「電子タバコ販売禁止」のニュースと、飲食店の「電子タバコは可」の貼り紙に抱く違和感

「電子タバコ販売禁止」のニュースと、飲食店の「電子タバコは可」の貼り紙に抱く違和感

アメリカで販売禁止する州が増えている「電子タバコ」。「vape」は代表的なブランドだ photo by haiberliu via Pixabay

◆肩身が狭くなる喫煙者

 2020年4月1日にから健康増進法の改正により、原則屋内での喫煙が禁止されます。病院や学校、官公庁においては既に実施されていて、「第一種施設」に区分されるこれらの施設では屋内ではなく敷地内禁煙となっています。法律が改正された目的は望まない受動喫煙の防止にあって、その点については喫煙者からしても納得がいく話なのです。

 ちなみに、筆者は喫煙者です。

 日に20本(1箱)ほど吸います。2年程前に、紙巻タバコからiQOS(アイコス)という機器で吸うようになりました。黒いスティック型のものに通常の長さの半分ほどのタバコ(ヒートスティック)を刺して吸います。このような機器を利用し吸うタバコには、私が利用しているフィリップモリス社製のiQOSの他に、JTが出しているPloom TECH(プルーム・テック)とアメリカン・タバコ社製のglo(グロー)があります。

 JTが2018年7月30日に発表した「全国たばこ喫煙者率調査」の結果によれば、日本における喫煙者率は17.9%。いまや10人に2人もタバコを吸わなくなりました。逆に言えば、喫煙者は社会的少数層であり、肩身は日増しに狭くなっていきます。

 もしあなたが非喫煙者なら、ここまで読んで頂きありがとうございます。

◆混同される「電子タバコ」関連ニュース

 私がこの記事で書きたい事は、喫煙者の権利の主張のたぐいではありません。

 禁煙化に対する関心が高まっているなか、世の中に流れているタバコ関連のニュースのうち、あきらかにミスリードしようとしているものや、そのような意図が無くてもミスリードしてしまっているものが多く見受けられるからこそ、タバコを吸わない人に、最低限でも正確な情報をお伝えしたいその気持ちで書いています。

 タバコを吸わない人と吸う人の共生のため。ちなみに私はタバコ関連企業の「まわし者」ではありません。

 最近、「どこそこの国で、電子タバコを吸った人が死亡した」というニュースを見かけませんか? 死亡ではなく、たとえば重体とかでも。(米NY州が電子たばこの販売禁止、国内2州目 相次ぐ被害受け|AFP)

 さて、この「電子タバコ」という言葉。この記事を読んでいる非喫煙者の方は、どのようなイメージを持ちますか? 多くの方が記事冒頭で紹介した、iQOSやPloom TECH、glo等の機器を利用しての喫煙をイメージするのではないでしょうか。

 ここが一番大事なポイントなのですが、iQOSやPloom TECH、gloは「電子タバコ」ではありません。これらのタバコは、正式に「加熱式タバコ」と呼ばれています。「電子タバコ」はまったくの別物なのです。

◆日本製の電子タバコにニコチンは含まれていない

「加熱式タバコ」とは別に、「電子タバコ」も日本で購入できます。しかし、日本で販売されている「電子タバコ」は、ニコチンを含まない液体「リキッド」を蒸気化し吸うものです。海外ではニコチン等を含む「電子タバコ」が売られていますが、日本では薬事法の関係で承認が必要*であり、まだ承認を受けた製品はありません。(※ただし、個人輸入でのみ国内持ち込み可)

<*ニコチンを含む電子タバコへの注意を呼び掛け 都道府県には販売業者などへの監視指導の徹底を依頼|厚生労働省>

 ちなみに外国では、電子タバコを吸う際にニコチン以外にも日本では禁止されている薬物成分(大麻の有効成分であるTHCやCBD)を、合法であれ非合法であれ混ぜて吸うケースもあり、なので「電子タバコ」による健康被害のニュースを、そのまま「加熱式タバコ」の危険性として認識するのは大きな間違いになります。

 海外における「電子タバコ」による健康被害ニュースに接するたび、この点について記事を書いた人が正確に認識していないと思えたり、あえてこの点についての言及を避けていたりするので、タバコと無縁の生活をされている方は混同してしまいますよね。

 この段で、ちゃんとお伝えしたい事は、「加熱式タバコと電子タバコは違う」という事と、「日本における電子タバコには(個人輸入を除き)ニコチンが含まれていない」という事です。

 もしあなたが非喫煙者であったとしても、飲食店に代表されるサービス業に関わる人であれば、タバコに関する問題には興味を抱くかも知れません。2020年4月1日以降の屋内禁煙化の煽りを強く受けるのは飲食店と言われており、「串カツ田中」の禁煙化等はよくニュースで見かけます。

 実は2020年4月以降も、小規模な飲食店や風俗営業許可店(バーやスナック、クラブ等)であれば、一定の条件下で喫煙可能となっています。また紙巻タバコと加熱式タバコで、若干ルールが違ったりもします。本稿ではそのルールについての詳しく言及はしません。

◆街中の飲食店で見かける「電子タバコはOK」という貼り紙

 私がとても気掛かりなのは、最近、飲食店の入口等で見かける「電子タバコはOK」という貼り紙です。

 飲食店側からすれば、タバコを吸わないお客のことを考え、紙巻タバコが発する煙や匂いはNGであるが、加熱式タバコであれば、タバコを吸わない人にもそれほど負担にならないという考えなのでしょう。非喫煙者も喫煙者も出来るだけお客として取り込みたいのが飲食店の思い。

 それを「電子タバコはOK」と表記してしまう。しかし、貼り紙を貼る側が「電子タバコ」を正確に認識しているのかがわかりません。果たして加熱式タバコはOKなのか? はたまたVAPEなどの電子タバコだけなのか?

 そんなわけで、この貼り紙の表記は、社会的な誤解の最たる例ではないかと思うのです。

 今後、飲食店等での禁煙告知は、2020年4月を待たずして増えていくでしょう。

「加熱式タバコ」の愛煙者としては、このような誤解が少しでもなくなれば良いと思っています。

 もちろん、「電子タバコ」の誤表記が「加熱式タバコ」に直されたからと言って、何か喫煙者側にメリットがあるものではありません。ただ、非喫煙者の方々にも、もしかしたらこの事を正確に理解していない喫煙者の方々にも、せめてちゃんと知っていてもらいたいと思っているのです。

 最後まで読んで頂きありがとうございます。一服します。

<文・安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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