「夫が風俗に行くのは妻の責任」虐待夫に日本語は通じない<モラ夫バスターな日々19>

「夫が風俗に行くのは妻の責任」虐待夫に日本語は通じない<モラ夫バスターな日々19>

<まんが/榎本まみ>

◆弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<19>

 夫(40代)から「出て行け!」と怒鳴られ、妻(40代)は、幼子2人の手を引いて実家に戻った。その3日後、

「俺が悪かった、反省している。やり直そう」

 とLINEが来た。「反省」は今回が初めてではない。到底、信用できない。しかし、まだ子どもたちも小さいし、父親が必要だろう。離婚した場合の経済的な不安もある。妻は迷った。戻ろうか、今度こそ、離婚しようか……。

◆モラ夫にとっての「謝罪」は「もうこの話題は終了」!?

 モラ夫を相手として、一般的に、以上の状況はどう考えるべきか。

 例えば、妻が謝罪したとしよう。モラ夫は、「本当にわかっているのか」「心からの謝罪がない」などと執拗に絡み、同じネタ(多くの場合、些細なこと)で何度も謝罪させる。

 ところが、「俺が悪かった、反省している」とモラ夫自身が謝罪した場合、その後の対応は全く異なる。妻が、さらに非難を続けたとしよう、モラ夫は、「何度謝らせたら、気が済むんだ!」と逆切れする。

 すなわち、誰の「謝罪」かで、その意味が異なるのである。

 妻の「謝罪」は、タコ殴りのゴングである。これでもかと怒鳴り、謝らせ、土下座させる。或るモラ夫(40代)は、自分は椅子に座り、妻を床に土下座させ、「反省している証拠に俺の足を舐めろ」と命じた。

 モラ夫の謝罪の場合、その話題終了の合図である。「悪かったな」と怒気を含んで言われて、「本当に悪いと思っているの?」などと聞こうものなら、「今、謝っただろ」などと怒鳴り返される。

◆「俺が風俗に行くようになったのはお前のせい」

 モラ夫は、三白眼で睨みつけておきながら、妻が「怖い、怒っているの?と質問しようものなら、「怒って、な、い、だ、ろ」と怒る。

 「どういうことだ!」と怒鳴っておきながら、妻が「怒鳴らないで、お願い」と懇願しようものなら、「地声が大きいだけだ」と開き直る。

 自分のミスには寛大で、すぐに忘れてしまう。他方、妻のミスは、執拗に非難する。

 妻をネチネチとイジメているにもかかわらず、それを否定し、自分は尊重されていない、妻のモラハラ被害を受けている、自分こそ被害者と言い張る。

 自分が怒りながら、「お前が俺を怒らせる」

 自分で不貞しながら、「お前が俺に浮気させる」

 自分で風俗に通いながら、「お前のせいで、俺は風俗に行かされた」

 などと言い張る。

◆「反省すべき点を教えてほしい」自省する気ゼロ

 なぜ、このようなことが起きるのか。日本の男性たちは、女性の犠牲のもと、甘やかされ、支配者として振る舞ううちに、認知が歪み始める。その歪みが累積すると、あらゆることを自分に都合よく解釈するようになる。ここまできたら、もはや「モラ脳」と呼ぶしかない。

 妻が離婚を決意して別居し、離婚を決意して、弁護士からモラ夫に連絡すると、かなりの割合のモラ夫が、「妻と直接話したい」「(自分と妻が)話せばわかる」と言い張る。

 「前日まで夫婦仲はよかった」「まだやり直せる」などと主張する。妻が離婚意思を示したことが認められず、自分が直接言えば、妻が従うと信じているのである。ことここに及んでも、「勝手に出て行ったことは許してやる」とあくまで上から目線でしか語れないモラ夫も多い。

 妻から離婚調停が申し立てられ、調停委員からも「奥さんの離婚意思は固いですよ」とダメ押しされると、一部のモラ夫は、一転して「改めるべきところは、改める」「反省するべきは、反省する」などと、余りにも遅すぎる謝罪を始める。

 私が代理人弁護士として、「何を反省し、改めるのか」と訊くと、モラ夫たちは、反省するべき点は、(妻から)具体的に指摘して欲しい、真摯に検討するなどと言い始める。

 すなわち、反省する、改めるなどと言いながら、具体的中身がないのである。自省などせず、改めるべき点を相手方に提示させるなどの甘え切った考えを公の場で平然と言ってのけるのである。

 このような「反省」は、心からの反省ではあり得ない。「離婚騒動」を終結させるための言い逃れに過ぎない。しかし、これは、決して稀なものではなく、モラ夫たちとの離婚案件で、しばしば遭遇する、ごくありふれた風景なのである。

◆戻っても今度は「お前のせいで反省すると言わされた」

 冒頭の事例に戻ろう、

 妻は、迷った末、元に戻った。

 戻って、夫が優しかったのは、たった1か月。その後、元のモラ夫に戻ってしまった。

 妻が、「反省するって言ったじゃない」と訊いたところ、夫は、「(お前に)反省すると言わされた。ガマンさせられた」「お前がモラ妻だろう」と妻を責め立てた。

 妻は、その後、私の事務所に離婚相談に来て、述べた。

「(夫の反省を)信用してしまうなんて、私、本当にバカでした」

 その場しのぎの「反省」では意味はない。男尊女卑を捨てて、根本的に価値観を見直し、自分にも厳しくしないと、日本のモラ夫たちは、いつか妻に見捨てられる。

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし〜モハメッド君を助けよう〜』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

【大貫憲介】

弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし〜モハメッド君を助けよう〜』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中

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