台風19号ハギビス被害の茨城県常総市。5m以上の高台でも越水被害。人の身長の高さまで浸水

台風19号ハギビス被害の茨城県常総市。5m以上の高台でも越水被害。人の身長の高さまで浸水

台風19号で被災した民家

◆「田んぼより5m以上高かったのに……」

「うちの目の前にある田んぼが水浸しになるのはよくあることだけど、高台で田んぼより5m以上高いうちが水没するなんて、夢にも思わなかったよ―」

 10月16日、筆者は茨城県常総市に赴いた。台風19号で被災した家があると聞いたからだ。

 冒頭の言葉は、実家が水没した同市住民の言葉である。これまで何度か台風15号による千葉県館山の現状について伝えてきたが、今回はある種、東京から隔離されている地方における19号の被災状態を伝えていくこととしたい。

 集合は守谷駅だった。関東鉄道常総線とつくばエクスプレスが乗り入れる駅である。東京から見ると少し遠く見えるかもしれないが、千葉県我孫子市在住の筆者にとっては取手まですぐで、そこから乗り換えても30分かからない近場である。駅からは車で約25分の場所となる。

 被災した家の近くに飯沼川が流れ、利根川に合流するようになっている。Sさん宅は老夫婦と五十代半ばの次男の三人暮らしである。以下のカギカッコ内はこの次男の証言である。

◆「まさか、うちが水没するなんて……」

「うちの場合は、堤防決壊じゃなくて、あくまで越水でした。元々大水が出たらわざとこの田んぼに水を入れて、被害を防ぐようにできているんですよ」

 地図でも確認したが、Sさん宅は飯沼川から500m以上離れていて、しかも5m以上の高台の上に建っている。筆者宅の目の前に手賀沼があるが、どう見ても我が家のほうが水没の危険性は高そうに見える(註:なお、今回手賀沼が氾濫することはなかった)。

「オレは昭和40年生まれで、そのときにはもうこの家があったから、少なくとも六十年くらいはこの家が建っていることになるんだけど、うちが水没するなんて……」

 自宅内に入ると、いまだに一階の床に泥水が残ったままとなっている。ご家族に確認しながら「いるもの」「いらないもの」を選り分けていくわけだが、押し入れの中にある衣服は全て泥水を吸い込んでおり、廃棄処分にするとのことだった。

 以前、館山で「水分を吸い込みカビだらけになった畳がいかに重いか」触れたが、この家でも座布団が重くなっていた。

◆160pの高さまで水が上がってきた

「水がここまで上がってきたんですよ」

 そういって家主が指さすのは玄関近くの窓についている泥だった。実際に写真で見ていただくとわかるが、身長170pの筆者より少し低いところまで、おそらく約160pは水が襲ってきたということだ。

「水が襲ってきたということで、まずい、うちの蔵に置いているコメを上の階に持っていかなきゃと思っていたんだけど、そんな間もなくあっという間に沈んでしまったよ」

 ただ、壁の上のほうに掲げられている表彰状および遺影は無事で、二階にも被害が及ぶことはなかった。水道はまだ通っているのでトイレと流しの使用は可能だったが、漏電の危機もあるので電気の使用はご法度である。もはやこの家が生活の用をなさないのは言うまでもない。

「だから今、知人の市議会議員を通じてうちを激甚災害として認めてくれって陳情しているところなんですよ」

◆水害保険に入っていたのが不幸中の幸い

 一通り家の中を片付けた後、次に解体作業に入った。これも不幸中の幸いとしか言いようがないのだがこの家は水害保険に入っていて、補償は受けられるのだという。そのためにも、家の板や壁、ダメになった床などをはがしていかなければならないということだ。

 館山もそうだったが、ここでも一番危険なのは釘である。壁のベニヤ板を外したら、刺さっている釘を全て抜いて、指定の瓶に入れなければならない。一本床に落ちていて、間違って踏んでしまったら大けがにつながる。目を保護するためにゴーグル着用は必須である。

 ここで昼食休憩となった。その後物置の整理となるのだがこれが実家以上に難航した。(続く)

【編集部注】

台風被害の千葉県館山市。「ブルーシートがかかって一段落」ではない現状で紹介した「一般社団法人 震災復興支縁協会つながり」での活動について、一部読者の方から館山市社会福祉協議会の認可を受けていないのではないかというご指摘を頂きましたが、そのような事実はありませんでした。

 よって、「8:18分に館山駅へ到着し、8:40発のローカルバスに乗り換えできる。しかも、帰りのバス代は無料となる」という記述も有効です。

(引用・出典:館山市社会福祉協議会:「ジェイアールバス関東・日東交通の高速バス(東京駅八重洲南口6:30発と7:20発、バスタ新宿7:50発のなのはな号に乗車していただいた方のみ)を利用して館山市にボランティアにお越しの方は、復路の運賃が無料となります」)

<取材・文・撮影/タカ大丸>

【タカ大丸】

 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。

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