日赤「宇崎ちゃん」献血ポスター、日本にいる外国人に感想を聞いてみた

日赤「宇崎ちゃん」献血ポスター、日本にいる外国人に感想を聞いてみた

akiba:F献血ルームに貼りだされたポスター

 日本赤十字社の献血を呼びかけるポスターがネット上で大炎上した「宇崎ちゃん」問題。ウェブ漫画『宇崎ちゃんは遊びたい!』とのコラボ企画で、献血に行くと同作品のクリアファイルが貰えるというキャンペーンを呼びかけるポスターである。

 このポスターに纏わる議論や問題点はすでに別記事でも報じてている*のでそちらをご覧いただくとして、これらの批判の中で「海外ではあり得ない」という声や、それに対して「出羽守(「海外では」と海外のことを持ち出す人を揶揄する言葉)」という声も見かけられた。

<*”「宇崎ちゃん」献血ポスター、なぜ議論がこじれるのか”、”献血ポスター論争、見落とされているもう一つの視点。問われる日赤の倫理規範”、”献血ポスター騒動を機に見直すべき、日本の血液事業の負の歴史と立ち返るべき「原点」”>

 今回のポスターも、きっかけとなったのは日本人の奥さんを持つ米国人男性のツイートからだったが、果たして日本にいる外国人はあのポスターをどう見たのか?

 今回はフラットな意見を集めるべく、「献血を呼びかけるポスター」であることのみを伝えて、予備知識無しの外国人に感想を求めてみた。

◆海外でも広告には厳しい目が

 まずは、三池崇史監督作品や、『AKIRA』『カウボーイビバップ』といったアニメ作品も好きだというアメリカ人男性(37歳)。

「ジーザス・クライスト……(しばし、無言に)。見たままだと思うよ。どこから始めていいのかわからないけど、これは間違ってる。どう見てもセクシュアライズしているし、日本人の女性に対しての意識が現れてるよ」

 と、すでに心が折れている様子。性的な部分が過度に強調されているというのは日本でも言われていることだが、他にはどういった点が問題だと感じたのだろうか?

「子どもの目に触れる公共の場に貼られているのもおかしいと思う。あと、単純にこれを見て献血に行きたがる人がどれぐらいいるのかも疑問だね。アメリカでもビールとかハンバーガーのコマーシャルで、セクシーな女のコが体にこぼしながら飲み食いするようなのがあるけど、ハッキリ言って気持ち悪いよ。そういう広告は前時代的なものになってるし、視聴者の見る目も厳しくなってる。そういう宣伝をする時点で女性を性的にモノ扱いしてる証拠だと思うし、これをオッケーだと思った人たちはイかれてるよ」

◆アニメや漫画なのは関係ない

 より多くの人に呼びかけるためにオマケをつけたり、著名人や人気キャラクターとコラボする手法そのものには効果的な部分も多いはずだ。

 しかし、今回のポスターについては、一部のコアなファンが擁護するような漫画とのコラボという部分ではなく、イラストの内容が問題になっていることを再認識するべきだろう。ノルウェー人女性(34歳)は、その点について指摘する。

「最悪ですね……。海外でもチャリティなどで有名人が出てくるのは普通です。むしろ、日本より多いぐらいじゃないでしょうか。でも、露出が激しかったり、ボディラインを強調した服で呼びかけることはしませんし、すれば必ず非難されると思います。アニメとか漫画だからというのは関係ない」

 彼女からは、ポスターに使われたイラストが献血と関係なさすぎるという意見も出た。

「そもそも、このキャラクターや作品がどう献血と関係あるのか知りたいです。ポスターを見ても献血を呼びかけるものには見えません。単に胸を強調してカワイイから使ったというのであれば、性的に利用しているのと何が違うんですか?」

 また、取材中に自ら「俺、日本のアニメとか漫画ならわかるよ」と声をかけてきたトルコ人男性(24歳)からも、呆れ気味のコメントが。

「アニメは大好きだし、女のコも好きだけど、これはわからないね……。なんで献血でこんなポスターにしたの?」

◆日本の広告は大人をバカにしている

 今回、「宇崎ちゃんポスター」はイラストの内容が問題となったが、より高齢の外国人からは日本の広告業界の体質そのものへの批判があがった。ポーランド人女性(63歳)は怒りをにじませながら、次のように語った。

「テレビのコマーシャルにしろ、街で見る広告にしろ、大人をバカにしてるのかと思うようなものが少なくありません。子どもに注意を呼びかけるものならわかりますが、政府のものや公共機関、大企業でも、どれもアイドルとお笑い芸人にアニメや漫画ばかりなのはおかしいですよ。それも中身がなくて、単に出ているだけ。子ども扱いされているようでイライラします。みんな自分の使ったお金や税金があんな子ども騙しに使われて、何も感じないんですかね」

 宣伝するためにお金をかけているのか、お金をかけるために宣伝しているのか……と映っている部分もあるようだ。

「宣伝したいものが何なのかや訴えたい層、見せる場所を考えて作るのが広告で、場所や相手、中身も考えないで垂れ流すのは違うでしょう。このポスターに限った話じゃないです。見る人ももっと考えないと何も変わらないと思います。こんな酷いものがまかりとおってるのは、見る人が何も考えていない証拠ですよ」

 我々が普段何気なく目にしている広告だが、ある意味鏡のような面もあるのかもしれない。今回の炎上ポスター、あなたの目にはどう映っただろうか?

<取材・文/林 泰人>

【林泰人】

ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

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