「NHKから国民を守る党」に投票した30代男性の言い分。「れいわと迷いました」

「NHKから国民を守る党」に投票した30代男性の言い分。「れいわと迷いました」

NHK社屋  mizoula / PIXTA(ピクスタ)

◆「NHKから国民を守る党」の議席獲得という衝撃

 7月21日に投開票が行われた参院選で、「NHKから国民を守る党(N国)」が議席を獲得した。比例区で、政党名と個人名を合わせて98万7000票以上を集めた。

 この結果には、知識人たちも衝撃を受けたようだ。ジャーナリストの津田大介さんは7月21日、「最後の最後でN国とかマジで冗談きついな……」とツイート。日本文学者のロバート・キャンベルさんも同党の立花孝志代表の当選後、「日本国民が選出して自らの税金から毎年3000万円、任期6年で合計1億8千万円をこの候補者に支給することを今日約束したという現実」とツイートしていた。

 同党をいち泡沫政党だと思っていた筆者も、この結果に唖然とした一人。一体、どのような人がどのような理由で投票したというのだろうか。

 そう思っていたところ、知人のツテで同党に投票したという人物と会う機会を得た。

 れいわ新選組と迷った末にN国を選んだという男性(30代)は「既存の政党はいずれも支持することができない」「政見放送が面白かった」とその理由を語ってくれた。

◆「既存政党の中では国民民主党が一番マシだけれど……」

 地方出身の男性は、都内の有名私立大学を卒業後、市役所の職員として勤務している。政治に興味を持ち始めた大学生の頃は、自民党を支持していた。しかし「経済成長率で諸外国に負けており、消費税を増税したり、大企業を優遇したりするのは誤りだ」と感じるようになった。現在は特定の政党を支持していない。今回の選挙でも、経済政策を支持できなかったため、自民党と維新の会には投票しなかった。

 また立憲民主党や社民党・共産党といったリベラルな政党は、「外国やマイノリティを過剰に優遇している」ため、支持できないという。

「マイノリティや外国人を差別するのはよくないと思いますが、なぜマイノリティをそこまで優遇するのでしょうか。僕は夫婦別姓にも賛成ですが、それほど優先順位が高い課題だとは思いません。そもそも僕は憲法を改正して軍備を増強した方がいいと思っているので、憲法を護持しようとしている政党には投票できません」

 どうやらN国に投票したのは、消去法だったようだ。男性はこう続ける。

「既存政党はいずれも支持することができません。最もマシなのは国民民主党だと思いますが、議員によって政策に振れ幅があるように感じます。また、かつての民主党も小沢一郎さんも好きではないため、あまり支持したくありません。こうした理由から、れいわとN国でかなり迷った末、N国に投票しました。れいわは、消費税廃止と反緊縮は評価できるのですが、重い障害がある方を特定枠にしたことがパフォーマンスだとしか思えなくて……。健常者の議員が、当事者の代弁をすれば十分なのに、なぜわざわざ介助の必要な人々を候補者にしたのでしょうか」

◆ほぼ唯一の公約「スクランブル化」にはまさかの反対

 同党の立花孝志代表は、政見放送で「NHKをぶっ壊す」とかねてからの主張を展開。その理由として、NHK職員の不貞行為を挙げた。同氏が「不倫路上カーセックス」と連呼する動画はインターネットでも話題に。こうした内容を政見放送で流すのかと驚いた人も少なくなかった。

「政見放送は純粋に面白かったと思います。山本太郎さんの放送ですら40万回しか再生されていないのに、立花さんの動画は300万回以上再生されています。きっとはじめしゃちょーの動画を面白がるのと同じように、楽しんでいる人が多いのだと思います。Twitterでもかなり話題になりましたよね。

こうした部分も含めて、単純に面白がっている部分もありますね。『当選したところを見てみたい』という気持ちもありますし、当落線上にあるからこそ、自分の一票が生きるとも思います」

 同党が要求するのは、受信料を支払っている人だけがNHKを視聴できるようにする「スクランブル化」だ。N国が躍進したのは、受信料に不満を抱いている人が多いからではないかとする向きもある。

 しかし男性は、スクランブル化には「反対」している。「受信料は大企業や富裕層から徴収すればいい」という。

◆次回の投票先は未定

 文筆家の古谷経衡さんは、7月22日に公開された「『NHKから国民を守る党』はなぜ議席を得たのか?」の中で、かつてのネット右翼と「政治的非常識層」が同党に投票したと指摘している。

 しかし男性の場合、個々の政党の政策を吟味しており、単なる「非常識層」とは言い難い。またネット右翼に特有の“嫌韓”にも共感できないという。

「僕は先日も大阪の鶴橋で食べ歩きをしていましたし、韓国の女性グループBLACK PINKのファンでもあります」

 今回はN国に投票したものの、政党として支持しているわけではない。次回の選挙でどこに投票するかは、その時に判断するという。

<取材・文/中垣内麻衣子>

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