札幌のソウルフード「ぎょうざカレー」が台湾人観光客に大人気! その理由は?

札幌のソウルフード「ぎょうざカレー」が台湾人観光客に大人気! その理由は?

台湾人向けに繁体字で作られた、「みよしの」のキャラクター

◆台湾人観光客向けのキャラクターを制作して宣伝

「みよしの! カレー!! みよしの! カレー!! カレーで餃子をたらふく」というアニメソング的な歌詞で台湾を中心に人気になっているのが、北海道・札幌市民のソウルフードの1つ、カレーライスの上に餃子が乗った「ぎょうざ&カレー みよしの」の「ぎょうざカレー」だ。

 地元民にだけ親しまれてきた「ぎょうざカレー」が注目を浴びたのは2016年、札幌市と道央圏を中心に25店舗を展開する「みよしの」に、札幌市を拠点に活躍するクリエイター集団「ノースエレメンツ」がアニメ調のテーマソングによるブランディングを提案したのがきっかけだ。

 札幌を中心に活躍する「Dummy」さんがボーカルを担当した動画が話題になり、さらに、台湾・中国向けに繁体字バージョンの応援キャラクターとして、台湾出身で札幌を心より愛するバーチャル・キャラクター、辛辛(シンシン)を制作。

 みよしのの店舗の制服を着用してコラボレーションを展開、世界に宣伝された。みよしの1号店のある札幌・狸小路商店街のアーケードでは、この繁体字バージョンの動画が放映され、台湾からの観光客が足を止めるという光景が見られ、インバウンドの取り組み事例として紹介されることも多くなった。

◆札幌のソウルフード「みよしの」をインバウンドの魅力的なコンテンツに

 このクリエイター集団「ノースエレメンツ」の経営者である殿木達郎氏が『崖っぷち社長が教える! ピンチを乗り切る「なぜ?」「どうする?」の使い方』(スタンダーズ)を上梓。音楽業界のIT化を標榜して起業した「イータレントバンク」で失敗を続けた殿木氏が見出した、「地域活性化策が失敗し続ける理由と、ビジネスの成功の秘訣」を語ってもらった。

「札幌を拠点にしたノースエレメンツの最初の仕事が、札幌では有名な『みよしの』のテーマソングでした。『みよしの』はソウルフードとして有名でしたが、札幌でも若年層は利用経験が少なく、道外の人はほとんど知りませんでした。

 私は、札幌のクリエイターの間でも利用者の多かった『みよしの』は、インバウンドの魅力的なコンテンツになりうると考えました。当時から札幌への観光が増加していた台湾の人々は、日本のアニメコンテンツにも慣れ親しんでいる。『みよしの』とアニメを融合させれば効果大と考えたのです。

 ネットの動画サイトで公開されると日本国内だけでなく、台湾でも人気が出ました。それが札幌へのインバウンドにつながったのです」(殿木氏)

◆観光客は、地域の人が毎日食べるローカルフードを食べたいもの

 話題となった「ぎょうざカレー」の売れ行きは25%増となった。成功の秘訣としては、「餃子」というのもポイントだ。アジア圏では餃子といえば水餃子。日本で提供される焼き餃子は日本で独自の発展をとげたもので、アジアの観光客にとっては魅力的な体験となる。

 また、カレーも日本で独自の発展をしたもので、アジアの観光客にとっては魅力であり、餃子とカレーという2つの未知の体験は相乗効果を生む。これは、地域活性化のパワーワード「コト消費、体験型消費」となるのだ。

「インバウンドの視点として、『地域の暮らしのおすそ分け』と呼んでいます。たとえば、一緒に田植えをする、一緒に神輿をかつぐといったような視点が大事なのです。観光客は、地域の人が毎日食べるローカルフードを食べたいのです」(同)

 地域の人は自分たちの地域の魅力に気がつかないことが多い。また、東京からきたコンサルタントに導かれるように「時代はインバウンドだ」と、全国的な競争が激しいエコツーリズムや農泊に乗り出そうとして失敗し、疲弊する。このために重要なのはコンサルタントの視点ではなく、インバウンドの視点だ。

「過去にパリや南仏で開催された『クールジャパン』のイベントに携わった経験があり、海外に人々が日本をどう見ているかを体験的に理解しています。これらの体験は、前の会社のときに一番熱を入れていたが撤退した、苦い失敗がもとになっています」(同)

◆音楽を共通言語にしてプロジェクトを動かす

 殿木氏自身も、起業してさまざまな壁に直面した失敗の連続から見出だしたのは、自らも忘れてしまっていた自分の立ち位置である、「大好きな音楽に自分が最大限どうかかわっていくか」を中心に動くということだ。音楽業界のIT化が加速し、形は変わっても、その進化にどう自分が向き合えばいいかが見えてくるのだ。

「もともとプロのミュージシャンを目指していた私は、今では『どんな仕事でも音楽と結びつけてしまおう精神』を大いに発揮しています。音楽を嫌いな人はまずいません。音楽を共通言語にしてプロジェクトを動かすと、予想を上回る大きなエネルギーになり、期待以上の成果に結びつくことが多々あります。新しいことに挑戦する際にも、昔からやってきたことの延長線上でやっていることを認識して、そこからブレないことが重要なのです」(殿木氏)

 エコツーリズムや農泊でも、コンサルタント目線の“絵に描いた餅”だけになっていないかの確認作業が必要だろう。

<文/松井克明>

【松井克明】

八戸学院大学地域経営学部講師。行政書士・1級FP技能士/CFP。Twitter IDは@katsu84

関連記事(外部サイト)