「自分より偉い人が全て正しいと思わないこと」。すり減らない働き方をするために大事なこととは?<ハヤカワ五味×ヨッピー>

「自分より偉い人が全て正しいと思わないこと」。すり減らない働き方をするために大事なこととは?<ハヤカワ五味×ヨッピー>

ハヤカワ五味さん(左)とヨッピーさん(右)

◆増える「殺伐とした」職場

「ブラック企業」「過労死」「パワハラ・セクハラ」という言葉を当たり前のように耳にするようになって久しい。最近でも、神戸市の小学校教員に対するハラスメント行為(と言っても、ハラスメントの範疇を超えた行為であり、傷害事件として対処すべき事例のように思うが)が明らかになった。職場環境に悩む人が少なくない中で、どうすればすり減らない環境を手に入れることができるのだろうか。

 10月14日から16日にかけて、朝日新聞社主催「朝日地球会議2019」が開催された。「ひらかれた社会へ 多様性がはぐくむ持続可能な未来」をテーマに掲げ、3日間で多くのプログラム・講演が実施された中、16日には株式会社ウツワ代表取締役であるハヤカワ五味さんと、フリーライターのヨッピーさんが登壇。

 18歳でアパレルブランドを立ち上げた若手経営者であるハヤカワさんと、商社勤務を経てフリーライターへと転身したヨッピーさんという個性的なキャリアを持つお二人が、「すり減らない働き方を考える」をテーマに、現代の働き方や「すり減らない」秘訣について語った。コーディネーターとして、朝日新聞社デジタル・イノベーション本部員の原田朱美さんも登壇した。

◆ハヤカワさんが経験した「ヤバい事例」

 それぞれ経営者、フリーライターとして活躍するハヤカワさん、ヨッピーさんも、「すり減らされ」かねない状況に遭遇したことは多々あると語る。ハヤカワさんは、とある有名企業の経営者からTwitterのDMで飲みに誘われた際、ホテルのロビーを待ち合わせ場所として指定された。違和感を感じて情報収集をすると、知人から「ヤバい奴だから気をつけな」と言われ、結局飲み会には行かず最悪の事態を回避することができたという。

「インターネットでは一定強い(拡散力のある)はずの私に対してこういうDMを送れるということは、一般社会ではこうしたセクハラが横行しているのかも」とハヤカワさんは話す。

◆身を守る方法は「逃げる」「戦う」「うまく伝える」

 経営者、フリーランスとして仕事をする中で、たくさんの「ヤバい案件」に遭遇するというハヤカワさん、ヨッピーさんは、どのようにして身を守っているのだろうか。方法は三つあるという。「逃げる」「戦う」「うまく伝える」だ。

 両者ともに「ヤバいと思う案件は事前に避けることが大事」と語る。ヤバい案件としてよく見受けられるものとして、ハヤカワさんは「最低限決まっていないといけない条件(納期、コンセプト、ギャラ等)が決まっていない案件」「途中で条件が変わるもの(『これもお願いします』と後出しの依頼が来るもの等)」を挙げる。「いくら貰える、という目先のお金に引っ張られずに断ることも大事。気分が落ちることの方が、後々ダメージは大きくなる」と語る。

◆「戦うには、日頃から胸を張れる働き方をしていることが大事」

 理不尽だと思う事案に関しては「戦う」そして「うまく伝える」ことで乗り切ることも大事だ。SNS上で「戦った」こともあるという2人だが、戦うにはリスクもあると語る。ヨッピーさんは「戦っても、自分が叩かれないようにしておくことが大事。日頃から行儀よくしておくこと。胸を張れる働き方をしていれば、戦う手段はたくさんある」と話す。

 また、ハヤカワさんは「どんなに相手が100%悪いと思う時でも、まずは伝えてみる、ということが大事。言っていないことを察してほしい、というのは贅沢。何が嫌なのか、何が障害となっているのか、ということを言葉にして相手に伝えるべき」と話す。「雇用されている人は、強気でいて良い。(セクハラ、パワハラ然り)何か嫌なことを言ってくる人は、相手を選んでいるところもあると思う。騒ぎそうだな、刺してきそうだな、と思う人には言って来ないはず。日頃から強気な態度をとっておくのは大事」。

◆「自分より偉い人が全て正しいと思わないこと」

 とはいえ、いわゆる「気が強い」性格でないと、生きていけないのだろうか。ヨッピーさんは「フリーランスで活躍している人をみると、たしかにみんな気が強い。そうじゃなきゃやっていけないみたいな雰囲気もあるけれど、それっておかしい」と話す。

 ハヤカワさんも「気が強くなくても、自分を犠牲にする必要はない」と語る。「自分より偉い人が全て正しいと思わないことが大事。自分自身で、何が正しいのか、ということを考えること。そういう意味では、社外の友達を持ったり、外の情報に触れる環境を作ることはすごく大切」。

◆「大事なのは、選択肢を増やすこと」

 では、すり減ることなく、柔軟に働くにはどうすれば良いのだろうか。「大事なのは、選択肢を増やすこと。自分ができることを増やすこと。会社と家の往復では、なかなか選択肢は増えない」とヨッピーさんは語る。ハヤカワさんも同意見だ。「選べる、という心の余裕は大切。持てるカードを増やしておくと、自信が生まれていく。会社によっては、その会社でしか役に立たないようなスキルしか得られないところもある。客観的に自分のスキルを見直してみるのも良いかも」。

 また、体力や精神力についても話は及んだ。ハヤカワさんは、「人によって、体力や精神力のキャパシティは異なるもの。でも、それが多い人が単純に強い、というわけでもない。自分のキャパや、これから受けるダメージがどれくらいなのか、どうやったら回復できるのか、ということをわかっている人が実は一番強い」と語る。

「『自由』と『楽』を履き違えちゃいけない」と話すお二人。自由な働き方には、それ相応の努力が必要だ。「頭でっかちにならずに、自分で何らかのアクションを起こすことが大事。何ができるかなんて、やってみなければわからない」。活発に行動することでチャンスを得てきたお二人が話す言葉には、説得力があった。

<取材・文/汐凪ひかり>

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