深刻化する環境問題、サスティナブルな生産・消費とは?

深刻化する環境問題、サスティナブルな生産・消費とは?

冨永愛さん

◆サスティナブルな社会の実現に向けて必要なこと

 持続可能な社会や未来を創るために国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。その中の12番目の目標として「持続可能な消費と生産」が掲げられている。

 経済成長のために大量生産・大量消費をしてきた代償として、地球温暖化や異常気象などの地球環境問題が深刻化し、我々人間社会にも影響を与えるようになった。

これ以上、地球環境に負荷をかけず、持続可能な消費をするためにはどうすれば良いのか。

 サスティナブルな社会の実現に向け、無駄な生産や消費を減らすためには、消費者と生産者がともに意識を変えていく必要がある。短絡的な考えではなく長期的な視点を持ち、一人ひとりが地球環境の尊さを感じ、自分の行動に責任を持つ局面にきているだろう。

 そんな中、9月14日にhotel koe tokyoにて行われた「STRIPE DEPARTMENT(ストライプデパートメント)」のイベント「Update Your 24 Hours」で、「ファッションとサスティナビリティの未来」と題したトークセッションが行なわれた。NYを代表するファッションデザイナーであるPhillip Lim(フィリップリム) 氏と国内外で活躍するトップモデルである冨永愛氏が登壇し、それぞれのサスティナブルへの考えや取り組みについて語った。

◆地球は全てつながっているという意識を持つ

 ファッションとサスティナビリティは、同じ文脈でよく語られるテーマだ。

 2015年に公開されたドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』では、ファッション業界の裏側が暴露され、持続可能な服とは何かを考えさせられる内容が、世界中で大きな反響を呼んだ。

 また、ラグジュアリーブランドが次々とリアルファーを使わない「Fur Free(ファーフリー)」を宣言するなど、ファッション業界全体にサスティナブルな服作りへの取り組みは少しずつ浸透してきていると言えよう。

 しかし、こうした動きはまだまだ局所的で、全てのファッションブランドが環境保全やサスティナブルな考えをもとに服作りを行なっているとは言い難い。

 ニューヨークのリアルクローズを表現し続けるフィリップ・リム氏は、サスティナビリティに対してどのように考えるのだろうか。

「起業家として、ファッションデザイナーとして、常に自分自身と真摯に向き合いたいと思っている。私の服作りは、自然からインスピレーションを受けてきたが、コレクションを毎シーズン行うことで自然に与える影響は非常に大きいものだと感じた。仕事や日々の生活にサスティナブルな考えを取り入れることで、アイディアの源泉である自然に敬意の念を抱き、恩返しをしていくこと。これが私のサスティナビリティだと思う」

 一方で冨永氏は、途上国の妊産婦や子供の健康を守る活動を行うNGOのジョイセフ(JOICFP)との出会いが、サスティナブルを新ためて考えるようになったきっかけと話す。

「ジョイセフでアンバサダーの活動をさせてもらっているが、アフリカを訪れた際に、子供を育てる環境が、日本とアフリカで全然違うことに気付かされた。1日に800人の母親が死んでいる現状を知り、何かサポートできないかと活動をしているものの、地球環境が悪ければ何も変わらないと思う。1つ1つ自分にできることを考え、地球は全てつながっているという意識を持つことが大切」

 サスティナビリティはファッションだけではなく、人間の生活や経済活動など様々な側面から考えるべきものなのだろう。豊かな地球に住み続けるためには、地球環境に配慮して私たち一人ひとりが何をすれば良いのか、ということを考えていくのが必要になってくるのではないだろうか。

◆自分ができることからまずは始める

 では、両者が日頃サスティナビリティをどのように意識しているのだろうか。

「自分は完璧ではないので、環境に対して何ができるかを考えている。通勤時は歩いたり、コーヒーを飲む時はタンブラーを持参したり、また着れなくなった服は他の人に譲ったり。小さなことから取り組むことで少しでも環境に配慮できるようバランスをとることを意識している。そして、時間をかけて自分の心身のケアをし、イライラしないように心がけることで、人に対しても優しくなれる。自分自身が寛容的になることで、サスティナビリティを意識した行動ができるようになるのでは」

とフィリップ・リム氏は生活の中で意識していることを語った。また、仕事面について次のように述べた。

「なるべくデザインの修正が発生しないように心がけ、無駄をなくすように努めている。また、環境に負荷がかからないよう、服の生地はウールなどの自然素材を選ぶようにしている。プラスチックを使って商品を包み発送するときも、生物分解性のものやリサイクルのものを使い、できる限り環境に配慮するようにしている。ただ、サスティナブルになるからとスタイルやデザインを妥協したくない。美しい洋服をデザインするためにバランスを意識しながら服作りをしている」

◆サスティナブルを意識することで心の豊かさが生まれる

 100%サスティナブルなものは難しいかもしれない。しかし、100%に寄せていく努力はできるのではないだろうか。

「受け身の姿勢で待つのではなく、自分からすぐにできることを始めてほしい。環境に良い悪いなどの情報は知っていると思うので、まずは自分自身の意識を変えること。サスティナブルはトレンドではなく、生き方。自分自身に優しくなれば、地球にも優しくなる。そうすれば周りにも優しくなれ、共感が生まれる」(フィリップ・リム氏)

 サスティナブルはライフスタイルであり、まずはすぐ始めることの大切さを説いた上で、フィリップ・リム氏は最後にこう締めくくった。

「ここから。今から。今日から始めることが大事。そして、何事にも謙虚な姿勢で小さなことから始めることで、少しずつ変化が起こり、やがてサスティナブルな考えは広まっていくだろう。一人ひとりの意識が大切になってくる」

 フィリップ・リム氏が述べた「Start Here,Start Now,Start Today」という言葉が非常に印象的であった。今この瞬間、地球に対して何ができるのか。日頃の生活に、少しでもサスティナビリティを意識してみると良いのではないだろうか。

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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