「炎上」したって曲げない。りゅうちぇる流・子育て論とは

「炎上」したって曲げない。りゅうちぇる流・子育て論とは

竹下隆一郎さん(左)とりゅうちぇるさん(右)

 SNSを中心に、その個性的なファッションや時代を牽引する発信力から、若者に絶大な人気を誇る「りゅうちぇる」24歳。今や一児の父でもあり、その子育て観にも注目が集まっている。「イクメンオブザイヤーを受賞した時は、正直モヤっとした」と語るりゅうちぇるさんが考える、子育て、教育、そして自分らしさとは?

 10月14日から16日にかけて、朝日新聞社主催「朝日地球会議2019」が開催された。「ひらかれた社会へ 多様性がはぐくむ持続可能な未来」をテーマに掲げ、3日間で多くのプログラム・講演が実施された中、初日である14日にはタレントのりゅうちぇるさんが登壇。「自分らしく生きるって難しくない?いまタレントやメディアができること」と題して、自分らしく生きることや子育ての極意を語った。聞き手として、ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎さんも登壇した。

◆「ママとかパパとかいう以前に、2人の『親』がいるだけ」

 2016年12月にタレントのぺこさんと結婚し、2018年7月には第一子である男児が誕生したりゅうちぇるさん。SNSで発信する、明るく自然体な子育ての様子が注目を浴びている。子育て真っ最中のりゅうちぇるさんは、子育てとどのように向き合っているのか。

 11年前に4ヶ月の育児休暇を取得した際「(妻に)尻に敷かれているとか、毎日何をしているのか、と周囲に驚かれた」という竹下さんの経験を踏まえ、りゅうちぇるさんは違和感を口にする。

「いまだに母親同士で『お子さんは誰が見てるの?』『パパが見てくれているの』『えー、すごい!』っていう会話がある。ママの子どもであるだけじゃなくて、パパの子どもでもある。ママとかパパとかいう以前に、二人の『親』がいるだけ」。

 男性が育児に参加することは当然、と断言するりゅうちぇるさん。「イクメンオブザイヤー2018」を受賞した際にも、「モヤモヤした」と語る。

「子育ては、毎日違うことが起きる。自分がどう動くべきなのか、何をしてほしい場面なのか、とかそういうニュアンスは、子どもとずっと一緒にいなければわからない。自分がしたほうがいいこともあれば、逆に(自分は介入せずに)ママに任せた方がいい場面とか、色々ある。そういうニュアンスを理解して、パパとしての向き合い方を探ることが大事」

 たった1日や1週間の育休で何がわかるのか。まさに世間の「ママたち」が夫に言いたい事を代弁しているようだ。

◆「炎上」したって、曲げない。りゅうちぇるの子育て論

 SNSでの発信力をもつりゅうちぇるさんだからこそ、批判を浴びる時もある。自身の妻と子どもの名前をタトゥーとして身体に彫ったということを公表した際、「タトゥーを入れるなんて親じゃない」「タトゥーを入れたらこんなことが出来なくなる」など、様々な批判を受けたと言う。

「ちょっとやそっとの批判くらいじゃへこたれない(笑)」と話すりゅうちぇるさんは、この一件で子どもとの向き合い方を改めて考えたと言う。

「改めて世の中にはいろんな意見がある事を知った。そして、そういう世界に子どもが飛び出して生きていくんだ、とも思った。親から聞いたこともない教えを言われたり。そんな時も、自分を曲げずに信念を持って生きていける子どもになって欲しい、と強く思った」と語る。

「いろんな意見があってこの世界は成り立っているけれど、その全てを受け止めて閉じこもってしまうのではなくて、オープンに、自分の道をデザインできる子になって欲しいし、そういう子育てをしたい」

◆「先生もすぐには変われない。先生や学校とのコミュニケーションをサボらずに」

 会場では、様々な悩みを持つ親たちから多くの質問が寄せられた。中学生の子どもを持つ母親からの「多様性を謳いながらも画一的な対応を求めてくる学校や教師に対してどのように付き合っていけば良いか」との質問に対して「社会が変わっても、人は急には変わらない」と話すりゅうちぇるさん。

「今の時代に合う教育は必要。でも急に変わることはない。先生や学校とのコミュニケーションをサボらずにやっていくことが、子どものためにつながるんじゃないかな」と優しく語りかけていた。

◆「ジェンダーレス男子もイクメンも、意図的に作られた言葉でしかない」

 一方で、「自分らしさ」を見出すことに悩む若者も多い。「自分では自分のことを大人の女性だと思っているのに、年上の男性から『女の子』と扱われることにモヤっとしてしまう」と話す20代の女性もいた。時には「タレント・りゅうちぇる」として明るく奔放なキャラクターを求められ、時には「一人の男性」「一人の父親」としての振る舞いも求められるりゅうちぇるさんは、どのように考えているのか。

「『ジェンダーレス男子』って何?『イクメン』って何?ってよく思う。これらは、広めていくために意図的に作られた言葉でしかない。大事なのは、自分で発信しているかどうか、ということ。一方的に相手に決めつけられたらモヤモヤする。仕事としては割り切って自分を守ることも必要かも」と語る。

「そりゃあ派手だし目立つよね、とか、意外に冷静に自分のことを見ている」と話すりゅうちぇるさんに、竹下さんも「相手を先回りして、自分で自分のことをラベリングするのは良いかも」と頷く。

「よく『誰のことも傷つけないことを言ってくれる』と言われることがあるけれど、それは僕が色々な意見があることを認めているからだと思う。全ての意見を理解するのは理想的だけど、実際は無理。意見を一つに絞る必要もないし、認め合えればそれで良い」とりゅうちぇるさん。

 終始あたたかい雰囲気を醸し出しながらも、自分の言葉で丁寧に話す姿が印象的だった。会場で飛び交ったどんな質問にもまっすぐに向き合い発せられる言葉には、現代で支持される要素が宝箱のように詰まっていると感じた。

<取材・文/汐凪ひかり>

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