管理体制に不安を抱える集合住宅の末路<不動産執行人は見た35>

管理体制に不安を抱える集合住宅の末路<不動産執行人は見た35>

住民を悩ますのが、マンションの管理問題だ(※写真と本文は関係ありません)

◆老朽化した分譲マンションが直面する現実

 マンションを始めとする集合住宅の「管理」という問題が住民に重くのしかかっている。

 1970年代以降、市場に大量供給された分譲マンション。かつては羨望の眼差しで見られた存在ではあるのだが、今や減りゆく住民に増えゆく独居高齢者、孤独死、相続放棄、嵩む管理費・修繕積立金、拒否される理事会への参加と様々な問題に晒されている。

 差し押さえ・不動産執行の現場でもマンション管理費滞納による執行は定期的に発生しており、これらの滞納金は競売で購入者が現れた場合、購入者が負担することになる。

 とは言え、これも“購入者が現れた場合”の話。

 競売入札開始価格の下限である1万円でも購入者が現れないという現象は、既に遠い地方都市だけの話ではなくなってしまった――。

 本来マンションなどの集合住宅は“利便性の高い立地”という土地の恩恵を、多くの人が受けられるためにあるべきなのだが、バブル期建造のものともなるとこのような理念を全く感じさせない土地柄にポツンとそびえ立つものも少なくない。

 そして、今回言及する物件もこの例に漏れない。

 建築計画段階には当該物件付近までの鉄道延伸計画もあったようで、「駅が出来れば値段が跳ね上がる可能性」といった口頭宣伝もあったようなのだが、バブル崩壊と同時に鉄道延伸計画も頓挫となり、挙句の果てには自殺の名所という汚名まで着せられることに……。

◆コロコロ変わる管理会社

 いつしか我々不動産執行人もこのマンションの“常連客”となってしまった。

 マンションを始めとする集合住宅への執行では、管理会社からの委託を受ける管理人とのやり取りが発生し、今回のような不動産執行常連組マンションの管理人ともなれば、応対もスムーズで手慣れたものだ。

 だがこの日は「執行ってなんですか?」「管理会社を通してください」と妙に不慣れな様子であったため事情を聞いてみる。

「実は管理会社が変わりまして、私も来たばかりなんです。こういった対応をするのは初めてでして……」

 マンション住民が主導する理事会が特別決議を経て、管理会社を変えるという事例に出会うことも増えつつある。

 マンション住民に迫る管理費負担増という不安を背景に、管理会社も低価格を売りとした営業攻勢を加速させているということなのだろう。

◆自主管理が上手くいった例はほとんどない

 また、小規模集合住宅では、このような管理体制への移行という事例もある。

「自主管理」

 管理会社を入れず、住民である自分たちが管理を行うというものだ。

 管理費と修繕積立金が大幅に安くなるというメリットもあるが、結局は管理事態が放棄されていたり、「誰かがやってくれるだろう」と先送りにされていたり、「自主管理」が見事に機能している物件にはまだ出会ったことがない。

 中にはこの「誰かがやってくれるだろう」の「誰か」を買って出た“善意の”管理人に長年自主管理物件を任せっきりにしていたところ、彼の死後に管理費の全額使い込みが発覚し、残された住民には為す術がないという事例もあった――。

 マンションを始めとする集合住宅の「管理」に関しては、住民の代表組織である「理事会」も岐路に立たされる。

 一般的に理事会への参加は公平を期し、戸数分の住民全員が輪番制により役員を担当することになっているが、この理事会当番がまわってきても、頑なに参加を拒む住民が台頭し始め、彼らとの向き合い方が大きな争点となっているのだ。

「有料で役員への参加を断れる」、「役員参加者には相応の報酬を出す」といった新たな制度を導入するマンションに触れたこともあるが、いずれの制度も特効薬と言えるほどの効果を生んではいないようだ。

 もちろん「強制」という制度の限界、そして「多様化」の受け入れが大きなテーマになるご時世にあるとは言え、分筆されていない一つの土地に建つ物件を分譲購入している以上「協調性を欠いて良いわけではない」この点を今一度示すべきではないだろうか――。

◆競売でも「問題点」が取り沙汰されてきた

 これまでは「売りやすい」として競売物件の中でもブローカーの札が入りやすかった首都圏のマンション。

 元号が「令和」へ切り替わるのと時期を同じくして、ブローカーが入札基準を大幅に絞ったためか、立地や築年数、管理体制に不安のあるマンション競売物件への入札状況が一気に鈍化した。

 市場にもマンションを始めとする「集合住宅の問題点」を現実的に捉える動きがようやく広がってきた印象を受ける。

 これら一連の流れは単に加熱しすぎたマンション価格の調整といった局面なのだろうか、それとも不動産バブルの崩壊、そこから続く長期下降トレンドへの扉がゆっくりと開き始めたということなのだろうか。

【ニポポ】

ニポポ(from トンガリキッズ)●2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。

Twitter:@tongarikids

オフィシャルブログ:団塊ジュニアランド!

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