして一行はタクシーに乗り込み目黒の回転すし店に入り、騒ぎをおこした反省会をすることにした。

 「金正恩」ことハワードXはハノイの会談に先立って現地入りし、国外退去処分を受けた。

 筆者は「ビザを見せてくれ」と言った。彼が正規のルートで入国したのか確かめたかったのだ。するとおもむろに彼はパスポートを取り出し、「本名を写さないなら」という条件でビザを見せてくれた。確かに今年2月19日から3月19日までの一か月有効なビザで入国していることがわかるが、ご丁寧に「Cancelled」のスタンプが押印されている。

◆ ベトナムで問われた罪は「金正恩に似過ぎていたこと」

 「オレがベトナムで犯した罪はただ一つ、生まれつき金正恩と似すぎていたことだけだ」

 ハワードXは入国の際には人民服を着ていなかったが、到着数時間後に「トランプ」と市内で「首脳会談」を行い、市民はもちろん、50〜60人の報道陣も集まってきて、一時間もしないうちに全世界にニュースが配信されたという。ただ、2時間後にはホテルから「警察があなたのことを探していましたよ」と知らされたという。

 「だけど、ベトナムの人はオレたちのことを気に入ってくれたよ。実際、LCCのベトジェットを含め、いくつかの広告のオファーも来たしな。でも国外退去になってしまった」

 しかし、ハワードXも、デニス・アランも、いかなる意味でもベトナムに対しての悪感情は持っていない様子だった。

 「警察官もどこかの国と違って親切だったよ。“すみません、これは私の意志ではないんです。全て上の命令なんです”と申し訳なさそうにしてくれたし、形式上の取り調べが終わったらみんなオレ達とセルフィーを撮ろうとしていたしな。韓国でもそうだったよ」

 そういえば、彼は平昌五輪にも出現し、「北朝鮮美女応援団」の前を通りかかっていた。そのとき、彼女たちはどんな反応だったのか?

 「オレを見た瞬間、こんな表情になったり(と口を大きく開ける)こんな表情になった(と口元と目元を歪める)のもいたな。国の性格上、笑うわけにはいかないんだろうな」

 全世界のニュースの震源地に姿を現し、一騒動を起こし続ける「金正恩」と「ドナルド・トランプ」だが、ハワードXは、つい先日香港で行われた大規模デモにも参加していた。

◆日本に来る前に香港デモに参加していた金正恩そっくりさん

 まずはおさらいから。香港のデモは何を目的とし、参加者は何に怒っているのか。

 「香港では16日、「逃亡犯条例」改正案の完全撤回や林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任を求めて200万人もの住民が抗議デモに参加し、主要道路や脇道を埋め尽くした。同長官は前日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例改正案の審議を停止したが、市民の怒りは収まっていない。中国の権威主義から香港を辛うじて守ってきた自治権がこの条例改正で脅かされると、反対派は主張している。」(太字引用者)(参照:ブルームバーグ)

 ここで忘れてはならないの香港特別行政府が容疑者を引き渡そうとしている相手は、かつて「天安門事件」で平然と人民を殺した大国であるということだ。そして、今は21世紀であるということだ。「天安門」と「21世紀」が組み合わさった恐ろしさを考えなければならないのだ。

「抗議デモに参加した香港在住の若者たちは、自分たちの身元が特定されないように気を配っている。ビッグデータを収集し、精巧な顔認識技術を導入している当局からの報復を危惧しているのだ。(中略) 個人情報をさらに擁護するため、そのグループは片道切符を現金で購入し、列車に乗ってきたという。電子マネーを利用することで移動経路や位置データを集約管理する機構に情報が送信されることを避けた。」(太字引用者)(参照:newsphere)

 学生たちが命懸けで、そして顔を隠しながら参加した大規模デモに、香港在住のハワードXは顔を隠さないまま参加したのだ。

◆金正恩そっくりさんが顔を隠さず香港デモに参加した理由

 「オレが応援する主張を世界に伝えるために、この顔を使わない手はないだろ? 共産主義国家に逃亡者を引き渡すなんて、とんでもないことだ。そんな法案が通ってしまったら、まずオレが引き渡されてしまうじゃないか。それに、中国本体が北朝鮮の難民を送り返しているだろ。命がけで中国を頼って逃れてきた人を強制送還するのは明らかにUnethical、つまり倫理に反している。送還された北朝鮮人は、投獄され、拷問され、ほとんどの場合処刑されることがわかっているんだぞ。中国のような大国がそんな悪行に手を貸すというのは、無責任そのものだよ。オレの顔で全世界の注目が集められるならそれでいいと思った」

 ハワードXとデニス・アランを「悪ふざけが過ぎる」と論難するのは簡単だ。しかし、ハワードXに内在する論理は、意外にも正義感にあふれていた。筆者たちと別れたあと、二人はG20サミットが開かれる大阪に行くと言った。

 「来年、(五輪のときに)東京へ戻ってくるのか?」と聞くと「Of course!」(もちろん!)と即答した。

 フィリピンでもドゥテルテ大統領のそっくりさんと交流を深めたとのことだが、二人は前回お知らせした通りバンドTyrantsの新メンバーとして「習近平のそっくりさん」で「楽器が弾けるとなおよい」人物を募集中とのことなので、自薦他薦を問わず、一報を待つ次第である。必ず、筆者から転送することを約束する。

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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