部屋を片付けられないのは「才能があり過ぎる」から!? 片付け苦手な人の意外な可能性とは?

部屋を片付けられないのは「才能があり過ぎる」から!? 片付け苦手な人の意外な可能性とは?

片付けられないことをポジティブに捉えると、新たな段階にシフトできる!?

◆ADHDは「ギフト(天賦の才)」!?

 こんにちは、片付け心理専門家、空間心理カウンセラーの伊藤勇司です。

 令和元年の7月にネットニュースで、米国の心理学者の「The ADHD Advantage: What You Thought Was a Diagnosis May Be Your Greatest Strength」という本が話題になりました。

 その内容は、ニューヨーク在住の心理学者・デイル・アーチャー氏によるもので、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、才能ある子供に宿る「ギフト(天賦の才)」であるという発表です。

 

 まだ日本では未発表の学術書ですが、このニュースを受けてぼくの空間心理カウンセラーとしての仕事にも、おおいに関連する話だと実感しました。

 実は、部屋が片づかないと悩む人の中には、発達障害・ADHDなどと診断されている方が非常に多い傾向にあります。逆に発達障害の人は片づけが苦手であるという話もあるくらい。

 そんな中で、この米国の心理学者の方の研究と同じように、ぼくは部屋が片づかなくなる方の「才能」について着目して研究をしていました。

 部屋が汚いという状態だけを見ると、それが悪いように捉えられがちなのですが、「なぜ、部屋が散らかっていくのか?」という根本要因を掘り下げて考察をしていくと、実は才能に溢れているが故に、散らかる現象が生まれやすいということが分かってきたのです。

◆片付けられないという、発達障害の特徴を「才能」として捉えることの重要さ

 そこに気づいた時に、直接的に部屋を片づけることをレクチャーするよりも、その人の才能が活きるような過ごし方ができるようなサポートをした方が効果的なのかもしれないと思って、ここ2、3年は、部屋を片づけるための片づけではなく、「その人の才能を活かすために片づけを活かす」という角度から片づけ問題について考察をし続けてきました。

 

 その結果、部屋の片づけについてを一切考えないでいいので、自分の才能を発見し、その才能が活きることを中心に過ごしていただくことを考えてライフスタイルを整えていくと、結果的に部屋を自然に片づけたくなる人や、才能が開花することで毎日活き活きするようになって、人生に充実感が生まれていく人が圧倒的に増えていきました。

 僕はデイル・アーチャー氏の発達障害と天賦の才について発表を受けて、改めて自分の性質をネガティブな捉えるのではなく、ポジティブに転化していくことが時代に求められているのだろうと考えています。

 ちなみに、部屋が片づかない人々には、実はすごい才能があるのではないだろうかと考えるようになったのは、ある企業研修でクリエイティビティにおける実験をした時の経験がきっかけになっていました。

 会社の新商品アイデア立案会議において、「片づけが苦手グループ」と「片づけが得意グループ」に、別れてもらってブレインストーミング(自由連想法)を行ったのです。

 これは、常識から外れていてもよくて、実現可能か不可能かを問わずに、自由にアイデアを出していく会議です。

 制限時間を8分にして、その時間内に出来るだけ沢山のアイデアを出すことを目的に会議をスタートさせていきました。

 すると、どうなったのか?

◆片付けができる人のほうが、仕事ができるのか?

 一般的にも、片づけができる人は、仕事ができる人と思われている傾向が高いものです。でも、アイデア会議においては、片づけが得意グループでは、8分間で37個のアイデアしか出ませんでした。

 一方で、片づけが苦手グループは、その3倍近くの92個のアイデアを出していたのです。

 そして、この会議中のプロセスにも興味深い違いがあったのですが、片づけが得意グループは、頭でウンウン考えながら比較的静かに会議をしていました。

 その反面、片づけが苦手グループは、終始笑顔で、中には腹を抱えて笑う人もいながら楽しそうに会議をしていたのです。

 さらにアイデアの内容についても、片づけが得意グループは真面目で枠を飛び越えたアイデアはほとんどなく、実現可能なレベルでのアイデアがほとんどでした。

 しかし、片づけが苦手グループは枠を飛び越えて、どう考えても実現できないことや、常識からズレている発想も多かったのですが、とても斬新なアイデアに富んでいたのです。

 こうして会議が一通り終了した後に、改めて全てのアイデアをまとめていきながら、新商品開発へのヒントにして行ったのですが、最後に全体会議をしてまとまった結果として、片づけが苦手グループが出したアイデアの多くが新商品開発のヒントとなって、そこからお客様に愛されるヒット商品が生まれるという結果も出て行きました。

 この結果からも、片づけタイプによっての才能の違いが一つ明確になったのですが、そもそも片づけという行為は、「明確なイメージから逆算して現在の行動を決める」という発想で行われる行為です。

◆クリエイティビティを求められる仕事では、片付けが苦手な人のほうが有利

 具体的な完成形がイメージできているからこそ、そのゴールに向かって行動ができるようになる。パズルをイメージして頂くと分かりやすいと思いますが、パズルは完成形の図を見ながら一つ一つのピースを埋めていく作業。このパズルの発想と片づけは同じなのです。

 だからこそ、片づけが得意な人は、目標を立ててそれを達成するという能力は必然的に高くなります。ただ、良くも悪くもですが先に完成形ありきになるので、「枠内思考になりやすい」のが、片づけが得意タイプの思考パターン。

 

 枠を飛び出た発想を出したり、オリジナリティーで勝負するようなシーンにおいては、実は片づけが得意タイプの能力は効果を発揮しないことが多いのです。

 そして、今回の企業研修のようにクリエイティビティを求められるようなシーンにおいては、実は片づけが苦手なタイプの人の方が、枠にとらわれない創造的な発想を出しやすく、一瞬のひらめきで大きな価値を生む能力には長けているのです。

 こういった才能という角度からも片づけ問題を考察していくと、適材適所で人材を配置するヒントにもつながっていくので、人材育成や社会全体の経済発展の底上げにも効果が期待できると考えています。

 

 部屋が汚いのが悪くて、部屋が綺麗なことが良いという論理ではなくて、そういった人たちの才能や特性という部分に着目していきながら、お互いの能力を活かし合うという角度で考えていくと、ビジネスシーンでは特に発展性が生まれるので、今後こうした角度からの事例もお届けできたらと思います。

<文/伊藤勇司(空間心理カウンセラー)>

【伊藤勇司】

日本メンタルヘルス協会カウンセラー。引越業に従事していた頃、「部屋と心の相関性」に着目し、1000軒以上の現場をもとに独自の「空間心理」理論を確立。片づけの悩みを心理的な側面から解決する「空間心理カウンセラー」として2008年に独立。セミナー、講演、セッションを、これまで約10,000名に実施。クライアントは主婦から企業経営者、作家などまで幅広い。著書に、『毒舌フェニックスが教える家族を救う片づけ』(KADOKAWA)ベストセラー『座敷わらしに好かれる部屋、貧乏神が取りつく部屋』(WAVE出版)。空間心理カウンセラー・伊藤勇司公式ブログ

最新刊『あなたの部屋が汚いのは、才能がありすぎるから』(主婦の友社)

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