家からゴミ箱をなくしたら、何が起きるのか?

家からゴミ箱をなくしたら、何が起きるのか?

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◆家の中のスペースごとにゴミ箱を置いていないか

 あなたの家はゴミ箱だらけではないか? キッチン、居間、寝室、子ども部屋、廊下、風呂脱衣場、玄関、トイレなど、スペースごとにゴミ箱を置いていないだろうか?

 いざゴミ出しの朝、ゴミ出し当番は家中を矢継ぎ早にめぐり、回収・分別して種類ごとにまとめ、サンダルつっかけてゴミ集積場までひとっ走り!

 ゴミ箱の中、ゴミ箱の周りもおおよそ汚れがちで、それを綺麗に拭いたり洗ったりしたらさらに一大事。ゴミ箱が汚れないようにビニール袋を被せている場合も、新しいそれを各ゴミ箱の数だけ用意して、ゴミ箱ごとに被せるのもさらに一大事だ。

 子どもやパートナーがゴミをちゃんと分別してなかったり、そもそも分別意識がなかったり、それでイラッとして朝から喧嘩や不機嫌になる、なんてざらだろう。「アンタをゴミに出してやる!」と思いはしないか(笑)。

 とはいえ家族全員に分別を徹底認識させるのも一大教育で、教えられるほうにしてもたいていが他人ごとになりがちだ。 

◆家の中に一か所だけゴミを集める場所をつくる

「ゴミ箱がたくさんあるからゴミが増え、ゴミ出しの手間も増える」というのが俺の持論だ。これを解決するには、家の中にゴミを集積する場所を一か所だけ(その場所を「X」と名づけよう)にすれば良い。そこに、缶/瓶/ペットボトル/資源ゴミ/燃えるゴミ、など分別して入れるような仕組みにしておくのだ。各分別の箇所にゴミ出し日も記しておこう。家族それぞれの意識が高まるはずだ。

 各人各部屋で出たゴミはどうするのかって? それぞれがXに持って行って捨てればいい。面倒だって? 面倒でいいんだ。面倒だからこそゴミへの意識や愛が高まる。ついさっきまで必要なモノであり続け、今、目の前でゴミに変わった彼ら彼女らを、どこにどう扱ってあげるのか考えるようになるんだ。

 そしてさらに考えるようになる。「ゴミが増えないようにしよう、ゴミが増えるような買い物は避けよう」と。モノを買うとき、これは最終的にどういうゴミになるのかまで考えて選ぶようになる。結果、過分な買い物は減り、家から出るゴミが減り、手間も出費も減る。

◆ゴミ箱がなくなると、部屋も心もスッキリする

 俺の家にはゴミ箱がない。キッチンの背面にDIYで作った棚がある。各棚の端にビニール袋をぶら下げる仕組みにした。棚ごとの袋に違う種類のゴミを捨てる。ゴミが出るごとにキッチンに行って分別して捨てる。残飯などの生ゴミは畑に戻して肥やしにする。紙ゴミはある程度溜まったら庭で燃やす。焼いて白くなった灰も畑に戻す。

 俺は買い物の際、ビニール袋を断ることにしているのだが、意図せずにもらってしまうこともある。断る前に店員さんが品物をビニール袋に入れてしまったり、断ったのに親切に入れられてしまったりすることもある。いただいたそれらは有効に、ゴミを入れるために活用させてもらうわけだ。

 ゴミ箱を置かなくなって何がいいって、ゴミ箱がない分、部屋やスペースが広くなる。掃除も楽になる。ゴミ箱をどかす必要がない分だけ手間が省ける。周りも汚れない。

 何よりいいのは、空間が清潔感にあふれ、粋でシャレた雰囲気に変わる。汚れたものが視野に入らない心地よさは、意外といいもんだ。ゴミ箱自体、美しいものではない。デザイン性の高いゴミ箱もあるだろうが、ないに越したことはない。ゴミ箱の素材はプラスチック性のものが多いが、そういった化学製品は見た目にも心を落ち着かせない。

 ゴミ箱がないと相対的に家がきれいになり、心が落ち着くから試してほしい。

◆個人が「低消費・低廃棄」にシフトすることで、世界は変えられる

 今年、ヨーロッパは熱波で40℃を超える場所も多発。北極圏も記録的な猛暑で30℃を超え、アラスカ、シベリア、グリーンランドなどでは森林火災が拡がっている。南米アマゾンでも森林火災が止まらない。日本の猛暑や災害の増加にも増して、世界中が火の車だ。異常気象や温暖化が加速度的に増している。

 企業も人々も、過分にモノを作らず、過分にモノを捨てない未来にシフトしないと、人類が徐々に、なおかつ加速度的に追い詰められていく。政治や経済のイニシアティブで、低消費で低廃棄、なおかつ高満足への道筋をつけねばならないのに、未だ「経済成長だ!」「消費しろ!」とうるさい。もはや人々の意識や行動だけでは足りないし、間に合わないと思う。未来世代に申し訳ない。

 それでも諦めたくないなら、俺らが知的行動レベルを上げて政治や経済に模範を示し、圧力をかけていくしかない。生活者としての知恵を、経営や経済や政治に持ち込むのだ。これまで、人々のそうした行動が世界を変えてこられたという側面もある。俺ら個人が行動して発信していくことから、世界は変えられるかもしれない。そう信じたい。

 たかだか「ゴミ箱を置くな」だが、低消費・低廃棄にシフトすることで寒い財布の中身を暖かくし、住まいをセンスよく美しくし、未来世代に残すべきものを残す。そのための知恵の一助にしてほしい。

【たまTSUKI物語 第20回】

<文/坂勝>

【坂勝】

1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを開店。今年3月に閉店し、現在は千葉県匝瑳市で「脱会社・脱消費・脱東京」をテーマに、さまざまな試みを行っている。著書に『次の時代を、先に生きる〜まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)など。また、筆者の「誰にでも簡単に美味しい料理ができる」調理方法とレシピをYoutube「タマツキテキトー料理 動画&レシピブック」で公開中。

【sosa project】

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