「わかりました」よりずっと理解できたことを伝えられる「5つの言い換え」

「わかりました」よりずっと理解できたことを伝えられる「5つの言い換え」

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「後輩や部下のことを、もっと理解しよう」「お客さまの考えていることを、しっかり把握しよう」……。ビジネスパーソンであれば、誰でも、何度となく、このようなことを考えたことがあるに違いありません。

◆部下や顧客の考えが理解できない

 最近は特にメンバーやお客さまの多様性を認めてビジネスを進めようという気運が高まっていますので、「メンバーやお客さまを理解しろ」ということが従来にも増して、よく言われるようになりました。

 このような背景があるなか、筆者がビジネススキル演習をしていて寄せられる質問に、「後輩や部下を理解しようとしているのだが、具体的に何をどうすればよいか、わからない」というものが増えています。理解しようと何度言い聞かせても、何度言われても、理解するための行動をどうすればよいかわからなければ、掛け声倒れになってしまうというわけです。

 さまざまな行動や話法の演習をしてきましたが、メンバーやお客様を理解するために、最も簡単で誰でもすぐにできて、効果が上がりやすい方法があります。それが相手の話を言い換えるという方法です。

◆5つの言い換え話法

 相手の話を言い換えるというだけでは、具体的にどのように言い換えるのかということがはっきりしませんので、言い換えの方法を私は5つに分解しています。「表現変更」「詳述」「要約」「単純化」「ポジティブ変更」です。

「表現変更」は、相手の話を同じような意味の別の表現に変更するという方法です。自分が理解していることを、相手とは別の表現で話すということです。

「詳述」は、情報を追加してより詳しく表現するという方法です。自分のわかっている範囲で、内容を追加していきます。

「要約」は文字通り、相手の話を要約して話すということです。「要約するとこういうことですね」「まとめるとこういうことですね」というフレーズで繰り出します。

「単純化」は要約の1パターンですが、相手の話を象徴的な一言で話すということです。

 表現変更、詳述、要約、単純化はフレーズの構造に着目した言い換えですが、フレーズの意味に着目した言い換えが「ポジティブ変更」です。ポジティブ変更は相手の言った内容を、意味を変えないでポジティブな表現に変えると言い換え方法です。

 これらの言い換え話法を、全部一度に使おうと思う必要はありません。自分にとって使いやすい話法から繰り出していくことがスキル向上の早道です。そのうちに、相手や話題にあう言い換え話法の見当がつきやすくなります。

◆「わかりました」と言うかわりに言い換えをする

 この言い換え話法は、上司からの指示を受けるときに、特に効果を発揮します。上司から指示があったときに、単に「わかりました」と言ったり、よかれと思って即座に「承知しました」と言って、「本当にわかったのか?」と上司から問われたことのある人もいると思います。

「わかりました」と即座に言えば言うほど、何度も言えば言うほど、本人がわかっていたとしても、わかっていることが相手に伝わりにくいという本末転倒なことになってしまいがちです。

「わかりました」と言うかわりに、言い換え話法をひとつ繰り出しただけで、上司は「確かに理解してくれているな」「自分の言葉で咀嚼してくれているのだな」と感じる度合が高くなり、上司に安心感を与えます。

 また、この方法は、上司から指示を受けた時だけでなく、お客さまからクレームを受けたときにも有効です。懸念があるのでクレームを受けるわけですが、そのなかには相手が理解していないという懸念が含まれます。言い換え話法は、「相手の話を理解しています」ということを示す、とてもパワーのある方法なのです。

◆自分に合った言い換え話法を使う

質問:言い換えはどのようにすればよいか

 言い換えは、どのように行えばよいのでしょうか? その場で初めて聞いた内容を即座に言い換えするということは、簡単なことではないと思うのですが。何か、即座に言い換えができるようになるよい方法はあるのでしょうか?

回答:5つの言い換え手法を繰り出す

 漠然と言い換えをしなければならないと考えると、むずかしく思えるものです。次の方法に分解してみると、言い換えをしやすくなりますので、試してみてください。

 これらの方法のうち、その場面で自分にとって使いやすいと思える方法を使いはじめることをお勧めします。ただし、下記の下になればなるほど、誘導色が強くなりますので、意見の相違が大きい場合には、上位の方法を使うことがお勧めです。

▼「性能がよいことがわかっているが、価格が高いと思っている」の言い換え

・表現変更⇒「品質が優れていることに着目してくださっていますが、お見積りに問題を感じていらっしゃるのですね」

・詳述⇒「これまでのお話をふまえれば、〇〇などの性能がよいことをご理解いただいていますが、価格が高いことを心配されているのですね」

・要約⇒「良い点は性能、問題は価格ですね」

・単純化⇒「品質と価格の兼ね合いですね」

・ポジティブ変更⇒「品質が高いことをご評価いただく一方、お見積りを気にかけていらっしゃるのですね」

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第157回】

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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