少子化の原因、女性の半数以上が「働く女性へのサポート不足」と回答

少子化の原因、女性の半数以上が「働く女性へのサポート不足」と回答

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◆「少子化に危機感覚える」7割越す

 航空券とホテルの予約サイト「エアトリ」は9月10日、「少子化対策」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は、20代〜70代の男女934名を対象に行った。

 現代日本が直面する「少子化」という問題を、多くの人が深刻に受け止めているという現状が浮かび上がってきた。日本政府はこの現状に対しどのような施策をとることが求められているのだろうか。本アンケートの結果とともに、考えていきたい。

 まず、「少子化に対して危機感を覚えていますか?」という質問に対して、「非常に危機感を覚える」は39.9%、「やや危機感を覚える」は32.9%だった。全体の7割以上が少子化に対して危機感を抱いていることになる。

◆ライフスタイルの多様化に追いつかない政府の施策

 では、どのような所に少子化の原因があると考えているのだろうか。

 子持ち女性・子なし女性ともに最も回答が多かったのは、「働く女性へのサポート不足」(子持ち女性:61.3%、子なし女性:53.6%)だった。一方、男性で「働く女性へのサポート不足」と答えたのは、子持ち・子なしともに半数以下となっている。

 男女間での認識の違いが浮き彫りになったようだ。しかし、「どうしても子供を仕事場に連れて行かなくてはならなかった時に、職場の人から子供を連れてくるなんて非常識だと言われ(た)」(40代女性)という声や、「夫が子連れで外出すると必ず『今日はお休みですか?』と聞かれ、『成人男性は日中は余暇等の為に外出するものではない』という固定観念があるのを痛感した」(30代女性)という声もある。男女問わず社会全体で、働く親への理解が得られていない部分もあるのかもしれない。

 また、少子化の原因として男性で子持ち・子なしで1位(46.5%、54.0%)、女性では子持ち・子なしで2位(49.6%、53.0%)と高い数字だったのが、「生き方の多様化」だった。

 次いで「金銭的な補償の少なさ」(子持ち男性:46.5%、子なし男性:45.3%、子持ち女性:43.3%、子なし女性:44.6%)、「労働賃金の安さ」(子持ち男性:41.9%、子なし男性:53.2%、子持ち女性:39.6%、子なし女性46.4%)などの割合が高かった。

◆「幼児教育・保育の無償化」よりも「待機児童の解消」が支持される結果

 では、日本政府が現在実施・導入を検討している施策について、「効果がある」と思われているのはどのような施策なのだろうか。

 注目すべきは、すべての層で「幼児保育・高等教育無償化」よりも「待機児童の解消」に効果があると答えていることだ。日本政府は10月から「幼児教育・保育の無償化」を実施するが、「待機児童の解消」よりも優先されるべきなのだろうか。

 政府は2020年度末までに約32万人の受け皿拡大を目指しているが、それが成功する保証はない。むしろ、無償化によって、幼児教育・保育へのニーズが高まり、かえって待機児童を増やすことにつながりかねない。政府の施策が、「待機児童の解消」を求める多くの声に逆行することにならないか、これからも注視が必要だろう。

  子持ち女性に限ると、効果があると思う施策の1位は「フレックスタイム制の弾力化、テレワークの推進」(70.8%)、2位に「待機児童の解消」(70.4%)、3位に「放課後児童クラブの拡充」(67.1%)となっており、調査2に続き、ここでも働くためのサポートが上位に並んだ。

「マタニティハラスメント・パタニティハラスメントに関する企業への指導」も他と比べて割合が高くなっている。企業内で育児に対する理解を積極的に促していく必要があるだろう。また、子持ち男性の半数近くが「三世代同居・近居の促進」を支持しているのに対し、女性の支持は低くなっている。もしこの施策が推進された場合、女性側がさらなる負担を抱えてしまう可能性がある。

◆子どもは家庭ではなく国全体で育てていくべき

 次に、「海外の少子化対策の中で日本でも取り入れるべきだと思う施策はどれですか?」と質問した。 子持ち女性の1位は、ドイツの「大学までの授業料無償」(65.4%)が1位となった。

 子なし女性の場合は、1位が「不妊治療費の全額支給」(54.2%)、僅差で2位が、妊婦健診に伴う検査、出産に至るまでの費用が無料となるイギリスの「National Health Service」(51.8%)となった。妊娠から出産までの費用や子どもの教育費の負担は、家庭に押し付けられるのではなく、国全体で支えていくべきという考えが伺える。

 また、子持ち男性の1位が、子どもを3人養育すると年金が10%加算されるフランスの「年金加算」(59.9%)、子なし男性の1位が、子どもの多い世帯ほど所得税が軽減されるフランスの「N分N乗税制」(49.6%)となった。子どもをたくさん育てるほど経済的な支援が必要になる現状を反映している。

◆子どもを産まない方が得をする社会

 いよいよ10月から消費税が10%に増税され、それを財源に幼児教育・保育無償化が開始されることになる。政府は「少子高齢化」を増税の理由の1つとしている。しかし、先ほども述べた通り、幼児教育・保育無償化はかえって待機児童の増加につながるかもしれない。子どもをどこに預けることもできず、消費増税によって家計も圧迫されてしまえば、家庭の負担は増すばかりだ。

 アンケートではこのような意見も寄せられた。「結局子どもを産まない方が得をする社会になっている」(50代・男性・子どもあり)。政府はそんな社会を作るべきではないし、私たちはそうならないよう見守っていくべきだろう。これから生まれてくる子どものためにも、そして、これから彼らに支えてもらう私たち自身のためにもー。

<文/田中宏明>

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