瓦が足りず屋根の修復もままならぬ千葉館山。さらに19号が……

瓦が足りず屋根の修復もままならぬ千葉館山。さらに19号が……

ホテルの二階レストランも被災。3pは厚みがあるガラスが割れている

◆「瓦葺きの屋根だと修復まで3〜4年」

 本サイトでは、複数回にわたり台風被害に遭った千葉県館山市の様子を報じている。

「我が家はここから車で20分くらいの南条というところにある二階建ての一軒家ですが、二階の屋根の三分の一が損傷してしまいました」

 そう語るのは自らが被災者でありながら「つながり」で支援活動を続ける石井隆子氏である。ホテルの一階で受け付け業務を担当している。

「うちの屋根はコロニアルですからまだマシなほうですが、瓦葺きの家だと、長いところだと修復まで3〜4年かかるという声もあるんです」

 あのブルーシートというのは応急処置で、おそらくは二週間か一か月くらいすれば業者が屋根を修復できるものだと筆者も何の根拠もなく完全に誤解していた。

「館山には、瓦屋さんが数軒しかないんですよ。数軒でこれだけの家を修復できるはずがないですよね。しかも、築40年、50年の家になるとそこの家と同じ瓦がもう製造されていないことも多いんですよ」

 あらためて、石井氏に今何が一番欲しいか聞いてみた。

「一つは、マイカセン(プロバンド)ですね。先ほど言ったように、これから年単位で土のうを結んでおかなければなりませんから、そのための丈夫なヒモということですね。

 もう一つは、紫外線に強い土のう袋ですね。普通の土のうだと、潮風などにやられて2〜3か月しかもたないんですよ。UV土のう袋であれば一年はもつと言いますから、この袋はいくらでもほしいです」

◆窓ガラスが割れ、強風が中に入って屋根を飛ばされる

 続けて、石井家の被害状況について話してもらった。

「私たちの家は夫婦二人の生活で、二階は特に使っておりませんでした。しかし台風のせいで停電し、真っ暗の中不安で眠ることもできませんでした。そんなときにまず二階の窓が割れ、何をすればよいかわからなかった私たちは二人でラグを運び、とにかく穴をふさごうとしました。もちろん、その頃には床にガラスが飛び散っていました」

 しかし、思いきり台風が吹き込み、床にガラスが飛び散っている状態でずっと押さえ続けられるはずがない。

「二人の力には限りがありますから、ソファを持ち上げて、それを重しにしようとしました。そうこうしているうちに、一階のシャッターがひしゃげて、そこから下の窓も割れ、さらに被害が大きくなりました。屋根がやられた家というのは、そうやってまず家の窓がやられて下から吹き上げられた結果瓦が飛ばされてしまったということが多いようです」

 どうすればよかったのだろうか。

「これは後からこの地域に何十年も暮らす古老から聞いたのですが、東京湾を通る台風が来たときは、窓を全て開け放て、という言い伝えがあるそうです。そうすれば、中に入った風は通り過ぎて、瓦が飛んだり屋根が損傷することはないから、と」(※編集部注:最初から開けておくわけではなく、窓が割れた場合にその対に位置する窓を開け放てということだと思われる。なお、構造的に昔の家ならばともかく、現代の家の構造だと「反対側の窓」をないこともあり、難しいかもしれない)

 しかし、これこそ言うは易く行うは難し、の典型例だろう。あの日、我孫子市にある築一年の筆者宅も地震並みに揺れていた。まだ買って一年、これから三十数年借金を返していかなければならないのに、お願いだから損傷がでないでくれ、と祈るしかなかった。

 まして、家の中にはパソコンがあり、蔵書もあればソファもある。筆者が午前中に支援活動を行った民宿にもアップライトのピアノがあった。窓を開け放つということは、それら全てを犠牲にすることを意味する。筆者が南房総にいたとして、ここで窓を開けるという決断は絶対できなかったに違いない。

 繰り返すが、今回の台風で被災した家というか建造物に関して構造や古さは関係ない。新築であろうが、頑丈であろうが関係なく被害が出ている。この「ウェストペニンシュラホテル」においても、二階のレストランがやられたという。

◆台風が3pのガラスを突き破る

 実際に二階で確認すると、二方面がやられていた。残された窓を触ってみると、防弾ガラスとまではいかないが、間違いなく3pは厚みがあるガラスだった。

 にもかかわらずやられているということ自体が、台風の規模の大きさを物語っている。安全確保のために、グランドピアノの周りにはテープが貼られている。再び、石井氏の証言に戻ろう。

 「我が家でも布団・マットレス・ベッド・ソファがダメになり、廃棄処分することになりました。もちろん床も水浸しで、割れたガラスで傷だらけになってしまいました。でも11日夕方からは冷房も使えるようになりましたし、被害は比較的小さいほうです。

 こんな世間話でどれくらいお役に立てたかはわかりませんが、もっと大きな被害にあわれた方々を優先していただきたいと思います」

◆被害状況は変わらないが、ボランティアの数が減ってきている

 ということで、現地にマイカセンおよびUV土のう袋を送りたい方は、以下の送付先までお願いしたい。

 千葉県館山市波左間588 West Peninsula Hotel

 ボランティア団体TSUNAGARI勝又宛て

 後日、この石井氏から再び伝言が届いた。

「テレビで放映されなくなったためでしょうか、ボランティア数も減ってきました。しかしながら、既にブルーシートで応急処置した方々から『風で落ちてしまった』と、張替えの依頼が届き始めています。まだまだボランティアが必要です」(太字引用者)

 昼食休憩が終わり、筆者は午後の作業へ派遣されることとなった。次回は、午後に入った現場の状態を伝えることとしたい。

※本稿配信週の週末、台風19号の接近が予想されている。前回台風の被災地が再び大きな被害に合わないことを祈りたい。

 

<取材・文・撮影/タカ大丸 協力/「一般社団法人 震災復興支縁協会つながり」>

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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