悪臭とゴミ問題に悩まされる、千葉県館山市の台風被害

悪臭とゴミ問題に悩まされる、千葉県館山市の台風被害

ゴミ集積場がパンクし、やむなく駐車場に粗大ごみが積まれていく

◆テレビ映像ではわからない被災地の現実

 千葉県の台風被災地にて、ボランティアと取材を行っている筆者。

 この日は昼食休憩を終えた後、午後の作業場があてがわれ、車で移動することとなった。

 次の現場は、まさにこれからブルーシートを貼らなければならない民家である。上記写真の通り大幅に瓦が飛び散り、トタンの屋根がめくれあがっている。

 忘れてはならないのは、この地域すなわち館山市波佐間が決して最悪ではないということだ。現場で作業した人に言わせると「布良」(めら)という近隣の地区はさらに大きな被害が出ているのだという。

 この現場でも作業班は二手に分かれた。「屋根の上でブルーシートを貼る組」と「下で瓦を拾う組」である。筆者は当然後者である。

◆「悪臭」は被災地での重要問題の一つ

 地面に散らばる割れた瓦は写真の通りだが、これを拾って集めるのに特技は必要ない。ゴム軍手が一組あればいい。

 ただ、瓦そのものが重いため、絶対に回収袋一杯に詰めてはならない。かならず半分か、三分の一程度にしておかなければならない。そうしないと、たとえ集めても運べないという事態を招いてしまうのだ。

 作業中に、被災地特有のもう一つの問題に直面した。「悪臭」である。

 この家では犬を飼っている。必然的に犬の糞が発生するわけだが、この糞が瓦と一緒に飛び散ったため、悪臭が出始めているのだ。

 かつて、東日本大震災の際に石巻でボランティア活動をしたときもそうだった。現場近くにコンビナートがあり、そこから出た工業用排水に含まれていたと思われる油膜が元になった海底のヘドロが津波と共に襲ってきて、地面数pを覆っていたのだ。

 したがって、最初の作業は「このヘドロをはがして、近くに埋める」だった。残念ながら、テレビカメラも、写真もこの悪臭は伝えることができないのだ。報道の限界を痛感する。

◆ゴミ集積場はパンク状態で、回収の手助けが必要

 話を瓦に戻すが、集めた瓦はその後どうするのか? 結論だけ書けば軽トラで集積所にもっていくことになるわけだが、当然普段のゴミ捨て場、ごみ処理場はとっくの前にパンクしている。

 そこで近くの集会所の前にある広場などにゴミを運ぶことになっている。集会所前くらいならまだいいのだが、どうしてもスペースを確保できない場合は、漁師の網場にゴミを置くしかない。背に腹は代えられないとしか言いようがないのだが、当初はこの網場に回収物を置くにあたり、ひと悶着もあったらしい。

 作業が始まって約一時間がたち、一団は休憩に入ることになった。そこで二時半までと決まっていた筆者は軽トラに乗り、ガレキ類を集積所におろしてから本部へ戻ることとなった。

 普段は集会所に使われているようだが、ここの駐車スペースにゴミが集められている。このような非常時においてさえ、瓦・割れたガラス・木材・電化製品と言ったように分別が徹底されているのは日本人特有の几帳面さが出ているということだろうか。

◆館山市では処理しきれない量をどうするか?

 あらためて痛感するのは、この臨時ゴミ集積所に集められた冷蔵庫や洗濯機といった電化製品・タンス・ソファといった家財全般が多く持ち込まれていることである。

 いかに台風の威力が強くて窓をつきやぶり、家屋内まで甚大な被害をもたらしたのかをあらためて痛感させられる。

 どう考えてもこれだけのゴミを地元地区だけ、館山市だけで処理できるはずがない。関東の被災しなかった自治体がそれぞれ何台かゴミ収集車を派遣し、回収と処分を手伝えばそれだけでも大きな助けになるだろう。

 読者の中で近所の区議会・市議会議員の知人がおられる方は陳情してみてはどうか。ゴミ収集車派遣を提案・実現させれば次の選挙で再選は確実である。

 もしこの「ゴミ収集車派遣」が実現の暁には、次へご連絡いただきたい。

「一般社団法人 震災復興支縁協会つながり」

 先日伝えた通り、朝六時半に東京駅発のバスに乗って現地入りした場合は、帰りのバス代が無料となる。ただし、これは東京方面に戻る場合のことで、木更津や千葉へ向かう場合にはこの限りではない。館山発の上り電車は、16:16発の一本を逃してしまうと、次は17:17発となり、木更津到着が七時近くになってしまうのだ。(??詳細は館山市社会福祉協議会)。

 次回は、木更津近辺の被害を伝えることとしたい。

<取材・文/タカ大丸>

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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