入管の女性被収容者へのひどい待遇。着替えもトイレもカメラで監視、自殺未遂も

入管の女性被収容者へのひどい待遇。着替えもトイレもカメラで監視、自殺未遂も

東京入管には現在、100人以上の外国人女性が収容されている

◆女性の被収容者が解放されるケースは、ほとんどない

 東京オリンピックを前にして、ビザのない外国人に対する長期収容がますます深刻なものとなっている。大村入管(長崎県)ではナイジェリア人が謎の死を遂げた。牛久入管(茨城県)では、最大時100名を超える被収容者が、長期収容に対する抗議のハンガーストライキを行い、今も収束の気配はない。

 そんな中で、あまり注目されないのが女性の被収容者たちの存在だ。現在、東京入管では100名以上の外国人女性が収容されている。収容されたらすぐ帰国する人はもちろん多くいる。

 一方で「難民のため帰れない」「家族がいる」など、事情がある女性の収容は長期化している。1年以上は当たり前で、3年以上の収容も珍しくはなない。しかも男性の被収容者と比べても、解放される女性はほとんどいないと言われている。いったい、なぜなのだろうか。

 あまり知られていないが、女性被収容者たちもハンストを始めている。長い人はもう1か月半以上続けている。拘束されていることへの抗議の意思もあるが、この環境によるストレスで食欲を失っているのも理由のひとつのようだ。

 ハンストを行っている女性たちは、入管の給食や固形物は食べないが、コーヒー、青汁、牛乳などの水分は摂っている。しかし、栄養が偏るため、目まいや手の痺れ、湿疹ができるなど、徐々に体調を崩している。

◆ハンストを始めた女性に、アメとムチを使い分ける入管職員

 当所は、ハンストを始めた4人がひとつの部屋に押し込まれ、他の被収容者たちと接触しないようにされていた。ハンストをするメンバーが入れ替わる中、9月5日にはトルコ国籍クルド人、フィリピン人、スリランカ人の3人のみとなっていた。

 女性職員たちはなんとか残った3人のハンストをやめさせようと、給食を質の良いものにしてみたり、「あなたのことが心配だから食べて」と甘い言葉を使ったりしてきた。

 そうかと思えば、「ボス(福山宏局長)の方針で、ハンストする人は仮放免(解放)しない」「お願いする(立場)でしょ。ハンストはマイナスよ」と脅しをかけるなど、アメとムチを使い分けていた。

◆心身ともに弱り、自殺を試みたスリランカ人女性

 ついには、3人はバラバラの独房に移された。部屋にはトイレがあるが、トイレのドアがなかった。天井に設置されている監視カメラから、常にトイレの使用や着替えを見られる状態となっていた。

 クルド人女性はその辱めに耐えられず、大声を上げ暴れて「嫌だ!」と拒否をしたが、職員たちは聞き入れてはくれなかった。彼女は「だって、男性だってカメラで見ているんでしょ?」と抗議したが、女性職員たちは「仕方がない」と答えた。3人は監視カメラの先に誰がいるのかもわからず、日々、屈辱を強いられている。

 フィリピン人女性は、もう2年10か月収容されている。日本人の夫と子供が2人いるが、ある日、女性職員に「子供は面会に来るの?」と聞かれ、そうだと答えたら「もう来させないほうがいいよ」と言われたという。

「まるで自分が恥ずかしい母親のような言い方をされて悔しかった」と語る。「自分の子供なのに大きなお世話だ」と、怒りをにじませていた。

 スリランカ人女性も難民として来日し、帰国できないでいる。わずかに与えられたフリータイムすらも職員たちに見張られ、息苦しい日々を送っていて食欲もない。

 心身ともに弱っている彼女は職員たちに毎日、口癖のように「殺してほしい」と訴えていた。そして9月9日、置いてあったポットのコードで自殺を試みたが、多くの職員の制止により、未遂で終わる。その様子をビデオカメラで撮影している職員もいたという。

◆「戦争がない国だから難民じゃない」と入管職員

 すでにハンストを止めている別のフィリピン女性にも話を聞いてみた。

「ハンストは体のことを考え、自主的にやめました。自分は反政府活動をやっていたため、自分の身が危険になって5年前に来日。そこで難民申請をして半年更新のビザをもらっていました。しかし申請は却下され、収容されてしまいました。5年のうち2年は外で、3年は収容所の中……」

 彼女は職員に、「戦争がない国だから難民じゃない」と言われた。「じゃあ、(帰国して)私に何かあったら責任とれるの?」と聞き返すと、職員たちは黙ってしまうだけだったという。

 難民の定義とは「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由」で「迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがある」人々であり、戦争が行われていることだけが難民の理由というわけではない。これを入管職員が軽はずみに言うこと自体、非常に疑問を感じる。

 そもそも、イラクやシリアなど実際に戦争があることで知られている国の人たちにも難民認定が下りるのかというと、日本では滅多に認められず、収容された人すらいる。

 筆者はフィリピン人女性に、「なぜこんなにも女性は仮放免されないのだと思いますか」と質問してみた。

「女性は、男性と違って弱いから……」

 明らかな女性差別と感じているようだった。

◆ハンストを行っていない被収容者にも、職員からのイジメ

 もともとハンストをしていなかった女性たちにも筆者は面会して話を聞いたが、ハンストをしていなくとも女性職員からのイジメがあることには変わりないようだった。

 例えば、面会に来たボランティアが差し入れをすれば「管理が面倒だから、送り返せ」と圧力をかけられたという話をよく聞く。しかし彼女らはお金がないので、自分たちで生活用品を買うのは大変で、ボランティアの差し入れを頼りとしている人も多い。

 特に生理用品などは高いし、職員も同じ女性なら理解してほしいものだ。それすらも自分たちの仕事が増えるのが嫌で、突き返すようにと言うらしい。収容のストレスだけでなく、女性職員による仕打ちに耐えかねている人たちも少なくはない。

 筆者は総務課に出向き、「監視カメラでトイレや着替えを覗くことは、人権侵害にはあたらないか」と質問した。すると、総務課の職員は、こう答えた。

総務課職員:「理由」があればしょうがない。

筆者:食事をとらないことは、監視カメラで辱めることに相当する「理由」でしょうか。

総務課職員:それは、私のほうではお答えできません。

筆者:仮放免とは、その人が母国に帰れない理由などを判断材料にするのであって、食事をしたかしないかで判断するものではないはずでは?

総務課職員:それは、そうですね……。

 オリンピックが決まって以来、何が何でも日本への在留を希望する外国人を追い出そうと躍起になっているうちに、職員たちの人権感覚が徐々に麻痺していき、どんどんグロテスクな方向に進んでいるように感じる。日本は本当にオリンピックにふさわしい国なのだろうか、今のこの国で行われている闇に目を向けずして、いったい何が“平和の祭典”なのだろうか。

<文・写真/織田朝日>

【織田朝日】

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