台風被害の千葉県館山市、メディアが報じぬ「ブルーシートの下」の惨状

台風被害の千葉県館山市、メディアが報じぬ「ブルーシートの下」の惨状

被災地の多くの住宅がブルーシートで覆われ、土嚢で固定されている状況だ

◆我孫子市の自宅から館山を目指す

 9月27日、筆者は5時前に起床した。六時前の電車に乗り、現地入りするためだ。

 前回お伝えした通り、東京駅からのバスであれば帰りが無料になる特典があるわけだが、筆者の自宅は千葉県我孫子市である。よってむしろ遠回りになると判断したわけだ。

 常磐線に乗り、一旦鈍行に乗り換えてから新松戸で降り、武蔵野線で南船橋まで行き、そこから京葉線で蘇我、そして内房線に乗り換えて館山に8:46着という予定であった。これが館山に一番早く着く便なのだが、この時間は非常に重要なのでご記憶いただきたい。

 筆者の友人のカレン・ロバートがサッカースクールを経営する木更津を過ぎ、君津を超えたあたりから屋根がブルーシートで覆われている家が増えてくる。

 ブルーシートの重しとして、白い袋の土のうが置かれている姿は異様に見える。木更津も館山も千葉の南だから、帰りに木更津にも少し立ち寄ろうかと軽く考えていたが、館山と木更津の間は電車でも約一時間半かかることにご留意いただきたい。

 そして予定通り8:46にJR館山駅へ到着したわけだが、ここで大問題が発生した。「バス問題」である。

 「つながり」本部がある波佐間の「ウェストペニンシュラ」ホテルまでは駅からバスで約25分の場所にあるが、そのバスが一時間に一本しかないのだ。

 8:40発のバスが出てしまうと、次は9:50発である。したがって、公共交通機関で現地入りを考えておられる方は、館山駅に9:45着できればそれで充分である。

 千葉県蘇我以南にお住まいの方であればそれより早い便があるが、それ以北の方は9:35着の便があるので、それで館山入りされることをお勧めしたい。どのみち、君津以南の内房線も一時間に一本程度である。

 結局約一時間を手持ち無沙汰で過ごすこととなったが、その後バスに乗った。

◆館山に到着した筆者が目にした現状

 館山駅周辺にはブルーシートを貼る建物もなく、それほど被災した様子は見えなかったが、バスに乗り、市の中心から離れれば離れるほどブルーシートが増え、窓が割れた家も多々見られるようになる。

 ここで重要なのは、被災した家は必ずしも古いものとは限らないということだ。明らかに築三年以内と思われる家でも屋上に穴が開いたものもあり、窓がやられた家もある。古さや建築構造はあまり関係ないということだ。

 バス停「波佐間」につき、ホテルは徒歩二分程度の場所にある。中に入ると受付があり、住所と名前だけ書けばそのまま保険加入が可能となっている。

 前日の電話で「何か持っていったほうがいいものはあるか」と聞くと、「本当に、身一つでお越しいただければそれで結構です」とのことであったが、その言葉に嘘はなかった。飲食物も揃っており、作業用のゴム軍手、マスク、ゴーグル、ヘルメット、長靴なども用意されている。

 ただ、持っていったほうがいいものがあるとすれば「長袖」「長ズボン」「サングラス」である。理由は後に説明する。

◆二階の窓が破れ水浸しになった畳がカビだらけに

 登録してしばらく待っていると、最初の作業場所があてがわれた。車で移動し、後ほど現地で先発隊と合流するとのことであった。

 現場は地元の民宿であった。二階の窓が突き破られ、室内が水浸しとなり、思い切り雨水を吸い込んだ畳が重くなったうえにカビが生えてきてどうしようもないのだという。おばあさんが一人いるだけで、一人ではどうしようもないのは聞かなくともわかる。

 まさにこれが前回、勝又代表が触れていた「ブルーシートの下」の現状である。

 どうやって畳を下に降ろすのか。階段があるにはあるが、非常に横幅が狭く、勾配も急なため、重くなっている畳を二人がかりで持ち運ぶのはむしろ危険である。

 窓から下へ投げ捨て、それを下の二人が回収するほうがいいのではないか、ということで全員が一致した。筆者がその旨を家主に伝えて許可をもらい、下で待ち構える組に加わることとなった。

 下で畳を回収する。ここでの問題は、裏口の通路が極端に狭くなっていることだ。道幅は確実に1m以下で、その上に冷房の室外機があるためその部分がさらに狭くなっている。

 長袖を着る意味がそこで出て来る。この民宿の裏口に木製の階段があるのだが、今回の台風で何段かが吹き飛ばされてしまった。その際に、この段を止めていた釘が飛び出ており、畳を運ぶ際に肘をひっかけてケガする恐れがあるのだ。写真の中でピンクの丸の中が飛び出ている危険な釘である。

 サングラスが必要なのは、こういった屋外作業が多いからだ。ゴーグルの貸し出しはあるが、紫外線のことを考えるとサングラスのほうがいいのではないかというのが筆者の私見である。

 肘をケガする心配もあるが、足元も石が飛び出ていたり段差があったりして油断禁物である。

 この畳を全部道路沿いに出したところで昼食休憩に入ることとなった。本部に戻るとカレーライスとカップヌードル、おやつ類が用意されていた。

 本記事の前半で現地入りの移動手段について書いたが、結論としていえることは「たとえ千葉県民でも、東京への通勤圏内に住んでいるのであれば、東京駅からのバスに乗ったほうが便利だ」ということだ。8:18分に館山駅へ到着し、8:40発のローカルバスに乗り換えできる。しかも、帰りのバス代は無料となる(??詳細は館山市社会福祉協議会)。

 次回は、実際に館山で被災しながらも「つながり」で活動を続ける方の証言を伝えていくこととしたい。

 支援活動はまだ人材を募集している。問い合わせは「一般社団法人 震災復興支縁協会つながり」まで。

<取材・文・撮影/タカ大丸>

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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